アメリカの大学には 600 を超える専攻分野があるといわれています。そのなかには日本の大学では学べないような分野もたくさんあります。

小さな大学でも 20 ~ 30 の専攻課程があり、大きな総合大学ともなると 100 以上の課程を設けています。専攻のバラエティの多彩さでは、アメリカの大学は間違いなく世界一です。

たくさんありすぎて迷ってしまう? なかなか決められない? 心配いりません。アメリカの大学は、入学時に専攻を決める必要はありません。異なる 2 つの分野を専攻することもできますし、専攻を変更してもかまいません。

このページでは、アメリカの大学の「専攻(Major)」について、詳しく解説します。

目次

1. 専攻とは

専攻(Major)とは、大学在学中に「専門的に学ぶ分野」のことです。アメリカの大学を卒業するためには、何らかの分野を専攻として選ばなければなりません。経営学、アート、心理学などです。

アメリカの大学の卒業単位は 120 〜 130 単位です。このうち 3 分の 1 から半分くらいが、専攻分野の科目になります。専攻の科目のほかには、一般教養科目と自由選択科目とがあります。4年間でこれら専攻・一般教養・選択の科目を組み合わせて学ぶことで、アメリカの大学を卒業できます。

2. アメリカの大学のバラエティ豊かな専攻分野

人気の高い専攻ベスト8

アメリカの大学で人気の専攻分野ベスト8 を紹介します(US Department of Educationより)。いずれもアメリカの大学の「定番」といえる分野ですが、その人気も時代によって変わります。かつては文化人類学なんていう分野が人気でした。ビジネスは、留学生にもとても人気です。人気が高い分野は、カリキュラムもとても充実しています。いずれも、学びがいのある分野です。最近は健康科学の分野にとくに人気が集まっています。コロナの影響で、この人気にさらに拍車がかかるでしょう。

  • 1位 ビジネス
  • 2位 健康科学(看護学など)
  • 3位 社会科学&歴史学
  • 4位 生物学&バイオメディカル・サイエンス
  • 5位 工学
  • 6位 心理学
  • 7位 コミュニケーション&ジャーナリズム
  • 8位 アート

初任給が高い専攻ベスト10

続いて、初任給が高い専攻分野ベスト10を紹介しましょう(US Newsより)。ほぼ工学系です。工学は、宇宙、AI 、バイオ、環境など、ホットな分野にかかわる学問ですが、勉強はとっても大変。必修科目も多く、それなりの「覚悟」も要ります。4年で卒業するのがむずかしい場合もあって、最初から5年間の課程を設けている大学もあります。より高い専門性を求めるならば、大学院で学ばなければなりません。

  • 1位 コンピュータ工学 $69,300
  • 2位 石油工学 $67,150
  • 3位 電気工学・電子工学 $67,000
  • 4位 インダストリアル・エンジニアリング $65,250
  • 5位 化学工学 $64,750
  • 6位 コンピュータ・サイエンス $64,450
  • 7位 材料工学 $63,300
  • 8位 原子力工学 $62,550
  • 9位 機械工学 $62,400
  • 10位 宇宙工学・航空工学 $62,350

将来性のある専攻ベスト10

今後ますます社会に必要とされる、有望な専攻分野ベスト10 です(The Princeton Reviewより)。AI やロボットだけでなく、政治学や経済学、心理学なども、その学識が必要とされる領域が広いので、ニーズが高い分野です。

コンピュータ・サイエンス
ロボット工学、言語認知、AI などホットなトピックが学べる。
コミュニケーション
スピーチ力や文章力が鍛えられる。
政治学
批判的思考力が身につき、読解力と分析力も磨かれる。
ビジネス
リーダーとしての知識とスキルを身につける。
経済学
批判的思考力と数学力が鍛えられる。
英語・英文学
英語の表現力のみならず、人間への深い洞察力が身につく。
心理学
およそ人と接する現場であれば役に立つ。
看護学
就職率は高いが、州の資格が必要なので留学生にはほぼ無関係。
化学工学
環境問題の解決にも期待される。
生物学
メディカルスクール(医科大学院)に進む人には適している。

ユニークな専攻(五十音順)

宇宙工学、E スポーツ、サステナビリティ学など、ユニークかつ最先端の専攻をピックアップします。やはりIT系や環境系に、次々と新しい分野が生まれています。IT、環境、健康。いま最もワクワクする分野かもしれませんね。

宇宙生物学
宇宙の生命のありかた(起源、進化など)を学ぶ。地球外生命の探索もその1つ。
Eスポーツ
最近とくに人気が高まっている。Eスポーツのビジネス的側面を扱うことが多いが、ゲームデザインそのものを学ぶこともある。
サイバーセキュリティ
急成長中。コンピュータ・サイエンスの一分野だが、社会的ニーズの高まりに伴って、専門家の養成が求められるようになってきている。
サステナビリティ学
自然資源を守りながら人間の生活を豊かにすることをめざす学問。いま話題のSDGsはまさにこの分野のトピック。
リーダーシップ学
リーダーのありかたを、さまざまな側面から学ぶ。現役の経営者もたくさん学んでいる。博士課程もある。
リベラルアーツ
一般教養の分野を広く浅く学ぶ。読み書きをたっぷりこなす。卒業後はたいてい大学院に進学して専門分野へ進む。
老年学(ジェロントロジー)
加齢に伴うさまざまな課題(社会的、経済的、心理的など)に取り組む。大学院課程も充実。

