2021年9月に新年度を迎えるアメリカの大学。コロナ対策は? ワクチンは?
みなさん、こんにちは。アメリカもここのところ春日和です。ひょっとしたらそのせい? ということはないと思いますが、ここのところかなりの大学が、2021年の9月には大学生活を通常に戻すという方針を発表しています。
「通常に戻す」がスローガン
コロンビア大学は、9月までには学生はもとより教職員もみんなワクチン接種が施行できる見通しで、また多くの学生が学外ですでにワクチン接種を受けているので、新学期はコロナ以前の大学生活に戻すことを目標として掲げています。
またオレゴン大学は、ワクチン提供も始まり、9月からはほぼ全面的に授業を対面で実施し、大学関連のイベントやスポーツ等もみな再開する予定だとWEBサイトに発表しました。
ほかの多くの大学も、このようにとても前向きな姿勢を見せています。
学生にワクチン接種を義務づけられるか?
現在コロナのワクチンは、FDA(※)の「緊急使用許可」しか出ていません。
※FDA:Food and Drug Administrationの略で、アメリカ食品医薬品局のこと。政府機関です。いくつかの責務がありますが、医薬品の有効性及び安全性を保証することもその1つです。
「緊急」使用許可しか出ていないワクチンの接種を義務づけることは、少なくとも法的には、いまのところできません。この「緊急(emergency)」が「通常(normal)」になれば、各大学は学生たちにワクチン接種を必須とすることができます。これは、今後の大きな論点となるでしょう。
ワクチンを接種するとごほうびがもらえる?
アメリカは州によってワクチン接種の方針が一貫していません。各大学もそれぞれの州の方針に沿わなくてはならないので、おそらく頭を抱えているかと思います。それでも、いくつかの大学がワクチン接種に関して具体的な方針を発表しています。
ノースダコタ州のDickinson State Universityは、ワクチンを接種した学生は特別なブレスレットあるいはピンがもらえて、それをつけているかぎりマスクをつけなくてもいいという方針を打ち出しました。現在のところ、マスク着用は全学生必須となっています。ワクチン接種そのものは任意です。
アメリカでは日本と違ってマスク着用にまだ違和感をもっている人が多いので、これはかなり効果があるかもしれません。このようにワクチン接種の「特典」を設けている大学はほかにもあります。
またニュージャージー州のRutgers Universityは、対面授業を受けたいと考えている学生にはワクチン接種を求めるとしています。Rutgers Universityは州立の大規模大学です。他の大規模大学も、この動向には注目していると思います。ほとんどの学生は対面授業に戻りたいと考えているはずですから。
カリフォルニア州の州立大学も、ワクチン接種を義務づけることをアナウンスしました。これは100万もの人が対象となります。
ワクチンへの抵抗感
ちょっと話が変わりますが、コロナのワクチンも普通の予防接種の一種であることを考えてみてください。アメリカ大学に留学する際には、さまざまな予防接種が求められます。
アメリカは「予防接種先進国」ともいわれていて、アメリカの子どもはかなりの数のワクチンを受けているものです。そのせいもあって、アメリカ人の学生は予防接種自体に慣れているし、コロナのワクチンもやはり予防接種なので、おそらくスムーズにいくと考えている大学が多いかと思います。
またCampus Pulseがアメリカの大学生1,000人にアンケートをとったところ、約7割が、大学がワクチン接種を義務づけるのは理にかなっていると回答したそうです。大学も学生も、ワクチンの安全性については信頼している状況が見えてくるかと思います。
16歳以上であればだれでもワクチンを打てる
アメリカでは大規模な接種プログラムが各州で行われています。感染リスクによりいくつかのグループに分けて一番リスクの高いグループから順番に接種を行っていますが、16歳以上であれば、だれでもワクチン接種が可能になっています。そして、国籍も問われません。つまり、日本人留学生でもワクチン接種を受けられるということです。
現在のところ、まだ需要と供給のバランスがとれていない州もかなりありますが、全体的にはいい方向に向かっている感じです。
ノースカロライナ州のDuke Universityでは、学生に向けてのワクチン接種をキャンパス内で始めると発表しました。3月初めに感染者が増えてキャンパスを閉鎖していましたが、このワクチン供給によって危機を乗り切ろうとしています。
プリンストン大学やボストン大学などでも、キャンパス内でのワクチン接種が始まっています。
ワクチンの副反応
ワクチンの安全性や副反応等のニュースは日本でも報道されていると思いますが、副反応に関しては、私の周りではちょっと腕が痛くなったり翌日だるく感じたりする以外には、大きな副反応はありません。このワクチンによる重大な副反応は、本当にめずらしいと思います。
とはいえ、エリアによっては感染者が増えたりしていることもあって、確実なことはいえませんが、アメリカの大学キャンパスが今年の9月からほぼ普通に戻るだろうことは、期待できそうな気がしています。
著者紹介
アメリカのオレゴン州在住の山本佐和です。アメリカ生まれで、子どもの頃からずっと日本とアメリカを行ったり来たりして育ちました。大学生の息子と娘、高校2年生の娘がいます。
山本佐和さんの記事一覧
- 第1回 コロナ禍だからこそ、普段できない生きかたを。アメリカの大学生たちのポジティブな発想
- 第2回 大学に受かったけど入学を延期して好きなことをしてみたい。アメリカの大学の「ギャップイヤー」について
- 第3回 ハーバードもキャンパスをオープン。厳しい隔離ルールを紹介します
- 第4回 アメリカの大学の「スポーツ推薦枠」。学業優先の大学スポーツのありかたを、解説します!
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