名門大学への留学をめざすかたへ:やっぱりハーバードに入学しますか?

みなさんこんにちは! 今回の「留学ブログ」では、進学先としてハーバード大学への入学を決断するときのポイントについてお話しします。ハーバードに受かったけど、行くかどうか悩む、というのはぜいたくな悩みかもしれませんが、ハーバード合格者のうち約2割はハーバードに入学していません(それでも合格者のうち8割が入学しているというのは立派な率です)。


20%近くの合格者が入学を辞退しているハーバード大学

ハーバード大学(大学院課程を含む大学の総称はHarvard University、大学課程はHarvard Collegeと呼びます)と聞くと、アメリカ一番の名門校で、日本でいえば東大のようなところと考える人が多いと思います。

実際、2014年度のHarvard Collegeの出願者数は34,295人、合格者数は2,048人で競争率は16.7倍の難関校です。しかしながら、2,048人の合格者のうち実際に入学した人の数は1,662人で、入学率は81.2%です。すなわち、20%近くの人が入学を辞退していることになります。

せっかくHarvardに合格して入学を辞退するなんて、日本人の価値観からは想像し難いことです。日本では東大に合格して入学を辞退する人は皆無に等しいわけですから。

 

名門大学4校に合格した場合・・・

では、アメリカの高校3年生が、 Harvard College, Stanford University, Amherst College, University of Pennsylvania(UPenn)という4校の名門校に出願して合格した場合、どこを入学する大学として選ぶのでしょうか。

アメリカ人にとっては4校とも甲乙つけがたい名門校です。Harvard とUPennはアイビーリーグ校ですし、Stanfordも西のアイビーリーグ校と言われていますし、Amherstはアメリカで1、2位を争うリベラルアーツカレッジです。4校とも、大統領をはじめとしてアメリカを代表する著名人をたくさん輩出しています。

 

学費や規模、立地や気候などを比較すると

学費に関しても、2014年度の授業料・寮費・食費が4校とも60,000ドル前後で、どの大学も高く、それほどの違いはありません。奨学金の申請をすれば、合格した場合、家庭の収入によって大学から奨学金が授与される可能性はありますが、その金額は大学によって異なります。したがって、両親に何千万円もの年収がある家庭の子息・子女でない限り、Harvardに限らずこの4校のなかで1校でも破格の奨学金が出たら、その大学に入学する可能性が高いでしょう。

大学の規模として、Harvardは学士課程(大学1年次から4年次)の学生数が約6,700人、Stanford 約7,100人、Amherst約1,800人、UPenn約9,700人で、Amherstが最も小規模です。大規模大学では大人数で受ける一般教養の科目でさえも、小規模のクラスで教授や優秀なクラスメートで議論を交わしながら、知力や考える力、表現する力を鍛えたいという希望が強い人であればAmherst Collegeを選ぶかもしれません。

所在地として、HarvardとAmherstはマサチューセッツ州、Stanfordはカリフォルニア州、UPennは ペンシルバニア州にあります。東海岸のマサチューセッツ州やペンシルバニア州と、西海岸のカリフォルニア州では気候も住んでいる人の気質もかなり異なります。

カリフォルニアの温暖な気候や開放的な人々の気質に慣れている人が、冬の寒さが厳しく、歴史が古く伝統を象徴するような雰囲気のマサチューセッツ州に行くと、精神的につらくなることも珍しくありません。4校に合格した人がカリフォルニア出身の場合、Stanfordに合格すれば、わざわざアメリカ大陸を横断して東海岸の大学には行かず、Stanfordに入学する可能性が高いでしょう。

また、Harvardはボストン、UPennはフィラデルフィアといったアメリカでも有数の大都会にあり、Stanfordはサンフランシスコから車で30分くらいの郊外にあります。一方、Amherstはボストンから車で約2時間の人口4万人弱の田舎の大学タウンにあります。大学在学中に大都会ならではの文化的行事の機会の多さや人々の多様性といった特徴を享受したいという人は、たぶんHarvardやUPennを選ぶでしょう。

 

専攻分野も重要な比較ポイント

専攻分野についての考え方も入学する大学を選ぶ重要なポイントです。

4校に合格した人が出願時には経済学を専攻したいと思い、願書にもその希望専攻を明示したとしましょう。しかし、出願締切日の1月1日から合格した大学に入学の意思をする期限の5月1日までの期間に、経済学だけではなくビジネスにも興味を持つようになったとします。アメリカの大学は出願時に専攻が決まっていなくてもよいし、入学してから出願時の希望専攻を変更しても構いません。また、専攻は2年生の後半に決めればよいし、専攻を2つ持つことも可能です。

そこで、経済学とビジネスのどちらかの専攻を選ぶのか、あるいは2つとも専攻するのかということを考えるわけですが、4校全ての大学で経済学は専攻することができますが、大学課程でビジネスの専攻があるのはUPennだけです。したがって、この人は経済学とビジネスのどちらか、または両方を専攻できるUPennを入学校として選ぶかもしれません。

 

偏差値がないアメリカにおける名門大学の選びかた

このように、アメリカ人の学生は大学教育にかかる費用、大学の規模や立地、専攻といった要素を考慮して合格した大学のなかから入学する大学を選びます。日本のように偏差値を基準に大学ランクがピラミッド型を形成し、1つでもランクの上の大学に入学するというわけではありません。さて、日本人学生が4校全てに合格したらどの大学に入学するのでしょうか。やはり、Harvardなのでしょうか。


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