留学して思う、文化の違い

こんにちは! 授業がついこの間始まったと思ったら、あっという間にベロイト大学には冬が来ています(2018年10月時点)。時間は自分が思っているよりもどんどん早く過ぎていきます。

さて今回のブログでは、留学して気づいた文化の違いをテーマに話していきたいと思います。

文化とは?

よく「文化の違いを理解する」「異文化交流をする」という言葉を耳にします。しかし、この「文化」という言葉も(前回のブログのテーマ「アイデンティティ」と同じく)、じつはなかなかわかりづらい概念です。

「文化」を辞書で引くと、

“The beliefs, way of life, art, and customs that are shared and accepted in a particular society”
(ある特定の社会において共有され、容認されている思想、生活様式、芸術、慣習)

となっています。したがって、人間によってつくられたものは何でも文化といえるのかもしれません。

たとえば、茶道、折り紙、剣道などは日本文化の例ですが、そのほかにも家に入るときに靴を脱いだり、場の雰囲気を読んだりするのも、日本人としての「特徴」が反映されているものですから、これらも「文化」といえます。

日本に住んでいると、日本以外の文化に触れる機会があまりありません。そのため「文化」が、どれほど私たちが生きているコミュニティのありかたにかかわっているのか、なかなか気づきにくいと思います。その結果、「文化」という言葉自体はよく耳にするけれど、実際にその意味を理解しているかと問われると、「なんとなく」しかわからないのではないでしょうか。

一方で、アメリカは国土が広いだけでなく、さまざまな人種の人が住んでいます。そのため、日本よりも文化の違いが目に見えてはっきりとわかります。アメリカに留学して実際に文化の違いに触れることを通して、「文化」という言葉の真意を少しずつ理解できたように思います。

当たり前のことが当たり前じゃない

日本と異なる国の人にとっては、私たち日本人には当たり前のことが当たり前ではなくなります。他の国の人と話していると、どんなに小さなことでも、私の行動や考えかたは日本文化の影響を受けていると気づかされます。

渡米後すぐに、ある友だちと、「日本人がどれだけキレイ好きか」についてよく話しました。日本人にとって毎日髪の毛を洗うことは当たり前のようになっています。しかし、他の国から来た人たちにとっては当たり前ではありません。3日おきに洗う友だちも少なくありません。「毎日髪を洗うのは髪によくない」と言う友だちもいました。日本人はお風呂好きでキレイ好き、これも1つの文化ですね。

アメリカでは椅子に座りながら、前にある椅子やテーブルの上に足を乗せている人をよく見かけます。日本人の感覚からすると、なんて行儀が悪いんだ! と思ってしまいます。しかし、アメリカでは普通のことなのです。

フェイクジャパニーズ

同じ大学に通う日本人の友だちと、「フェイクジャパニーズ」という言葉を使ってジョークを言っていたことがありました。彼は、日本人の両親をもちながら、中国で育ったというバックグラウンドをもっていました。そのため、生まれてから約20年間ずっと日本で過ごしてきた私は、彼のことを「フェイク」という言葉を使ってからかっていたのです。

とはいうものの、彼は流暢な日本語を話し、「日本人」としてのアイデンティティをもっているので、お互いに「フェイクではない」ことを承知の上で話していました。ところがあるとき、アメリカ人の友だちの前で、いつものそのジョークを言っていたところ、そのアメリカ人は「そのFakeってどういう意味? どうして〇〇君も日本人なのにFake Japaneseなの?」と聞いてきたのです。

Fakeという言葉にはもちろんいい意味はありません。日本人ならばみんなJapaneseであるはずなのに、日本に住んでいなかった期間があるというだけで、Fake Japaneseと私が彼をからかっていることに、そのアメリカ人の友だちは少し驚いた様子でした。

考えてみたらそれもそのはずです。

アメリカ人は、白人、黒人、ヒスパニック系、アジア系をはじめ、いろいろな人種で構成されています。また人種差別はいまに続く重大な問題です。両親が移民として他国から来たとしても、本人がアメリカで育ち、アメリカ人としてアイデンティティをもっていれば、両親がだれで、どこの出身であろうとも、もちろんアメリカ人です(そもそもアメリカ人とは、先住民を除いて、すべて移民かその子孫です)。

だれが「本当のアメリカ人」でだれが「Fakeなアメリカ人」かというのはとても微妙な問題を孕んでいます。実際にはFakeなアメリカ人など存在しないと思います。日本では、日本人の大半が、日本人の両親をもち日本で生まれ育っているので、人種問題についてアメリカほど敏感ではありません。アメリカの歴史を考えると、Fake Japaneseというジョークは不適切でした。

日本人は心配しすぎ?

セルビアでボランティアした際、あるイギリス出身の女の子に会いました。

彼女は日本で1年間働いていたこともあって、日本語がわかります。あるとき彼女に「日本人は何でも先(将来)を知りたがるよね」と言われたことがありました。そしてそのように言われたことに納得している自分がいました。

先を知りたがるというのは、ある意味、「将来どうなるかが心配」ということであり、それはよい面もありますが、心配しすぎるのもよくないと思います。

就職を例にとってみても、イギリス出身の彼女が言っていたことが表れていると思います。日本では、大学卒業と同時に就職先が決まっていることが望ましく思われ、「まだ就職先決まってないんだよね」と言うと、「あ、まだ決まってないんだ・・・」と、どこか冷たい目で見られることがあるかもしれません。

しかしアメリカでは、大学卒業後就職が決まっていなくても、そのような冷たい目で見られることはありません。卒業後、旅に出る人もいます。みんながみんな、卒業後すぐに就職するというわけではありません。日本人よりも、もっと自由に生きている印象を受けます。

私も留学する前は、就職に限らず先のことを心配しすぎてしまいがちでしたが、いまは先のことを考えすぎてストレスアウトしないようにしてします。

まとめ

文化の違いは、ちょっとした行動や考えかたにも表れてきます。他の国から来た人と触れるときには、お互いの文化を尊敬して理解することがとても大切だと思いました。

日本で暮らしていたときには当たり前だと思っていたことも、客観的に”outsider”として見てみると、当たり前ではなく、むしろ「どうしてこんな行動をとっているんだろう?」と疑問に思うこともあるかもしれません。

だからこそ、自分の文化や相手の文化を理解するのはとても楽しいことでもあると思います。

 

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