留学生がアカデミック・イベントに参加するとき

アメリカに留学して、特に大学院で学んでいると、研究者や他校の大学院生を招いたシンポジウム等のイベントが多く開催されると思います。私自身もまだまだ勉強中ですが、このようなイベントに一般参加者として(発表する側ではなく)出席するにあたって、どのような心構えが必要か考察します。

 

1. 学びの機会として

まずは、事前に発表者たちの所属や研究内容についてざっと調べ、研究の背景にある理論や方法論、トピックに関するキーワード等を確認しておきます。

私もそうですが研究課程に入って間もないうちは、どこかで耳にしたけれどもよくわからない著書や理論、語彙に多く出くわすことと思います。すぐに関連書籍を読破する時間はないかもしれませんが、オンラインで情報を集めるなどして研究最前線における「言語」を少しずつ蓄積していきましょう。

自分の分野に活かせる内容ならば、休暇を利用して文献を精読するとさらに研究が深まるのではないでしょうか。

当日は発表内容はもちろんのこと、質疑応答の時間にも注目してみてください。場合によってはそれぞれの発表内容に関して代表の専門家がコメントすることがあります。時折厳しい意見もあり発表者は冷や汗をかきますが、本質的にはそれぞれの研究の長所や課題を考えるための学びのチャンスです。その分野での有意義な研究とはどのような研究なのか、このような機会を通じて考察し視野を広げていきましょう。

 

2.ネットワーキングの機会として

このようなイベントでは、発表の合間にたいていランチやティータイムといった社交の場が提供されます。参加費無料のイベントでも豪勢なバフェが用意されていることも多く魅力的です。お食事を楽しみながら発表者や他の参加者たちと知り合いましょう。

発表者とお話しする際には発表内容に関して感銘を受けた点等を切り口に会話を始め、その後ご自身の研究について共有するといいと思います。話が一段落したら「ちょっと食事を取ってきますね」といったキューで会話を終えるのが一般的です。そのためのバフェでもあるので「てんこ盛り」はお勧めできません。お話し好きに自分が「捕まった」ときにも使えるテクニックです。

このような席ではいろいろな研究者とお話ししたいという方が多いですから、特定の人を独占したり、友人であっても常に一緒に歩き回ったりすることは避けましょう。自分も含めシャイな方にとっては落ち着かない時間ではありますが、少しずつ慣れていくしかありませんね。同じ大学の友人とはいつでも話せるのだからイベントでは普段知り合えない人と話すといった心構えが大事です。

 

3. 自分を知ってもらう機会として

前述の内容と関連して、ご自身の研究の意義を伝える話し方を練習することが大切です。

自分の専門はどのようなキーワードで要約できるのか。「面白さ」を共有するのに必要な背景知識は何か。どのような先行研究があるのか。こういった点を踏まえながら、相手の反応を参考に試行錯誤していきましょう。

初対面の席にて英語で説明となるとどうしても言葉足らずになってしまうという場合には、たとえば日本式に名刺を用意してはどうでしょうか。それだけも少しは場が持ちますし、お名前と所属がはっきりするので、相手方から連絡をもらうことも可能になります。

また、研究内容やこれまでの成果などをウェブサイト等にまとめておいて、そのリンクを名刺に記載するのも良い方法だと思います。それに関連して、ネットワーキングサイトや検索エンジンを含め、インターネット上に存在する個人情報は誰の目に触れるかわかりませんから、常に気を配るよう心掛けてください。

 

著者プロフィール:

まさ

慶應義塾大学経済学部を自主退学。栄陽子留学研究所を経てHaverford Collegeへ編入、卒業。言語学専攻・スペイン語副専攻。その後Harvard Universityにて国際教育政策修士号を取得し、アルゼンチン及び日本の教育現場での職務経験を経たのち、現在はUniversity of California, Los Angeles文化人類学博士課程に在籍中。


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