アメリカの大学の出張入試。今年もオンラインで開催

面接して翌日には合否が決定

「アメリカ大学出張入試」という催しを、1986年からやっています。

合否の決定権をもつ先生に来日してもらって、書類を用意して面接をしてもらい、結果を出してもらいます。

面接日の1, 2日前に来日してもらい、学生の出願書類(成績表やエッセー、推薦状など)を渡し、事前に見てもらって、次の日に面接を行います。

そして翌日には合否をカウンセラーに伝えてもらうのです。

多いときは15校くらいの先生が来ていたように思います。

先生も大変で、自分1人で合否を決めかねて、面接後にアメリカにコンタクトして、他のAdmissionのスタッフに相談する人もいます。

カウンセラーのほうも、入学させてほしいとガンガン押し込みますから、合否を報告してもらう時間を各1時間ほどとっているのですが、カンカンガクガクです。

合格させられないという学生を、この1時間で押し込んで合格を勝ち取る強いカウンセラーもいます。

合否も交渉次第?

最後に懇親会を開いて、みんなで楽しく食べたり飲んだりしてお疲れ様、とやるのですが、相手が酔っ払ったのにつけこんで「ところで不合格になった○○君のことだけど、明日、帰国前にもう1度会ってくれない?」とか何とか言って、さらに交渉にもちこむカウンセラーもいるのです。

同じ大学にたくさんの日本人が行くのは、あまり好ましいことではないので、たくさんの合格通知を出してもらっても、結局は数人しか行かないことが多いのです。

学生のほうも何校か受けていますし、もちろん、出願しているのは出張入試の大学だけではありませんので、何校か合格をもらった中から選ぶことになります。

出張入試で来日してもらう大学もいつも同じではありません。

どんどん変わるので、ときどきうちのボストンの事務所に、「今年は出張入試やらないの? 招待してもらってないけど」といった連絡が入ります。

アメリカの大学の学費がどんどん上がるので、「日本に面接に来ない?」と声をかけるときに、「たくさん奨学金の枠を用意してほしい」と依頼したりします。

各大学との特別な契約は結びません。

何か特別なことをすると、学生を必ず送り込まなければならなかったり、というようなことが起きるので、しないことにしています。

何人も合格させたのに、蓋を開けたら1人も日本から来なかった、ということで担当の先生が大学からカンカンに(大学の経費で日本に来ているので)怒られて、うちのカウンセラーがすごく恨まれたこともありました。

面接はオンラインより対面が有利

コロナ感染症で、アメリカの大学も来日できなくなり、2020年の春からは、オンラインですることになりました。

時差があるので、アメリカのAdmissions Officeの人は夜から夜中にかけて働かなければなりませんが、アメリカ人もよく働きますよ。

英語での面接は、対面のほうが何かとやりやすいのです。

オンラインだと、隙がありません。そこでうちのボストンのアメリカ人スタッフと、これもオンラインで面接の練習をします。

ひと昔前に比べると、学生たちの英会話はとても上達しているように思います。

英検でいうと2級とか準2級の人も多いのですが、それでも会話はけっこうできています。

ボストンのスタッフとの練習の賜物、と私はカウンセラーから聞かされますが、それでも、やはり、いまの若い人は学校で英会話をやっている効果が出ているのか、みんな緊張したと言いながらもちゃんとできています。

オンラインなので懇親会もありません。

したがって酔っ払ったときを狙って再交渉したり、奨学金を上げてもらう交渉をしたりできません。

カウンセラーは苦戦するところですが、面接が上手にできると売り込みやすいようです。

日米の大学の1番の違いは入学「後」のこと

何か日本の入試と全然違いますね。

まぁこういうやりかたの一部を真似して日本もAO入試なんてやっていますし、推薦入学、というのもあるし、スポーツ推薦もあるでしょう。

ただ、一番大きく違うのは入学後です。

アメリカの大学では、よい成績をとれないと退学になったり奨学金が止まったりします。

1日の授業時間は3時間くらいですが、予習・復習に5, 6 時間はかかります。

もちろん寮生活でないとやっていけません。

スポーツ推薦も成績が悪いと赤シャツを着せられてベンチ入りで試合に出してもらえません。

アメリカの学生はとても成績のことを気にします。

将来がかかっているからです。

ですからある程度自分の能力を考えて、大学を選びます。

大規模大学が苦手なら小規模大学に行けばいいし、高校のときにあまり勉強していなかったら、まずは能力に応じた大学に入学して、途中で別の大学に転校してもいいし、大学院でトップレベルを狙うこともありです。

大学でどれだけ自分でものを考えて意見を戦わせて、社会でやっていける力をつけるのか、それがとても大切なのです。

2022年9月に入学する人たちも、この春には各々の大学や大学院が決まって、学生ビザを取得して、日本を出発する夏があっという間にやってきます。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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