留学生のための大学訪問記:Seven Sisters セブンシスターズ
みなさん、こんにちは。アメリカの高校で進路指導のカウンセラーをしている佐和です。
アメリカにはいくつか有名な女子大学があります。
とくに「セブンシスターズ(Seven Sisters)」と呼ばれる名門女子大学7校がよく知られています。
- バーナード・カレッジ Barnard College(ニューヨーク州)
- ブリンマー・カレッジ Bryn Mawr College(ペンシルベニア州)
- マウント・ホリヨーク・カレッジ Mount Holyoke College(マサチューセッツ州)
- ラドクリフ・カレッジ Radcliffe College(マサチューセッツ州)
- スミス・カレッジ Smith College(マサチューセッツ州)
- ヴァッサー・カレッジ Vassar College(ニューヨーク州)
- ウェルズリー・カレッジ Wellesley College(マサチューセッツ州)
これら7校のうち、ラドクリフ・カレッジはハーバード大学の一部となり、ヴァッサー・カレッジは男子学生も受け入れるようになったので、現時点で残っているセブンシスターズ は5校です。
もともとアイビーリーグをはじめ、多くの大学はすべて男子校でした。そこで、女子のための大学として設立されたのが、セブンシスターズをはじめとした全米の女子大たちです。どれも小規模のリベラル・アーツ・カレッジで、女子だけでのびのびと学業に親しめるような環境づくりがされています。基本的に、いずれも私立大学です。
このうち、3校を訪問してきましたので、そのレポートをお届けします。
ブリンマー・カレッジ
Bryn Mawr College
Bryn Mawr Collegeは大都市ペンシルベニア(人口151万人)から電車で30分くらいのところにある女子大学です。
1885年設立。全米でもとりわけ美しいキャンパスとして知られています。その通り、ゴシック調の建物がとても素敵なキャンパスでした。今回は娘と一緒に10校ほどいろいろな大学を見て回りましたが、娘はBryn Mawrのキャンパスが一番素敵だったと言っています。
Bryn Mawrの町は本当に小さな町ですが、大学から出ているシャトルで5分のところに大きなショッピングモールがあり、必要なものは何でもそろいます。
また近くに日本スーパーや日本語がしゃべれるお医者さんもいるそうで、留学生には心強いのではと思います。近くにあった素敵な日本の陶磁器のお店で聞いてみたところ、この辺りは日本人もかなり住んでいるそうです。
ここは女子大学といっても、歩いて5分ちょっとのところにあるHaverford Collegeと協定を結んでいて、それぞれの学生がお互いのキャンパスを行ったり来たりしているので、キャンパス内に男子学生がけっこういて、あまり女子大という感じはしませんでした。どのクラスでも男子学生が一緒だそうです。ほかに、Swarthmore Collegeという共学の名門大学でも授業を受けられます。
ここのダイニングホール(学生食堂)は、ハリー・ポッターの映画に出てくるダイニングホールとそっくりなのですが、大学もそれは承知していて、学生のためにハリー・ポッターがテーマのディナーパーティーを毎年開いているそうです。
1年中、楽しそうな伝統行事があって、たとえば5月のメイデー(May Day)には、みんな白いワンピースを着て花の冠をかぶったり、また新入生は特別なランタンをLantern Dayにいただけるのですが、学年ごとに色が違っていてそれが特別だったり、本当にいろいろあって楽しそうでした。
以下の写真は、キャンパスセンターにあるメールルーム。みんな自分のメールボックスにシールを貼っています。
メールルーム
ウェルズリー・カレッジ
ヒラリー・クリントンさんが卒業生であることで有名なWellesley Collegeは、ボストンから車で30分、電車で45分ほどのところにある女子大です。
このあたりは高級住宅街としても有名です。アドミッション・カウンセラーに「学生たちは、好んでこのスーパーで買い物する」と教えられて行ってみたらあまりの高級スーパーで、びっくりしてしまいました。
500エーカー(東京ドーム43個分)もある美しいキャンパスは湖(!)を囲んでいて、学生寮の窓からその湖を臨むと、まるでリゾートのようでした。
Wellesley Collegeには、およそ2,400人の女子学生が学んでいます。MIT・バブソン大学・オリン工科大学・ブランダイス大学と協定を結んでいて、それぞれの大学で授業を受けることができます。MITは電車で40分ほどなのでちょっと遠い感じですが、オリン工科大学やバブソン大学は車があればすぐ近くです。
下の写真は学生寮の1つです。湖を見下ろしています。
学生寮
そして下が湖の写真。ボーイフレンドとこの湖の周りを3回歩くと結婚につながると言われているそうです。かなり大きな湖です。暖かくなるとみんなで泳いだりするそうです。
キャンパス内の湖
下の写真はLulu Campus Center。カフェテリアやラウンジ、ビリヤード台などがあるゲームルームが入っています。スタディスペースもいっぱいでした。
キャンパスセンター
スミス・カレッジ
Smith Collegeはボストンから車で2時間ちょっとのNorthamptonという町にある名門女子大です。
Northampton は人口30,000人ほどの町ですが、学生向けのカフェやレストランがたくさんありました。学生数はおよそ2,200人。大学と町が一体となっている感じです。町中が学生で賑わっています。
この大学はFive College Consortiumというグループに属していて、グループの他の大学:Amherst College、University of Masssachusetts Amherst、Mount Holyoke College、 Hampshire Collegeでもクラスをとれるようになっています。
ツアーをガイドしてくれた4年生の学生は、University of Masssachusetts Amherstまではシャトルバスが出ているので簡単に行ったり来たりできると言っていました。
スミス・カレッジ
Smith Collegeは「オープンカリキュラム」でもよく知られています。オープンカリキュラムとは一般教養の必須科目がないカリキュラムのことです。
下の写真は2年前に建てられたばかりのNielson Library(図書館)です。勉強スペースもたくさんあります。
図書館
下はCampus Center。ここもスタディスペースでいっぱいでした。グループでのんびりしたり勉強したりしています。ちょっと見えませんが、たくさんクラブやイベントのポスターが貼ってあって、ポスター作成のためのスペースもあるそうです。
キャンパスセンター
どうして女子大なのか?
どうして女子大に行きたかったの?
娘はこの質問を、ツアーガイドの学生に毎回聞いていました。
スミス・カレッジの学生ガイドはSTEM(理工系)専攻で、女子だけのほうが自分のペースで勉強できるかもと考えてここに来たと教えてくれました。理系のクラスは男子が多数を占めている大学も多いと思います。
私の娘はいま地元のオレゴン大学で数学のクラスをとっているのですが(Introduction To Proof:証明論)、30人いるクラスで女子学生は彼女を入れて3人だけだそうです。
またこの学生ガイドは、もともとは大学院に行くつもりはなかったのだけれど教授が薦めてくれたこともあって来年は大学院に進むそうです。これは小さいリベラルアーツ大学だからこそかもと言っていました。
またブリンマー・カレッジの学生ガイドは、女子だけの環境にいるほうが自分に自信がつくと思ったからだそうです。
私が感じたのは、この3大学の雰囲気が全然違うということです。同じ小規模の女子大とっても、それぞれの大学の個性があるものだとあらためて実感しました。やっぱり事前にしっかりリサーチするのは大切ですね!
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