大学に受かったけど入学を延期して好きなことをしてみたい。アメリカの大学の「ギャップイヤー」について
みなさん、こんにちは。オレゴン在住の山本佐和です。きょうは日本ではあまり知られていない「ギャップイヤー」についてお話ししたいと思います。
ギャップイヤーって皆さんご存知ですか? これは、大学に受かった学生が入学前(あるいは在学中)に1年ほど休学して好きなことをする制度です。
アメリカではここ数年かなりギャップイヤーをとる学生が増えてきました。オバマ元大統領の長女であるマリアさんもそのうちの1人です。とくに今年はコロナのせいでとても人気です。
ちなみにうちの息子はいま大学3年生ですが、新入生当時4人のルームメイトと大学寮の3LDKをシェアしていました。その4人のうち2人がギャップイヤーをとっていたそうです。
ハーバード大学のキャンパス
ギャップイヤーとは?
ギャップイヤーは、入学前(あるいは在学中)に1年ほど休学する制度です。半年お休みする場合はギャップセメスターといいます。
アメリカでは毎年4万人ほどの学生がギャップイヤーをとっています。2020年度はコロナの影響で、その数がほぼ3倍になっています。ハーバード大学では新入生の約20%がギャップイヤーをとり、話題になりました。
ギャップイヤーではどんなことをするのか?
ギャップイヤーで何をするのか、というのは学生によってまちまちです。
- 長期間の海外旅行
- ボランティア活動
- 仕事
- インターンシップ
- リサーチ
などが挙げられますが、何かをしなければならない、というわけではありません。
今年はコロナのせいで、これらの活動もなかなかむずかしいですね。インターンシップもリサーチもほぼすべてリモートになっています。
旅行等も海外はむずかしいので、国内の、比較的コロナのケースが少ないモンタナ州(アメリカ中西部に位置するアメリカンバッファローで有名です)などが人気です。
ギャップイヤーをとるメリット
ギャップイヤーをとるメリットとしては、まず、何を専攻するのか考える機会ができることです。
アメリカの大学は専攻を決めなくても受験できるので、興味のある分野でアルバイトの経験などをして試してみることができますね。
もちろん1年働けばかなり貯金もできます。
息子のルームメイトのマシューくんは工学部のエンジニア志望ですが、入学前に1年間ヴィンテージレースカー専門のマニアックなオートショップで働いていました。レース前の整備からパーツ探しまでいろいろやったそうです。
また大学受験はなかなか大変ですよね。アメリカにはいわゆる予備校はありませんが、大学に入る前にちょっと息抜きをしたいという学生もいます。ちょっと違うことをやってみることによって、また大学進学への意欲が高まると思います。
なお、ギャップイヤーの期間中は、基本的には大学に支払う費用は発生しません。大学からの奨学金もそのまま翌年まで持ち越しできます。
ギャップイヤーをとるデメリット
何でもできるギャップイヤー、逆に何をしたいのか、何ができるのかなど、きちんと考えておかないと1年はすぐに経ってしまいます。ちゃんとプランを立てないといけませんね。
金銭的にも問題が起きないように考えておくことも大切です。旅行はとくにお金がかかりますから。
大学卒業が1年遅れますが、アメリカでは就職にはまったく不利にはならないので、その辺りは安心です。逆に好意的に見てくれるところがほとんどです。
これはアメリカだけではないかもしれませんが、就職面接などでは、これまで自分が何をしてきたのか、自分は他の人とはどう違うのか、そのあたりをしっかりアピールすることが大切になります。ギャップイヤーはいろいろなことができるので、自分をアピールするとてもいいネタになるわけです。そしてこのことは就職だけでなく、大学院進学でも重要なアピールポイントになります。
人生のレールから逸れることの大切さ
ギャップイヤーをとった学生のほうが、結果的に成績がよく、大学生活も楽しめたというデータもあって、ハーバードをはじめ大学からも奨励されている(カリフォルニア州立大学などギャップイヤーを認めない大学もあります)ギャップイヤー。
せっかくの学生生活、有意義に過ごしたいですよね。人生のレールからちょっと離れたところで新しい経験を積むことによっていろんなことが見えてくると思います。
日本では、あえて入学を1年遅らせるというのはちょっと考えにくいかもしれません。でも教育の選択肢は1つではないし、受験勉強に疲れたので1年くらいのんびりしたい、という人もけっこういるのではないでしょうか? アメリカの大学は、もちろん留学生に対してもギャップイヤーを認めてくれます。1年のブランクが、留学(や就職)に不利になるなんてこともありません。
最後に、先ほどお話ししたマシューくんの言葉を紹介しましょう。
レースカーを整備するのも最初はおもしろかったけれど、思ったほどではなかった部分もあった。充実した学生生活を送っている友だちが羨ましいこともあった。ただ1年間やってみてわかったのは、自分で考えて自分で行動しないと自分の未来は見えてこないということ。ずっと他人任せにしていても何も起こらない。おもしろくなかった部分は行動しなかった自分のせいだった。それが身にしみてわかったのは本当によかったし、大学生活への姿勢もまったく変わった。
著者紹介
アメリカのオレゴン州在住の山本佐和です。アメリカ生まれで、子どもの頃からずっと日本とアメリカを行ったり来たりして育ちました。大学生の息子と娘、高校2年生の娘がいます。
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