アメリカの大学で「夏休みの研究」というアルバイト
お久しぶりです。アメリカのブランダイス大学(Brandeis University)に留学中のさきです。
大学3年生の秋学期からOrganic Chemistry Lab(有機化学実験室)のTeaching Assistant(TA)と日本語のチューターをすることになり、忙しいけれどとても充実した日々を送っています。
さて、私は夏休みに大学で研究をしていたので、今回のブログではそのことについて紹介したいと思います。
ポスターセッション
夏休みの研究という「お仕事」
私が所属している研究室は Computational Chemistry Labといって、コンピュータを使った実験をしています。
夏休みの間は大学院生3人と大学生5人が研究していました。新学期からは新しく2人の大学院生が入ってきました。
時給は14.25ドルです。基本的に大学院生がメンターとして大学生にやるべき仕事を指導します。実験室に入りたての大学生は、おもに大学院生の研究のサポートをします。
夏休みに研究室で実験したり、インターンシップをしたりする学生は多くいますが、やはり申し込んでインタビューをして、というプロセスがあるので、それなりの準備が必要です(私は普段からこの研究室に所属しているので、インタビューをせずにすみました)。
実際の仕事の内容
研究室の研究テーマ、メンバーの状況、教授の考えかたによって与えられる仕事内容は変わります。私は自分のプロジェクトをさせてもらいました(私が考えた研究という意味ではなく、他の研究室のメンバーのアシスタントでもなく、自分で実験や分析をするという意味です)。
実際に薬品や動物を使った研究をしている研究室では、実験のための水溶液づくりや動物の餌やりなどの下準備も、仕事内容に含まれたりするようです。
具体的にすることとして、以下のようなことが挙げられます。
- 教授と個別のミーティング
- グループミーティング
- Journal article(自分の研究に関係しているもしくは興味がある内容の論文を読み、要約をしたもの)の提出
- 報告書の提出
教授との個別のミーティング
個別のミーティングでは、週に1回、自分の研究の進捗状況の報告と研究中に起きた問題点の報告、解決方法の相談などをします。
グループミーティング
グループミーティングでは毎週違うメンバーが自分の行っている研究もしくは最近読んだjournal articleの内容発表をします。
グループミーティングは30分から1時間が目安になっていて、そのほとんどの時間を話し続けなくてはいけないので、そういうトレーニングをしたことがない大学生にはとても大変です。こういう場面では大学院生のプレゼンテーションがとてもいいお手本になっています。
Journal Article
Journal articleは基本的に自分でどの論文を読むのか選べるのですが、自分がかかわっている研究や、研究室の他のメンバーがやっている研究に似たものを読むほうが、単語やデータ分析のやりかたなどをよく学べます。これはグループミーティングを理解するのに役立つことがあるので、リーディングが苦手な私でも、かなりの時間と労力を使って取り組みました。
私のデスクの写真を載せます。青色のアヒルは、疑問があるときなどに話しかける相手です。研究室に所属したタイミングで教授から渡されます。アヒルと会話をしているうちに疑問点が明確になったり、疑問が解決したりもします。教授やメンターへの相談の一歩手前の相談相手として、アヒルは役立っています。
私のデスク
仕事のシフト
基本的に、週に35時間働くことが目安になっています。
私の研究室はグループでするというよりも、個別で研究して、似た研究をしているメンバーと語彙の定義や計算、分析方法をどうするかという確認や話し合いを定期的にします。
したがって、固定された時間に研究室にいなければならないわけではないので、とても自由なスタイルです。さらに、リモートで働くこともできます(一応最低20時間は研究室で研究すること、という決まりはあります)。
研究室では、大きいパソコンがそれぞれのメンバーに2つずつ与えられます。私は画面が大きい研究室のパソコンが好きなので、基本的に研究室で作業をしていました。朝9時に研究室で研究を始め、16〜17時には帰るという生活です。
朝一番に前日までに提出しておいたファイルの計算が終わっているかを確認し、もしエラーがあれば、問題点を修正して再度提出します。計算時間は早ければ10分で終わりますが、時間がかかるものは2週間以上かかります。エラーなく終わった計算はGoogle spreadsheetにまとめます。下の写真は、準備段階としてやっていたプロジェクトのものです。
ランチを食べた後にjournal articleを読み、その後プログラミングの勉強を少しして、最後にもう一度計算が終わっているかの確認をして帰るという流れです。
スプレッドシートにまとめたデータ
ポスター発表
ブランダイス大学では夏休みの終わりに、学生がポスターセッションをする機会があります。研究をしていればだれでも参加でき、私も参加しました。
いままでポスターをつくったことがなかったのですが、大学がワークショップを開催してくれて、大事なポイントなどを説明してくれたので、それに従いながら試行錯誤してポスターをつくりました。
とはいえ、最終的には同じ研究室のメンバーに手伝ってもらいました。やはり大学院生はとてもまとめるのが上手で、私が初めにつくったポスターからすると、完成したポスターは見違えるようにきれいになっていて、あらためて大学院生のすごさをひしひしと感じました。
会場の関係で、声をかなり張り上げないと聞こえないので、喉が痛くなりましたが、他の人が発表している研究内容が化学だけではなく、生物学、物理学、神経科学、人類学など幅広くて、いままで知らなかったことを知るとてもいい機会になりました。
今回は夏休みの研究について書いていきました。ときには嫌になることもありましたが、ポスターセッションなどでいろいろな研究を知ることで、やはり理科や研究の楽しさ・すごさを実感できました。
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