アメリカで学ぶ留学生が100万人を突破。卒業後は働くチャンスも!?

5人に1人の留学生がインターン

2022年度は、アメリカに留学している学生の数が、12%アップしたそうです。

コロナの影響で100万人を割っていたのですが、また100万人を上回りました。

すごいですね。世界一、たくさんの留学生を抱える国です。

留学生はF-1というビザを得てアメリカに滞在します。

あくまでも勉強に専念することになります。

アメリカでは基本的にアルバイトはできません(夏休みや、キャンパス内の食堂の皿洗いなどに限られます)。

もっとも、キャンパスが大きく、交通手段が車以外にない国ですので、アルバイトをするのに車を買わないといけないという環境です。

それに勉強がとても大変で、なかなかアルバイトをする時間もありません。

勉学を無事終えて卒業すると、オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)といって、1年間インターンをすることができます。

大学の留学生オフィスを通じて申請するもので、これは卒業後、専攻と関連する分野のインターンをできるという制度です。

2016年から、STEM(Science, Technology, Engineering and Math)を専攻した場合、この期間が3年間に延長されるようになりました。

今回の100万人のうち、約20万人がこのプラクティカル・トレーニングで滞在していることがわかりました。

IT系は卒業後、3年働ける

3年間のインターンをしている人たちの多くはTech系です。

要はIT企業ですね。

大学ではComputer and Information Sciencesなど、大学院ではMathematicsなどを勉強していた人たちです。

アメリカの企業は、大学卒のTech系のアメリカ人を雇うとなると、年間10〜12万ドルのお給料を出します。

これがインターンとなると、半額で3年契約で雇えるわけです。

企業にしては、いい条件です。同じ大卒なのですから。

当研究所から留学した人たちの中にも、このような条件でインターンをしている人がいます。

ごく普通の田舎のリベラルアーツ・カレッジを卒業しても、成績がよければインターンに就くのに何の問題もありません。

アメリカで存在感を増すインド人留学生

このようなTech系の企業で働くのは、インド人留学生がとても多く、中国人もたくさんいます。

そもそもTech系企業のエンジニアは、白人男性が中心で、次にインド人、その次に中国人で、女性や黒人、中南米系の人が少ないのが問題になっていました。

日本人は話題にもなりません。

現在、中国はアメリカへの留学を勧めておらず、またアメリカからのビザも取得しにくいため、これからますます、インド人が台頭してくると思われます。

文系でもITの知識が必要な時代

プラクティカル・トレーニングでは、第一専攻で勉強した分野でなければインターンができませんから、Tech系の企業でインターンをするためには、それに関連する分野を専攻しなければなりません。

ただアメリカは「ダブルメジャー」といって2つの異なる分野を専攻できますので、コンピュータと心理学、という組み合わせで勉強することもできます。

アメリカでインターンとして働く経験ができるのはとてもいいことです。

3年も経験を積むと、次の大きなチャンスが来る可能性も大きいはずです。

留学の相談をしてくる人にこのような話をすると、「私は理系はダメなんです」と言う人がとても多いのに驚きます。

アメリカは文系・理系もないし、数IIや数IIIレベルの数学ができなくてもやっていけます。

また、アメリカの大学で一から数学の勉強をしてもかまいません。

しかし、早くから理系・文系と分けられる日本では、「理系に弱い人」という烙印を押されてしまうようです。

これからの時代、コンピュータを使わないで生きていくことはできません。

たとえコンピュータ・サイエンスを第一専攻にしなくても、第二専攻なり選択科目なりでコンピュータの授業をとることは、日本で文系だった人でも問題なくできます。

AIは自己学習でどんどん優秀になっていきますが、それだけにますます、人間がコンピュータの知識を得ておく必要があります。

日本はいつまでも理系・文系と時代遅れのことをしているので、いまごろになって、コンピュータの学部を慌てて立ち上げていますが、もはや世界から取り残されつつあります。

法学部や経済学部であってもコンピュータなしでやっていけないのです。

おまけに、中学生・高校生のうちに理系・文系というレッテルを貼って、理系はムリと思い込ませてしまうなんて、本当にこの先、日本人はどうなっていくのでしょう。

いまごろになって中年の人が慌てて学び直しをやっていますが、自分の子どもが「理系はダメなので文系に行く」などと学校や塾に相談していることを何とも思わないのでしょうか。

まったく、どうする日本!!

(いずれもOpen Doors 2023より)


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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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