僕がどうやって2,500もの科目の中から5つの科目を選んだのか

こんにちは。前回書いたときからちょうど1か月がたち、ブラウン大学での生活に慣れてきたところです。

今回は、前回に約束した通り、ブラウンでの授業がどのような感じなのか、どのようにして決めるのか、ということを紹介したいと思います。

今学期のスケジュール

どのようにして履修科目を決めたのか

結果からいいますと、今学期は5科目とることになりました。最低3科目をとる必要があり、たいていの学生は4科目しかとらないのですが、せっかく大学に来たのだし、チャンスがあるうちに勉強できるだけ勉強しようという精神で5科目に挑戦することにしました。

では、どのようにして約2,500もある科目から5つの科目を選んでいったのか、お話ししたいと思います。

2週間の「科目ショッピング」

科目を選択するサイト

まずブラウン大学では、学期が始まると2週間の「ショッピング期間」(Shopping Period)が与えられます。この期間中であれば授業時間が重ならない限り(宿題などをこなせる限り)、好きなだけ科目をとることができます。

科目の一覧はCourses@Brownというサイトを使って見ることができ、そこからシラバスを読んだりすることができます。

とくに1年生はこの期間を使って、できるだけ多くの、違った分野の科目をとることが薦められています。

この期間に僕は8科目をショッピングしました。結果的に落とした3つの科目は

  • 聖書を政治理論を使って理解する科目
  • 社会学で利用する統計の科目
  • 政治経済学の科目

です。

この2週間が一番スケジュール的にきつかったです(笑)。

でも、2週間もあればその授業でどんなことを学ぶのか、その分野はどんなものなのか、理解できるのでとても助かりました。

この期間中は教授が教科書などをPDFでくれるので、教材費を気にすることなく授業をとることができます。

科目選びにあたって気をつけたこと

科目を選ぶにあたって、気をつけたことがいくつかあります。

1つ目は、授業準備や宿題をやるのにかかる時間です。

課題が多すぎる科目をとると、内容がおろそかになる恐れがあるので、あえて週の合計平均時間を決めて、それを上回らないようにしました(所要時間はシラバスを読めばわかります)。

2つ目は、いままで興味がなかった科目をとること。

これまで国際関係学や国際政治については興味があって勉強してきましたが、多少「環境バイアス」(僕の高校で強制的に文系科目を履修しなければいけなかった)が働いていると思ったので、ブラウン大学に来たからには、いままで興味がなかったものをあえてとることにしました。

そして3つ目は、つねに将来を考えることです。好きな科目をとるのはいいですが、いずれは点と点をつなげなければならないので、いくつかは専攻を決めた際に役立つ科目を選びました。

実際に履修を決めた5科目

そして結果的に選んだのが以下の5科目です。

  1. Honors Introduction to Engineering (上級工学導入)
  2. Multivariable Calculus(多変数微分積分学)
  3. Is Privacy Dead(プライバシーは存在するか)
  4. Object-oriented Programming in Java(Javaを使ったプログラミング)
  5. Chinese 0100(中国語導入)

1つ目は、上級工学導入です。僕自身、驚いています。なぜなら工学に関する授業をとるなんて思ってもみなかったからです。

でも、興味がないからといって専攻するかもしれないリストから外すのはもったいないと思いショッピングしたら、意外とおもしろそうだったのでとることにしました。基礎的な物理の知識しかないため授業に追いつくのは最初は大変でしたが、いまは楽しく学べています。

この授業の何が「工学」かというと、カバーする範囲が広いのに加えて、3つのソフトフェア(Solidworks, MATLAB, Mathematica)を使うからです。

これがまた使うのがむずかしいんですよ。でも、その分マスターしたら汎用性が高いのでがんばっています。とくにSolidworksはパソコン上で3Dのデザインができるので、授業で学んだトルクなどが目に見えてとても助かっています。

2つ目は多変数微分積分学です。これは数学IIIの延長線といったほうがわかりやすいと思います。このクラスをとった理由は、工学をとったのと同じ理由に加え、今後4年間で役に立つ可能性が高いからです。

経済学、コンピュータサイエンス、工学などの理系分野を専攻するにはこのクラスをとる必要があるので、そういった意味でとりました。クラス自体はとてもおもしろいです。教授はユーモアもあり、飽きずに受けられます。僕自身、数学は嫌いではなかったので普通にこの授業は楽しいです。

3つ目はプライバシーに関する授業です。言語をのぞいたらこの学期唯一の文系科目です。

この科目を選んだのもいくつか理由があります。まずこのクラスがFirst-Year Seminar(1年生限定授業)だからです。要は1年生しかこのクラスをとれず、かつクラスのサイズも定員が19人なので、セミナー形式で授業が行われます。

加えて、今学期すべて理系科目だとさすがに睡眠に支障が出るかもしれないという懸念があったり、単に21世紀のプライバシーについて興味があったからという理由もあります。

授業は週1回2時間半で、ほぼディスカッションです。内容はその週にやった読書課題で、いまのところフーコー、トルクヴィルなどを扱いました。

4つ目はJavaのプラグラミングです。このクラスは理論よりも実践を重視したクラスで、テストがない代わりに、毎週プロジェクトをこなす必要があります。たとえば先週はFruit Ninjaをプログラムしました。まだGUIはサポートしてもらっていますが、それ以外は自分でコーディングしたのでとてもやりがいがあって楽しかったです。

しかしやはり難度が徐々に高くなってきていて、最初の課題は2時間しかかからなかったのですが、Fruit Ninjaは9時間ほどかかりました。このクラスは実際に、時間がかかるクラスとして有名で、毎年学生が不眠で苦労すると話題になるほどなので、覚悟を決めてがんばりたいと思います。

5つ目は中国語の導入クラスです。前々から中国語は学びたくて、前学期も中国に関する授業をとったのでこの機会にとることにしました。

授業自体は毎日午前9時あたりから50分ほどあり、基本的な中国語から学ぶ感じで、僕のクラスは10人しかいないので、小規模で言語を学ぶのには最適だと思います。

よく他の人から、「デジタル化した世界でわざわざ中国語の授業をブラウンでとる必要があるのか」と聞かれますが、僕としてはとったほうがいいと思います。少なくとも僕は「授業」みたいなモチベーションがないと本気で中国語を学ばないだろうという結論に至ったからです。

先日読んだ「だれがチーズを動かしたか」にもありましたが、チーズがあるうちは安心して新しいチーズを探しに行かないのと同様に、中国語を学ぶ機会がオンラインにあるうちは「いつでも学べるだろう」という理由で実際に学ばないだろうというロジックです。

授業では日々新しいことを学んでいて、とても新鮮で楽しいです。新たな言語を学ぶのが久しぶりということもあってか、効果的な勉強方法などを試行錯誤しながら見つけています。

ブラウン大学の成績のつけかた

ブラウン大学は、学生に成績主義になってほしくないという理由で、GPAに関しては非常に寛大で、内申書にも成績を書かないなど独自の策をとっています。

また各科目の成績のつけかたも、Letter Grade (A, B, C, D, F)とS/NC(ある一定以上、大抵6割の成績をとったら単位がとれる)があり、理系専攻の学生でも気軽に文系科目をとれるので、このような学びを促進する環境はストレスを感じなくていいです。

ちなみに僕は工学のクラスが義務的S/NC(クラスがむずかしく、完璧主義な学生が苦労しないため)でそれ以外がLetter Gradeです。

次回は学問から一歩離れて、ブラウンでの生活について書いていきたいと思います。日本で大地震が起きたことをニュースで知りましたが、みなさんが無事でいることを祈っています。

 

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