「成績のインフレ」へのプリンストン大学の対応とその経過

みなさんは“Grade Inflation”という言葉を聞いたことがありますか? 直訳して「成績のインフレ」、つまり良い成績をとる学生が増え(すぎ)ている現象のことをいいます。このインフレについては、アメリカの大学では久しく話題になっていて、「もっと厳しく成績評価をすべきだ」という議論が絶えません。

 さて、The Chronicle of Higher Educationによると、プリンストン大学がこのインフレに対して、「A評価を与える割合を全学の35%以内に抑える」ことを目標に掲げた方針を2004年度に掲げ、その経過報告としていくつかのことが指摘されています。

 まず、A評価を得た学生の割合は減りました。反比例するようにB評価が増えています。これはひとまず方針の成果といえるでしょう。

一方で、このことに派生して、どうやら心配すべきこともあるようです。

まず、入学希望者の減少に対する懸念が挙げられます。いまのところ大きな影響はないようですが、出願者の多くが、プリンストン大学の成績評価方針に対して強い関心を抱いているとのことです。

 また、在学生も、成績に対する不安を強めているとのことです。これまで以上に学生同士の競争心が煽られていることが指摘されています。この成績評価の方針によって、学生の教員に対する評価が下がることも、Wellesley Collegeの先例から懸念されています。

大学院への進学と就職については影響はないようです。とくに就職に関しては、GPA(成績の平均値)よりも「プリンストン大学」という名前が幅を利かせているとのこと。

それで結局、この厳しい成績評価方針によってだれが「トク」をしているかといえば、プリンストン大学のライバル校(ハーバードやスタンフォード、イェールなど)だそうです。これらライバル校は、このプリンストン大学の成績評価方針を、プリンストンへのネガティブキャンペーンの材料として引き合いに出しているとのことです。これはプリンストンにとっても思わぬ余波だったようですね。

 

Who needs an A anyway? A lot of folks on campus do

http://chronicle.com/article/Who-Needs-an-A-Anyway-A-Lot/148333/


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