留学したい。でもお金がない。そんなあなたへ。放送大学のススメ

放送大学とは?

アメリカ留学とは何の関係もない、財務省のお役人から転勤のご挨拶が届きました。

心当たりがないので不思議に思っていたのですが、いまごろインターネットで調べられるので、お名前を調べたら、もと放送大学の理事をしていたかたでした。

そういえば、いつも放送大学を紹介していただいてありがとうございます、というお礼状をその方からいただいたことがあります。

放送大学は、当時の文部省と郵政省が中心となって設立された大学です(現在は文科省と総務省の所管です)。

だれでも(とくに社会人が)大学教育を受けられるように、ということですね。

財務省は、理事や評価委員などとして運営を支えています。

放送大学と留学の関係

放送大学のことを私くらい宣伝している人はほかにないと思います。

私もいつ、放送大学の単位をアメリカの大学にもっていけるということに気づいたのかもう忘れてしまいました。

いまのようにドルが高くて、留学がむずかしい時代でも放送大学を利用すればアメリカ留学が可能になってきます。

アメリカの大学は卒業単位が120単位で、1年にだいたい30単位を取得するのですが、そのうちの60単位までどこからもってきても認める、ということになっています。

日本のどの大学からでも、単位をもって転学可能なのですが、これは、通信教育でも可能で、放送大学はその中でも最も費用が安く、受講しやすいものです。

高校生でも大学の単位を取得できる

放送大学は15歳以上であればだれでも受講できます。

高2・高3で30単位取得すれば、高校を卒業してアメリカの大学に入学するのに2年生から入学することになり、3年間でアメリカの大学を卒業できます。

アメリカの大学は単位を修了すれば3年でも卒業できるので、ニューヨーク大学などでは、4年間を3年で卒業しようというのが流行っているそうです。

ニューヨーク大学の学費と食費と寮費は1年間9万ドルですから、4年だと36万ドルですが、3年だと9万ドル安くなって27万ドルで済むわけです。

日本人も、1年で30単位のところを36単位くらいとって死にもの狂いで勉強すれば、3年で四年制大学を卒業することは可能ですが、やっぱりそれなりにハードですから、放送大学で単位を取得していくのがいい方法です。

しかも放送大学は1科目いくらという計算なので、30単位で20万円くらいしかかかりません。

高校を卒業して1年間日本に残って、アルバイトをしながら放送大学を受講して単位を取得するという方法もあります。

早く卒業したいけどアメリカに長く滞在したい

当研究所のいままでの経験では、1年間で60単位を取得した人がたった1人いますが、まぁ1年間集中してがんばっても40単位くらいが可能な単位数だと思います。

したがって60単位もっていきたい人は、高校3年生でいくらか取得しておく必要があります。

また、1年日本に残っている間にトヨタなどの自動車の工場で期間工として働くことも可能です。

期間工は、当研究所の経験からいうと1年でほとんどの人が300万円貯めてきます。

どんなアルバイトより確実で効率がよくおすすめです。

アメリカに長くいたいと主張する人もいます。

その場合、大学を卒業してインターンとして1年アメリカに残ることができます。

うまくいけば有給のインターンにありつけます。

また、STEM系の専攻(いわゆる日本の理工系)で卒業した人は3年のインターンが可能です。

この場合、お給料が安くなりますが、3年契約の就職が可能です。

進路の選択肢としての放送大学

学生本人が何かのきっかけで留学したいと思っても親が留学経験や海外で暮らした経験がなければ(ほとんどがそうですが)、まず反対します。

当然のことだと思います。

親を説得する1つの手段として放送大学で単位を取得する、というのはとてもいい方法です。

本人は留学したい、親は大反対、という親子がよく相談に来ます。

放送大学や期間工の話をすると、親のほうが初めて聞いた、ということが多いのです。

通信教育はなかなか続けるのがむずかしいのです。

塾に通ってみんなと一緒に同じ大学をめざすのも人生ですが、みんなと違うことをするのは、まず、とても勇気の要ることです。

いまの日本では、そんなに勉強ができなくても、とりあえず入学できる大学があり、とりあえず就職できる会社があるのです。

放送大学で勉強して留学をめざすことは、とてもとても、勇気も根性も努力も要るのです。

日本の大学に入学するのに奨学金という名のローンを背負うより、放送大学の単位を日本の大学が認めれば、1、2年働いてローンを背負わずに日本の大学に進学できるのです。

日本には、本当はいろいろな教育の道があるのに、利用しようとか変えようとかいう人はだれもいません。残念なことです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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