留学生のための大学訪問記:Wesleyan University ウェズリアン大学
アメリカも9月の新学期を迎えました。
今日は、上の娘をニューヨークのコロンビア大学の寮に送りがてら訪問してきたウェズリアン大学(Wesleyan University)を紹介したいと思います。
ウェズリアン大学は、1831に創設されました。名門のリベラルアーツ・カレッジです。
いわゆる「必須科目」がないことでよく知られています。自分の興味に応じて、好きな科目をとっていいということですね。いくつもの分野に興味がある学生にとっては願ってもないシステムだと思います。実際ダブルメジャー(2つの異なる分野を専攻すること)を選択する学生もとても多いと聞きました。
キャンパスのあるミドルタウンという町は、人口が5万人ほど。ニューヨークとボストンどちらからも車で2時間くらいです。
典型的なアメリカ東海岸、ニューイングランド地方の小さな町で、アメリカ植民地時代から建てられているコロニアルスタイルと呼ばれる急勾配の切妻屋根と外壁に細い板を重ね貼りした家が立ち並んでいます。メインストリートにはエスニック・レストランやカフェが軒を連ね、学生で賑わっていました。ウェズリアン大学のキャンパスはメインストリートから坂をのぼって10分ほど。ふと気がつくとキャンパスを歩いている感じです。
ウェズリアン大学のキャンパスツアー
キャンパスツアーには、25家族・75人ほどが参加しました。3人の学生ツアーガイドがそれぞれ25人ほどを連れてキャンパスを歩き回ります。
インフォメーション・セッション(大学スタッフが大学の歴史や特徴などをおおまかに説明し、次いで在学生が短いプレゼンテーションをしたりします)も、ツアー直後に屋外テントの下で行われました。
黄色く塗られた明るいアドミッションズ・オフイス(入学審査を司る部署)の前からツアーは始まります。下の写真がそのアドミッションズ・オフィスです。私たちはテネシー州出身の女子学生に約2時間、キャンパスを案内してもらいました。
アート系の施設が充実
ウェズリアン大学は名門のリベラルアーツ・カレッジですが、中でもシアターやダンス、アートが有名です。ブロードウェイミュージカル『ハミルトン』で有名なリン=マニュエル・ミランダも卒業生の1人です。
キャンパス内には、大学が所有する映画館もあって、毎週違う映画が上映されます。そのほかにも、音楽・ダンスホールや美術スタジオなど、アート系の建物がずらりと立ち並んでいます。じつはこれらの建物はみんな地下トンネルでつながっているそうで、悪天候でも簡単にリハーサルや授業に行けるように配慮がされています。
ウェズリアン大学のキャンパスは、いろいろな建築スタイルの建物が混在していることでも知られています。
CENTER FOR THE ARTSは、ご覧の通りアドミッションズ・オフィスとはガラリと違い、コンクリートづくりのモダンな建物でした。
ウェズリアン大学の学生寮
ウェズリアン大学には約3,000人の学生が在籍し、ほぼ100%が学生寮に住んでいます。これもリベラルアーツ・カレッジらしいところです。
この学生寮が、いろいろなスタイルがあっておもしろいのです。
1年生は、みんな1年生専用の寮に一緒に住むことになり、ダブルあるいはトリプルの部屋が与えられるそうです。
学年が進むに連れてアパートやテーマハウス(※)などオプションが増え、4年生ともなると「Aフレーム」という一戸建ての家に2, 3人で住むこともできるそうです。
学食も、1年生はみんなカフェテリア(学生食堂)で毎食一緒に食べるのが基本ですが、4年生は自炊する学生がほとんどだそうです。
※テーマハウス:同じ興味をもつ学生が集まって、比較的小さなグループ(10〜30人くらい)で一緒に住むことができる寮。日本語のテーマハウスもあります。ウェズリアン大学には「フリーマン奨学金」といって、アジアから各国1名ずつ選抜し、4年間学費を全額支給するというプログラムがありますが、日本からの留学生もこの日本語テーマハウスに住むらしいです。
下の写真は1年生が住む寮。これがいわゆる「普通の」寮ということになりますね。
チャペルとスタジアム
ウェズリアン大学は、もともとはメソジスト系クリスチャンの大学として設立されましたが、現在では無宗教の大学となっています。
キャンパスにはチャペルもありますが、いまではコンサート等にも使われています。なかなか素敵なチャペルで、その隣のシアターとはガラスの連絡トンネルでつながっていました。
キャンパスツアーは、フットボールのスタジアムを見渡せる丘の上で終わりです。
今日は天気がよかったせいか、ハンモックで勉強している学生やブランケットに寝転んで日光浴をしている学生などが見受けられました。
ツアーを引率してくれた学生は、「雪が降ったらみんなここでそり遊びをするのよ」と教えてくれました。
上の写真で、フットボールフィールドの左にちょっと見えるのがカフェテリアです。その前にある白いテントは、コロナのため外で飲食できるように大学がセットアップしたものです。右に見えるレンガ造りの建物が図書館です。
ウェズリアン大学の印象
16歳の娘に、ウェズリアン大学の印象を聞いてみました。
- 学生たちはみんな仲がよさそうで、一緒に学ぼうという雰囲気がある。
- 教授も学生のことを本当に気にかけてくれている感じ。学生ガイドが「1年前にとった授業の教授が誕生日を覚えていてくれて『おめでとう』と言ってくれた」と話してくれたのはいい印象として残っている。
- 大学のスタッフも本当に学生のことを気にかけてくれているようで嬉しい。いつも犬を連れてカフェテリアで学生と一緒に学食を食べているスタッフもいて、気安く「ハロー」と言える雰囲気。
また私としては、このキャンパスは小さいながらエネルギーが溢れているなと感じました。
ツアーをしてくれた学生ガイドもみんなたくさんのクラブや奉仕活動、スポーツ、アルバイトなどでとても忙しそうです。
ミドルタウンが小さな町ですから、「ニューヨークやボストンに出ることもある?」と尋ねてみたら、「じつはあまりキャンパスを出たくないのよ」と教えてくれました。キャンパスには友だちが出るミュージカルやスポーツの試合など、イベントがいつも目白押しだからだそうです。「最初はこんな田舎でどうかなと思ったけれど、いまはとても楽しい」と彼女は笑っていました。
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