留学生のための大学キャンパス訪問記:Haverford College ハバフォード・カレッジ
みなさん、こんにちは。アメリカの高校で進路指導のカウンセラーをしている佐和です。
春休みを利用して、ニューヨークにいるおばあちゃんを訪ねがてら近辺にあるいくつかの大学を訪問してきました。
こちらの高校の春休みは3月から4月にかけて。やっぱり春休みということもあって、けっこうどこの大学も訪問者がいっぱいです。しかもまだコロナの心配があるので、キャンパス訪問の予約をとるのも大変でした。
キャンパス訪問自体は無料なのですが、どこの大学も20人程度にグループのサイズを絞っています。
なおアメリカではジュニア(日本の高校2年生)になると、こうやって春休みや夏休みなどを利用して大学を訪問する家族が多いです。
さてやっと予約がとれたキャンパスツアー、まず訪問したのはペンシルベニア州フィラデルフィアにあるHaverford College(ハバフォード・カレッジ)です。名門のリベラルアーツ・カレッジで、「ミニアイビー」(アイビーリーグ大学の小規模版)の代表格です。
参加者はアリゾナ、フロリダ、アラスカなどアメリカ各地から集まっていました。ツアーガイドは英文科に属していて、サッカーとスペイン語が趣味だという、元気そうな大学4年生です。
広々としたキャンパス
ハバフォード・カレッジの特徴
Haverford Collegeは1883年に設立され、200エーカー(東京ドーム約17個分)の広々としたキャンパスに1,500人ほどの学生が学んでいます。
少人数制が徹底されていて、学生と教員の数の比は8:1に保たれ、授業もそのほとんどが学生数20人以下という規模です。
また学生の98%と、教員の40%がキャンパス内に住んでいて、とてもアットホームな雰囲気です。
コンソーシアム(大学協定)
Haverford Collegeは「トライ=カレッジ・コンソーシアム(Tri-College Consortium)」の一員で、在学生はこのコンソーシアムの他のメンバー大学であるスワースモア・カレッジ(Swarthmore College)とブリンマー・カレッジ(Bryn Mawr College)の授業も受けることができます。いずれも名門のリベラルアーツ・カレッジで、ブリンマーは女子大です。
とくに、歩いて10分くらいのところにあるブリンマー・カレッジとはとても親密な関係を築いていて、Haverford Collegeの学生の98%が、一度はブリンマー・カレッジの授業をとるくらいです。
またHaverfordは「クエーカー・コンソーシアム(Quaker Consortium)」にも所属していて、アイビーリーグの名門ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)の授業を受けられます。
コンソーシアムに所属している大学間を、15分おきにバスが行き来しているので、移動も便利です。
オナーコード(Honor Code)
Haverford Collegeでは1886年に、学生と教員の投票によりオナーコードが採用されることになりました。
オナーコード、日本ではちょっと聞き慣れない言葉だと思います。
これは個人としてもまた集団としても、学生が守るべき約束事を学生が主体的に守る、教員もそれを信じる、ということです。
たとえば学生は試験において、他の学生を助けないし、他の学生の助けを借りない。まぁ考えてみれば当たり前ですよね。
でもHaverford Collegeはこれが本当に徹底していて、テストは自分の部屋で受けるのが当たり前なのです。ネットで調べたり友だちに手伝ってもらったりはしていないことを、教授が100%信頼しているからです。
もちろんこのオナーコードはHaverford Collegeにとってはとても重要で、出願者はこれについての作文を提出しなければなりません。また入学するときにも、これに同意する誓約書の提出が求められます。
また、このオナーコードはすべて学生によって管理され、教職員と学生によって、毎年改正されています。
オナーコードは大学運営にもかかわってくるものです。
たとえば下の写真の建物は、アートハウスといって学生ならだれでもいつでもアートに打ち込めるスペースとなっています。
アートハウス
じつはこのアートハウス、2年前のオナーコード改正の際にこのようなスペースが必要だという学生からの強い要望があったために、アートハウスとして認可されたのです。大きな壁画はアートハウスになったことを記念して描かれたそうです。
ハバフォード・カレッジの図書館
私は大学図書館のファンなのですが、このHaverford Collegeの図書館もなかなか素敵でした。
2019年に改築されたばかりで、グループで一緒に勉強できるスペースでいっぱいでした。
図書館
上の写真は、図書館の館内で、そのなかでも人気が高いJam Boardがいくつか使えるスタディスペースです。Jam Boardは写真の左側にあるiPadを大きくしたような多目的スクリーン。これを使って勉強しているグループもちらほら見かけました。そのほかにもホワイトボードなど、使えそうなものがいっぱいありました。
図書館の外観
キャンパスには、マスク着用を奨励するポスターがあちこちに貼ってありました。この図書館の入り口にもそのポスターが貼ってあります。黒いリスは、ハバフォード・カレッジのマスコットです。
ハバフォード・カレッジのいいところ
一緒にキャンパスを訪問した、うちの高校生の娘に大学の印象を聞いてみました。
- オナーコードはとてもいいなぁと思った。話を聞いてみると、学生同士が本当にお互いを信頼していて、寮のドアの鍵を閉めなくても何も盗まれないらしい(※これは本当にアメリカではあまり聞いたことがありません)。これなら安心して寮に住めそう。
- 構内に大きな樹木園(Arboretum)があって、散歩やジョギングしている学生もたくさんいて、いいなぁと思った。
- 歩いて20分くらいのところにとても大きなショッピングモールがあって、何でもそこでそろうのは便利。ゆったりとしたキャンパスの雰囲気とは大違いで驚いた。
とのことです。
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