大学院留学からOPTを経て就職へ。アメリカで働いた経験から学んだこと

アメリカの大学院に留学してスポーツ・マネジメントを学び、修士号を獲得した金澤さん。大学院修了後は、OPT(Optional Practical Training)*を活用して1年間、アメリカでインターンとして働き、その後、外資系の会社への就職も決まりました。このたび帰国して、私たちを訪れてくれた金澤さんが、OPTのことを中心に留学体験を語ってくださいましたので、そのお話をお届けします。

*OPT:留学生がアメリカの大学・大学院を卒業後、アメリカに残って1年間(理工系は3年)インターンとして働ける制度。

シカゴカブスの本拠地球場
シカゴカブスの本拠地球場で撮影した黄昏のリグレーフィールド

スポーツ・マネジメントとは

僕が留学したのはテキサス州にあるDallas Baptist Universityの大学院です。おもに野球チームの経営について、スポンサーの獲得や球場建設の予算策定、自治体との交渉といったことを学びました。

日本の大学でも、地域創成という観点からスポーツチームを軸にした取り組みを研究していたので、そんなに大きな方向転換というわけではありません。

フォートワースの町
ダラスの隣町、フォートワース

どのようにしてOPTの会社を見つけたのか

2023年1月に大学院を卒業しました。当初は、MLBのテキサス・レンジャーズのマイナーチームでOPTをしようと思ったのですが、シーズンが4月からということもあって人材を募集していなかったので、これは断念しました。

それから、アメリカに住む日系人や日本人に向けた就職サイト(QUICK USA)を使って、10社くらいを紹介してもらい、シカゴにある日系商社にOPTとして勤めることになりました。ダラスからシカゴまで、車に荷物を積んで1,000kmの大移動です。

会社の忘年会
会社の忘年会

OPTの仕事内容

その商社では、自動車のライトや半導体の調達、在庫管理、出荷といった業務に携わりました。入荷はシンガポールや台湾などからで、サプライヤーと交渉することもありました。

シカゴに住むのも初めて、社会人経験も初めて、ということで最初は戸惑うこともたくさんありました。ダラスとシカゴでは気候もまったく違いますし、商社に特有の社風に馴染むのに、2か月くらいはかかりました。すべて、一からのスタートです。

初めは運送会社のカスタマーセンターに電話をするにも英語ができず上司から怒られたり、社内の電話対応も、ただの営業電話にすら四苦八苦して冷や汗をかいたりなんてこともありました。ただ、怒られてばかりではなく、研修でサンディエゴに行った際には上司と同僚と一緒に車で2時間半かけてアナハイムまで行き、大谷翔平を見たりなんてこともありました。

大谷翔平が所属していたエンゼルスの本拠地球場Angel Stadium of Anaheim
研修で行ったAngel Stadium of Anaheim
大谷翔平が所属していたエンゼルスの本拠地球場

シカゴでは、長期滞在者向けのAirbnbに住むことにしました。会社から30kmくらい離れていて、毎日、車での通勤です。家賃は1,000ドルくらい。アメリカ、とくにシカゴのような都会の物価が高いのはたしかです。ラーメン一杯、チップを含めれば20ドル以上もします。お給料はもらっていましたが、生活が楽というわけではありません。上司もそれをわかっていて、ときどきご飯をご馳走してくれました。

10月くらいになって今後の進路を考え始めました。社長はメキシコ支店での勤務を提案してくれましたが、やはりスポーツにかかわる仕事に就きたいという思いがあって、縁あって、今度の会社への就職が決まりました。日本のプロ野球やアメリカのメジャーリーグともかかわりのある会社です。

OPTのルールと実情

OPTのルールとして、大学・大学院の専攻と直接かかわる仕事にしか就けない、とよく言われます。僕の経験からすると、このルールはそれほど厳密というものでもないようです。シカゴの商社での仕事も、スポーツ・マネジメントと密接にかかわりがあるとは言えません。

また、アメリカの会社がOPTのことを知らない、という場合もあります。OPTは期限が1年(STEM系の分野は3年)に過ぎませんから、それならばもっと長期間働けるアメリカ人を雇おうという会社もたくさんあります。OPTに関しては、本当に正しい情報を見きわめるのがけっこう大変だと感じました。

OPTの経験を通して

OPTを経験してよかったのは、やはりアメリカの社会を知れたということ。大学院の中にいただけでは見えない世界を実地に体験できたのは大きな財産だと思います。アメリカでのビジネスの回りかたを目の当たりにできたのもOPTの経験のおかげです。

日々上司から厳しくも優しく社会人としての基礎を教えていただけたことも貴重な財産になっていますし、送別会では社員全員からのメッセージつきのプロテインをもらったのも大切な思い出です。

また、日本とアメリカ、両方のことを理解している上司に恵まれたのも、僕の視野を広げてくれたという意味で、とてもラッキーなことでした。日本で通用することがアメリカでは通用しない、その逆もまたしかり、というのは当たり前かも知れませんが、相互をフェアに比較できる視点を身につけられたかなと思っています。

ビーチから見たシカゴの街
ビーチから見たシカゴの街

いろいろなことに挑戦しよう

これから留学しようと思っている人、あるいは留学しようかどうか迷っている人には、是非いろいろなことに挑戦してほしいと思います。学生である間の失敗は、いくらでも取り返しがつきます。失敗を恐れることもないし、失敗したことにとらわれる必要もありません。留学に限らず、どんなことであっても、チャンスがあれば挑戦してください。

もしアメリカに留学するチャンスが得られたら、できるだけ複数の町に住むことをおすすめします。アメリカはとにかく広い。州によって気風が全然違います。それぞれの州の人が、それぞれにプライドをもって暮らしています。しゃべりかたも違うし、政治信条も異なります。でも彼らはそのアイデンティティに誇りをもっているのです。これこそアメリカらしいとも言えます。そんなアメリカらしさを実感するのに、複数の町に住んでみるのはとても有効です。僕自身、カリフォルニア、テキサス、シカゴという三つの異なる場所に住む経験を通じて、人に対する見かたが深まったと思いますし、自分自身の人間性も豊かになったことを実感しています。

 

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