地域・学校のタイプ・費用でふるいにかける
全米には約300のボーディングスクールがあります。その中から自分に適した高校を選ぶのは簡単な作業ではありません。偏差値があるわけではありませんし、日本の中学校の先生でもなかなかアドバイスはむずかしいことでしょう。
手がかりとしては、まず地域・学校のタイプ・費用が挙げられます。これらによって、10~20校くらいをピックアップします。
地域
良質なボーディングスクールはアメリカ東部から北東部に多くあります。とくにニューイングランド地方(メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州)に伝統あるボーディングスクールが集中しています。この地方には日本のように四季の移り変わりがあって、冬は雪がたくさん降って寒くなりますが、かえって勉強に励むにはいい気候です。地域的な希望がとくにないのであれば、まずはニューイングランド地方とその周辺の高校から見はじめるといいでしょう。
学校のタイプ
共学か別学か、というのも志望校選びの基準になります。とくに女の子は女子校を前向きに検討してもいいでしょう。女子校では友達もつくりやすく、落ち着いた環境で勉強に専念できます。将来の女性リーダーの育成にも、女子校は力を入れています。
また全校生徒数や男女比、留学生の割合、寮生の割合といったデータもチェックポイントです。ボーディングスクールの生徒数の目安は200~800人くらいですが、一般的には生徒数が少ないほうがキャンパスはフレンドリーでアットホームです。
留学生はどこの学校でもけっこう多く在校しています。だいたい全校生徒の10~20%くらいを占めています。30%を越すようではちょっと多すぎるように思われます。
寮生の割合は、高いほうが留学生には適しています。寮生の割合が60~80%以上であれば、友達がつくりやすく、生活をともにすることで連帯意識も高まるでしょう。寮生の割合が小さい学校は、それだけ通学生(Day Students)が多いということになります。
なおボーディングスクールの中には、5-Day Boarding Schoolといって、「平日のみ寮制」という学校もあります。こういう学校の生徒たちは、週末は自宅で過ごします。留学生は滞在先に困りますので、このタイプの学校は志望校からはずします。
費用
ボーディングスクールの1年度の費用は、学費と寮・食費をあわせて40,000~50,000ドルくらいです。レベルの高い高校ほど学費も高くなる傾向にあります。また学習障害をもつ生徒を対象とした学校も、比較的学費は高くなります。反対に学費が安いのはミリタリースクールや宗教色のきわめて強い高校などです。費用がいちじるしく高い・低い学校にはそれなりの理由がありますので、事前によく調べる必要があります。
以上のポイントを調べるにあたっては、栄 陽子留学研究所が運営している「アメリカ高校ランキング」を活用してください。このサイトでは、全米の高校をさまざまな条件で検索できるほか、それぞれの高校についての特徴やデータを記載しています。
その高校について知る最適の資料
スクールカタログは、各高校が発行している学校案内書のことです。毎年あるいは2年に1回くらいのペースで刷新されます。いまではそれぞれの高校のWEBサイトでオンラインで読めるようになっています。スクールカタログの簡易版をViewbookといいます。
カタログといっても数10ページから100ページを越すくらいの厚みがあるもので、その高校について知っておくべきあらゆる情報が載っています。
スクールカタログには、
- 高校の理念・歴史
- 年間のスケジュール
- カリキュラム
- それぞれの科目の講義要綱
- 成績評価のしかた
- 卒業するための要件
- 停学・退学になる条件
- 教員・職員の紹介
- 課外活動
など、その高校について知っておきたいすべてのことが網羅されています。これを読めばその高校の全貌がわかるだけでなく、複数のスクールカタログを読み比べることで、志望校選びの指針をたてることができます。実際にアメリカまで行ってキャンパスを見学することがなかなかできない留学生にとって、アメリカの高校を知る大きな手がかりになるものです。
スクールカタログを読むことで英語力もつく
スクールカタログはすべて英語で書かれています。読み慣れないうちは戸惑うことも多いかもしれませんが、自分の興味があることや、好きなこと・心が惹かれることは、自然と読めるようになっていきます。英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶ第一歩を、スクールカタログを読むことで踏み出すことになるのです。
いくつかのスクールのカタログに目を通していくうちに、重要なポイントを探し出し、その項目を重点的に読み、それほど重要でないと思われる事項についてはしっかり読まなくても大丈夫だというように、読むコツを習得するようになります。これは実際にアメリカの高校に入ってから教科書を読むときにも役に立つ読書法です。つまりスクールカタログを読むことは、高校生活の予習にもつながるのです。
スクールカタログは楽しく読もう
多くのボーディングスクールのカタログは、だいたい同じパターンで書かれています。一般的に、前半は写真が中心で、後半は授業やカリキュラムについて紹介されています。そしてその学校がアピールしたいことについては、とくにページが割かれて詳しく解説されています。「○○さんの1日」みたいなコーナーがあって、ボーディングスクールならではの生活の臨場感が味わえます。
ボーディングスクールのカタログは、概して写真が満載です。美しいキャンパスと学校生活のさまざまな局面が、とてもよく伝わってきます。ページを繰るだけでも、心がワクワクしてくるはずです。留学準備にあたってとても大切なスクールカタログですが、あまりむずかしく考えないで、楽しく読むことを心がけましょう。
高校のホームページにアクセス
志望校を絞り込むにあたってのもう一つの重要な資料が個々の高校のWEBサイトです。もちろんすべて英語で書かれていますので、ちょっと手に負えないと思うかもしれませんが、それほど心配しなくて大丈夫。だいたいどのボーディングスクールのサイトも似たような構成になっていますので、いくつかの学校のサイトを見ていくうちに重要なポイントが見えてきます。
一般的なボーディングスクールのWEBサイトの構成は以下の通りです。
- About (At a Glance, Fast Facts, Our Heritage) 学校の概要、沿革、施設、学費等
- Admission (For Applicants) 入学要件、カタログ請求、オンライン願書等
- Academics カリキュラム、卒業要件、授業概要等
- Student Life (Campus Life) 学業生活、寮生活、年間行事等
- Athletics (Sports) スポーツチームの概要、試合スケジュール・結果等
- Arts ギャラリーなどの設備、演劇や展覧会の情報等
- Alumni 卒業生への情報、同窓会の案内等
ホームページのチェックポイント
まずAboutで、そのボーディングスクールの概要をつかみます。校長先生のあいさつ、学校の理念や沿革、キャンパスの設備、進学先などが記されています。
Admissionは入学についての要件が記載されています。とくに留学生を対象としたページが設けられていることもあるのでしっかりチェックしましょう。オンライン願書の提出もこの項目内で行います。
Academicsはそのボーディングスクールのカリキュラムの概要です。ボーディングスクールはそのすべてが大学進学校ですから、いずれもしっかりしたカリキュラムが組まれています。いくつかのボーディングスクールのカリキュラムを調べていけば、だいたいどんな科目が必修科目になっているのかがわかるようになるでしょう。