「編入」と聞くとどんな感じを受けますか? アメリカでは大学から大学への編入は特別なことではありません。ここではアメリカの大学への編入について、そのメリットや費用の節約についてお話しします。
もくじ
- 1.アメリカの大学では4人に1人が「編入」経験者
- 2.柔軟な編入が可能な理由は?
- 3.編入可能な日本の大学は?
- 4.編入留学の2大メリット
- 5.編入留学の費用と奨学金
- 6.「放送大学」で留学費用を大幅に節約
- 7.少しでも日本の大学の単位があるなら
- 8.日本の大学かアメリカの大学か?
アメリカの大学では4人に1人が「編入」経験者
アメリカの大学生にとって「編入」はとても身近なものです。4人に 1人の学生が編入を経験しているともいわれています。
ある大学から別の大学へ編入することを Transferといい、短大から四大への編入だけでなく、四大から四大への編入も、ごく普通に行われています。
社会に出れば、入学した大学ではなく、どの大学を卒業したかが問われます。また、大学に入ってみてはじめて自分がやりたいことが見つかることもあります。そこで、まずはレベルや予算に合った大学に入学し、学年が上がった時点での学力や興味によって、別の大学へ移るのがアメリカ式といえるでしょう。
例として、オバマ元大統領は、カリフォルニア州のオクシデンタル・カレッジという四年制大学からニューヨークのコロンビア大学に編入しています。トランプ前大統領も、フォーダム大学からペンシルバニア大学へと、四大から四大への編入を経験しています。
柔軟な編入が可能な理由は?
アメリカの大学生がこれだけたくさん編入しているのは、アメリカの大学が「単位制」だからです。
アメリカは単位のシステムが全米的に統一されていて、大学間の単位の互換システムがとてもよく整っています。ある大学の「心理学概論」という 3単位の科目は、別の大学でも「心理学概論」という 3単位の科目として認められるということです。
また、アメリカの大学は、世界中の大学の単位を認めてくれます。日本の大学の単位もOKです。
編入可能な日本の大学は?
日本の大学からアメリカの大学に編入するにあたって、日本の大学のレベルは問われません。学部も問われません。文科省に認可されている大学であれば、放送大学のように通信制の大学でもOKです。
認められる単位の上限はだいたい 60単位で、これはおよそ 2年分の単位数に相当します。
たとえば、
単位制を活用すれば、このように在学期間を長引かせることなく、アメリカの大学を卒業できます。
1年分の単位を認めてもらえば2年生として編入することになりますし、1年半分の単位を認めてもらえば、残り2年半でアメリカの大学を卒業できます。
すでに日本の大学を卒業している場合
大学を卒業している場合でも、アメリカの大学に編入できます。基本的には大学院への留学を考えるべきですが、別の分野に挑戦したいなどといった場合は大学への編入も選択に入るでしょう。
編入留学の2大メリット
1年生からアメリカの大学に入学するのではなく、まず日本の大学に入学して、それからアメリカの大学に編入することには見逃せないメリットがあります。 なんといっても、留学費用を大きく節約できます。
2年分の単位を認められれば、2年間の留学でアメリカの 4年制大学を卒業できます。アメリカの大学に 4年間在学することに比べれば、留学費用を半分に減らせることになります。
また日本の大学の学部とは異なる分野にチャレンジできるのも、編入留学のメリットの1つです。アメリカの大学では、アートや演劇、音楽などを初心者でも専攻できますので、日本の大学の学部が何であるにかかわらず、こういった分野に新たに挑戦できます。
編入留学の費用と奨学金
アメリカの大学の学費は年々高騰しています。私立のハーバード大学は年間 55,000ドル、州立の UCLAでも年間 47,000ドルです。この学費の値上がりは、留学を志す人にとって大きなハードルになっています。
編入留学を活用すれば、この学費を最大2年間分節約できることになります。
しかし、単位の移行を活用しても、残りの留学期間の分の学費は必要となります。幸い、日本からの留学生、そして編入生でも、各大学の奨学金が狙えます。日本の大学の成績がよければ、奨学金をもらえるチャンスもその額も高まります。奨学金は編入先のアメリカの大学からもらうものなので、返済不要です。
奨学金の額は、年間数千ドルから全額免除までさまざまです。獲得するには成績が重要になりますので、編入留学を考えている人は日本の大学でいい成績をとるように心がけましょう。
奨学金については、「大学留学のための奨学金。その種類と獲得のコツ」を参考にしてください。
「放送大学」で留学費用を大幅に節約
留学費用の節約という点で編入留学はとても有効な手段です。とくに放送大学は、科目ごとの履修(単位取得)が可能で、授業料も安く(1科目につき 11,000円)、働いてお金を貯めながらでも授業を受けられます。
当研究所でも、放送大学で 2年間学び、その間、アルバイトでしっかりお金を貯めて、アメリカの大学に 3年生として編入し、2年後に卒業した、といったケースがいくつもあります。
少しでも日本の大学の単位があるなら
日本の大学に在学していたことがあるならば、取得単位数が 10単位でも 20単位でも、きちんとアメリカの大学に認めてもらいましょう。アメリカの大学は入学審査において最終学歴の提出を求めていますので、履修したことを「なかった」ことにすることはできません。
なかには日本の大学を卒業しているにもかかわらず、コミュニティ・カレッジ(二年制の公立大学)に1年生として留学する人がいますが、コミュニティ・カレッジも1年分の単位は認めてくれますし、そもそも日本の大学を卒業しているのであれば、大学院を狙うべきです。
せっかくアメリカの大学が日本の大学の単位を認めてくれるのですから、あえて日米の大学でダブって同じような科目を履修する必要はありません。
日本の大学かアメリカの大学か?
日本の大学かアメリカの大学かで迷っている、という高校生は少なくありません。その場合は、日本の大学に進学すればいいでしょう。
日本の大学に在学してみて、やっぱりアメリカの大学を諦めきれないとなったら、編入すればいいのです。アメリカの大学は入学金もありません。編入したからといって、余計なお金がかかるわけでも、卒業までの期間が著しく延びるわけでもありません。日米両方の大学を経験するのはいいことです。
最近は、アメリカの大学への編入がそれほどむずかしくないということが知られてきたこともあり、編入留学を希望する人が増えています。日本の大学に疑問を抱いた、別の分野にトライしたい、世界に通用する人材に成長したい、等々、いろいろな理由がありますが、みんな自分自身に誠実に向き合って、前向きに「編入留学」をとらえています。
栄 陽子留学研究所では、これまで数多くの編入留学の指導を行ってきました。より多くの単位を認めてもらうための手段や交渉術、日本の大学での効率的な科目履修の方法など、数々のノウハウを蓄積しています。
編入留学をお考えのかたは、ぜひ一度私たちの「留学相談」をご利用ください。