その他、VR 、ロボット工学、データサイエンス、IoT など、IT 系の新しい分野が次々と生まれています。

また、雄大な大自然にどっぷり浸って学ぶ野生学や天文学なども "アメリカらしい" といえるでしょう。

一方で、大学では学べず、大学院にしかない課程もあります。医学、法学、獣医学、公衆衛生学、カウンセラー教育学などがそうです。大学では哲学を専攻して、大学院で医学の道に進むなんて人も、アメリカにはたくさんいます。

3. 専攻は自由に選べる

途中で変更しても複数分野を専攻してもOK

アメリカの大学の「専攻」の特徴は、その柔軟性にあります。

まずアメリカの大学は、理系・文系・芸術系という分けかたをしません。大学に出願するときも、大学そのものに出願するので、日本のように「工学部」とか「経済学部」を受験するわけではありません。

入学する時点で専攻を決めておく必要もありません。だいたい2年次の終わりまでに決めればOKです。ハーバードでも、2年生になるまでは専攻を決めないことになっています。

また専攻を変えてもかまいません。じっさいアメリカの大学生の約 3 割が最低 1 回は専攻を変えるといわれています。

「ダブルメジャー」(Double Major)といって異なる 2 つの分野(物理学と演劇とか)を同時に専攻することもできます。また「マイナー」(Minor)といって専攻の〈縮小版〉(日本では「副専攻」といったりします)を選ぶこともできます。

このような柔軟性はアメリカの大学の大きな特長です。こうした専攻のありかたに魅力を感じて留学を志す人もたくさんいます。

なお、日本の大学からアメリカの大学に編入する場合、アメリカの大学での専攻分野が日本の大学の学部と異なっていても、まったく問題ありません。新しいことにチャレンジできるのも、留学の大きなメリットといえるでしょう。

専攻の探しかた・決めかた

もちろん、自分が好きな分野を専攻するのが一番です。

でも 17、18 歳くらいだと、自分が何をしたいのか、将来何になりたいのか、何を勉強したいのかまだわからない、という人もたくさんいます(それが普通でしょう)。 大学の 1、2 年次に、さまざまな一般教養の科目を学びながら、自分の興味や適性を探っていけばいいのです。そこに新しい発見があるかもしれません。「アートの先生がすばらしかったから専攻をアートにした」なんてこともよくあります。それでコミュニケーションの授業も楽しかったので、アートとコミュニケーションのダブルメジャーにする、というのもありです。

自分が興味ある分野のカリキュラムを、大学の Web サイトで調べてみましょう。

行きたい大学が決まっていない場合は、小さなリベラルアーツ・カレッジのサイトから見ていくのがおすすめです。情報もコンパクトにまとまっているし、オーソドックスなカリキュラムもリベラルアーツ・カレッジのほうに多く見られます。大きな州立大学になると、サイトの構造も複雑になって、求める情報を得るのがちょっとむずかしくなります。

専攻によって必修科目や単位数が決まっているので、その内容も Web サイトで確認しておくといいでしょう。

「この専攻ではこんなことを勉強するんだ」ということがわかり、より興味が深まっていくでしょう。STEM* 系は必修科目も多く、勉強もハードです(でも給料はいい!)。人文系はどちらかというと必修科目・単位数ともに少なめです。したがって人文系の分野は、ダブルメジャーもしやすい、ということになります。

* STEM(ステム):Science, Technology, Engineering, Math の略。いわゆる「理工系」分野のこと。

もし自分が打ち込みたい分野の専攻が大学になかったら、「自分で専攻をデザインする」(!)なんて手もあります。いろいろな学科の科目を組み合わせて、自分だけのオリジナルの専攻をつくるというやりかたです。もちろん学びたい専攻課程を設けている大学に編入するという方法もあります(編入はアメリカでは特別なことではありません)。

4. 専攻選びは柔軟に考えよう

大学では「広く浅く」いろいろなことを学び、大学院で専門分野をより「狭く深く」学ぶというのがアメリカの考えかたです。

大学の 4 年間で、できるだけさまざまな分野を幅広く学びながら、知性ある人間としての基礎をしっかり固めましょう、ということです。

大学では、専攻にかかわらず、分析力・判断力・コミュニケーション能力・批判的思考力・文章力が徹底的に鍛えられます。こうした力は、将来どんな道に進んでも役に立つものです。

本格的にその分野を学びたければ大学院で学ぶことになるので、大学の専攻については、そんなに決めつけなくても大丈夫です。専攻を決めないで留学する人もたくさんいます。途中から気が変わる場合もあります。そのときは専攻を変更すればいいのです。専攻については柔軟に考えていきましょう。

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