集中力も高まる? 飲食OKが当たり前のアメリカの大学の授業

みなさんこんにちは。ケンタッキー州のCentre Collegeに留学した鈴嶋克太です。

Centre Collegeに在学していた2018年9月から2020年5月まで、20個程度の科目を履修しましたが、日米の授業スタイルの違いに驚いたこと、日本ではめったにない経験を得られたこと、きつくて泣きそうになったこと、それまでの考えがひっくり返され目が開かれるような学びがあったこと、あるいは、いまの仕事につながるような学びを得られたこと、などなど、さまざまな思い出があります。

今回は、2018年の秋学期(Fall Semester)に履修したHistory (HIS) 120:Inventing the Modern World(担当:Earle先生)を振り返ってみたいと思います。

Centre College
Centre Collegeのキャンパス

授業中に飲食してよい?

HIS120の授業初日。僕は、「シラバスの内容を確実に理解することが大事」と肝に銘じていたので、先生の話を一言一句聞き漏らすまいと耳を傾けていました。

するとEarle先生は、「この授業では、『机の上にコース料理を広げる』というような自他の学習の妨げになる場合を除き、コーヒーを飲んだり、クッキーやサンドイッチを食べたりといった飲食が可能です」

飲食可能? クッキー、サンドイッチも?

冗談で言っているのかと思いましたが、本当でした。

ちなみにCentre Collegeでは、1クラスあたりの受講者数が30人を超えないようなシステムをとっていて、HIS120の受講者も30人。他の授業でも、とくに何も言われていない場合でも、授業中に飲食をしている学生はいました。

日本はどうか?

日本では、「授業中の飲食は禁止もしくは控えるべき」という暗黙の文化がありませんか?

少なくとも、僕自身の日本の小・中学校の経験では、食べものはもちろんダメ。飲みものに関しては、夏の暑い時期限定で水筒の持参が許されていた記憶があります。中身はお茶かスポーツドリンクだけで、ジュースはNG。

高校では授業中の飲みものはOKでしたが、食事はダメでしたね。ただ、そう書いてある校則を見たことはないので、正確に言うと、ダメという「決まり」ではなかったのかもしれません。「授業中は飲み食いしてはいけない」とみんな思っているからだれもやらない。先生もとくに何も言わないし、校則上の決まりもない。ときどき、注意される人はいる。そういう状況だったのでしょう。

大学はどうでしょうか? 僕は日本の大学の一般的風景を知りませんが、100~200人も入るような大教室での講義ならまだしも、「30人以下の少人数の授業で飲食してOK」という文化・雰囲気はあまりないのではないかと思います。

後で調べてわかったことですが、アメリカの大学では、授業中の飲食は許可されているものだそうです。高校でもOKな場合が多いとか。

日米のこの違いはなぜ?

アメリカで授業中の飲食が一般的にOKなのは、「授業の目的ひいては若者が大学に通う目的は、知識や考える力を獲得することだから、授業中に適度な飲食がパフォーマンス(集中力、理解力、思考力)を向上させるのであれば、適宜飲み食いすればよい」という、少し考えれば至極当たり前の理屈が、意識的に実践されているからだと思います。

この理屈、われわれ日本人にとっても理解できるはず。でも、「学校の授業や部活では、皆に合わせて我慢することが必要。手足を止めないように、集中を切らさないことが大事」といった考えかたから、自由な飲食を許さない文化・雰囲気が生まれているのかもしれません。

学生が気兼ねなく理屈を実践できるように、Earle先生も、わざわざ初日に「飲食OK」って言ってくれたんでしょうね。別の授業では、先生自らお菓子を差し入れてくれる場合もありました。

そういえば、アメリカ入国の際、巨大なハブ空港の入国審査で鬼のような行列ができ、2時間ほど待たされたことを思い出しますが、そのときの入国審査官も、ガムとコーラを飲み食いしながら仕事していました。退屈な仕事なので、集中力を維持するためにそうしているのでしょう。ご苦労様です。ただ、はた目で見ると、紙コップを手に取るたびに作業の手が止まっているのが明らかだったので、もう少しテキパキやってくれれば待ち時間を短縮できたのにとも思います。

HIS120に戻ると、内容はかなりチャレンジングで、午前中に90分という授業時間で、疲労や眠気との闘いでもあったので、僕も授業中、コーヒーや甘いものをガンガン摂取していました(笑)。

この授業では、「『歴史学』とは何か?」という問いに対して、自分にとっては革命的な知的経験を得ることができたのですが、それについては次回の記事でお話しします!

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