なぜリベラルアーツがAIの時代に求められるのか? その教育の本質を問う
リベラルアーツ・カレッジとは?
アメリカのリベラルアーツ・カレッジのことを書こうと思ってChatGPTに聞いてみたら、「問題解決能力を鍛え、一生どこでも活躍できる人材を育てる大学」と答えてくれました。
いまの時代にピッタリではないですか。
AIの時代が恐ろしい勢いで近づいてきます。
AIのメッカ、アメリカではイーロン・マスク氏が大なたを振るっていますね。
もともと官僚ギライで役所の仕事なんて全部AIができるんだよ、と思っているはずの彼は、役人なんて早くクビにしてしまえ、と考えているんでしょうね。
この1週間でした仕事を5つ箇条書きしろ、なんておもしろすぎますよ。
いかに彼が役人はろくに仕事をしていないと思っているかの表れですよね。
AIだったらすぐに書きますよね。
上司が書かなくていいなんて感情を爆発させることもなければ、そもそも上司もいらないしね。
米国際開発局だって、彼からしたら賄賂と汚職のかたまりだと思っているんでしょうね。
給料が高くないのにすごい豪邸に住んでるなんて考えられない、なんてつぶやいていましたからね。
AIの脅威に鈍感な日本人
日本のお役人や普通のサラリーマンの人は怖くないんでしょうか。
AIがすごい勢いで人間の仕事を奪いにかかってくる時代に突入しているのに。
もっとも、ニュースでは、AIが公務員の仕事にとって代わるというようなことは、ほとんど出てきませんね。
トランプさんとイーロン・マスク氏がどこか変わっているというようなストーリーだてばかりです。
日本でChatGPTを使っている人は約100万人だそうです。
とても少ないですね。
私の周りにも、ChatGPTのことを話したら、嘘をつくとか、間違った情報をくれる、とか言う人がいますが、嘘かどうかを見抜くのもこちらの能力ですね。
AIは進歩が恐ろしく速くて、ChatGPTの答えも、半年前とは違います。
より細かく精密になっています。
その情報をどこからとったか、出典も明らかにしていますね。
留学の情報に関しては、栄 陽子留学研究所から、というのがあって笑ってしまいます。
AIはうちのホームページも端から端まで読んで正確に暗記しているのですね。こっちが何を書いたか忘れているのにですよ。
その知識、10年後に役立ちますか?
おそらくこれからたくさんの仕事がAIにとって代わられるでしょう。
人類は各々の努力でそれに備えなければなりません。
日本の受験勉強で得たものや、日本の大学でちょっと経済の勉強をしただけでは、あと10年もすれば、どうしようもない、何の役にも立たないということになりかねません。
一流企業に入社するのが目標だという人も、一流企業の存続だって怪しいし、その企業で自分が役に立つ人になれるのか、胸に手を当てて考えなければなりません。
産業革命で、人間の肉体労働は機械が代わってくれるようになりました。
肉体の苦痛からの解放です。AIでいよいよ頭脳の苦痛からの解放が始まりました。
暗記するなんてとても辛いことですよね。私なんか、本当に苦手です。
しかも、すぐ忘れる。そのことへの失望感は、心臓にも悪い。
高まるリベラルアーツの重要性
はてさて、いつもアメリカの教育を絶賛している私ですが、ますます、アメリカのリベラルアーツの教育が、人類に必要になってきますね。
「問題解決能力を鍛え、一生どこでも活躍できる人材を育てる」
どんなにAIが発達しても、こういう教育を受けていれば大丈夫ですね。
理系・文系・芸術系・体育系と分かれていない教育、物理とアートを一緒に勉強することもできる。
当研究所から留学した学生で、自分はなんとなく経営学専攻にしたんだけど、ルームメイトのアメリカ人が音楽専攻で、あまりに楽しそう。
なので、自分も音楽専攻に変えた、というような話がありますが、何でも勉強できるということは、それが、自分が本当に好きかどうか、本当に楽しいかどうか、考えなければなりませんよね。
経営学を勉強していれば、どこかの会社に入ってやっていけるんだろう、という話とまったく違います。
これからの世界の動きを考えると、いまの日本の教育ではむずかしいですよね。
それでも日本の企業は、AIによる業務の効率化が進んでいないので、未だに人手不足と言って、大学在学中の就職合戦が、いつもニュースになっています。
日本の企業の生産性が低いので、日本そのものがどんどん没落していくというのに何の変化もなく、みんな何も感じていないのかしら、と思いますね。
どこかで日本が崖から転げ落ちないようにと祈るばかりです。
どうする日本!!
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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。