アメリカの大学の入学審査
アメリカの大学は、日本の大学のような一回の入学試験で合否を決めることはありません。さまざまな書類を多角的に、時間をかけて審査し、合否の判断をします。アドミッションズ・オフィス(Admissions Office)という入学審査を専門に行う部署がそれぞれの大学にあって、このオフィスが一人ひとりの出願者について丁寧に、フェアに審査して、入学生を選んでいくのです。
一般的には、出願の際に以下の書類の提出が求められます。
- 願書
- 高校の成績
- エッセイ
- 推薦状
- TOEFL®テスト、SAT®などのスコア
これらに加えて、大学によっては面接が課されます。また芸術大学や音楽大学の場合、ポートフォリオと呼ばれる作品集や、オーディションに代わるものとしてCDやDVDの提出が求められることがあります。
出願の時期
アメリカの大学の多くは
という2学期制をしいています。それぞれの学期は独立しているため、入学の時期としては9月と1月の年に2回あることになりますが、日本から留学する場合は、日本の高校を3月に卒業して、その年の9月に入学するのが一般的です。
留学の時期と、準備と出願のスケジュールについては、こちらを参考にしてください。
» 大学留学にベストな時期はいつか
「ベストマッチ」という発想
1回の入学試験で合否を決めるのではなく、数々の書類によってさまざまな角度から審査を行うアメリカの大学は、一人ひとりの出願者の全体像を把握し、評価しようと努めます。それだけフェアで、出願者にとっても納得できる審査がされるということです。
大学にとって、また出願者にとって、大事なことは「ベストマッチ」であるかどうかということです。双方にとってベストな選択がされることが、出願と入学審査において大きく問われるのです。
TOEFL®テストのスコアが高くても、その他の書類が魅力的でなければ合格のチャンスは小さくなりますし、逆にこのスコアが低くても、エッセイや推薦状がすぐれていれば、入学できるチャンスは高くなります。つまり「ありのままの自分」を出願にあたって提示し、それを評価してくれる大学が、「ベストマッチ」につながるのです。テストで高得点をとることがレベルの高い大学への入学に結びつく、という発想はありません。アメリカの高校生は出願にあたっては自然体で臨みます。そうして自分の本当の能力に適した大学に入ることが、大学での生活が楽しく充実することになると考えているのです。
自分のことを知ることから大学留学の準備は始まる
以上のことを踏まえてアメリカの大学への進学準備を始めるにあたっての最初の1歩が、セルフ・アセスメントです。セルフ・アセスメントとは、以下のような観点から自分の現状と自分らしさを探ることで、大学進学の方向性を見定める作業です。
合否にかかわるポイント
- 高校の成績
- 英語力
- 課外活動
- 推薦状
- ユニークなところや強み、魅力
進路にかかわるポイント
- どうしてアメリカの大学に行きたいのか
- アメリカの大学で何を学びたいのか
- アメリカの大学に何を期待しているのか
このようなポイントを手がかりにして、大学留学の方向性を見定めます。またこれらのポイントについて思いをめぐらすことで、効果的な自己アピールの手だてを講じられるようになります。
大学留学の情報収集
アメリカの大学留学についての基礎知識や情報を身に付けることも、進学準備には欠かせません。
現在はインターネットでかなりの情報を得られるようになっていますが、大事なことは、その情報がどれだけ客観的に見て正確であるか、またその情報がどれだけ自分に当てはめてみて通用するかどうかを見きわめることです。出版物の情報についても同じことに注意します。とくに個人の体験談については、それがあくまでもその個人の体験と見聞の範囲に限られることに留意しましょう。
また留学機関などが主催するセミナーやフェアに参加することでも情報を得られます。日米教育委員会で各種セミナーやイベントを開催しているほか、栄 陽子留学研究所でも、毎月、無料の講演会を実施しています
合格をつかむための六つの要素
アメリカの大学は出願者を評価する際に、おもに六つの要素を考慮します。これは“The Significant Six”と呼ばれ、以下の要素のことをいいます。
- 高校の成績
- エッセイ
- 推薦状
- 課外活動
- テスト(SAT®、ACT®、TOEFL®テスト)のスコア
- 面接
これらの要素のうちのただ一つのみで合否を決める、ということではなく、これらを総合的に評価して入学生を選抜するのがアメリカの大学です。
大学によっては、ほかに「州民であること」「レガシー(Legacy。その大学の卒業生の子女)であること」「人種」なども考慮します。
州立大学は基本的に州民を優先します。レガシーが優遇されるのはおもに私立大学です。たとえばハーバード大学の全体の合格率は6%ほどに過ぎませんが、レガシーの合格率となると30%ほどに跳ね上がります。
人種についていえば、黒人やヒスパニック系といった特定の人種の人への教育に力を注いでいる大学があるほか、マイノリティ優遇措置(Affirmative Action)をとっている大学は少なくありません。こうした大学では、マイノリティ(白人以外)の受け入れについて特別な措置をとっています。
キーワードは「多様性」と「バランス」
アメリカの大学がおもに上記の六つの要素を総合的に評価するとはいっても、すべてにおいてすぐれていなければ不合格になるというわけではありません。高校の成績がよいことは非常に重要ではありますが、勉強とかかわりのないことでも、何か得意なことがある、とか感性や視点にユニークなところがある、といったことをアメリカの大学は評価します。
アメリカの大学は多様性とバランスをとても大切にしています。
多様性というのは、いろいろなタイプの学生を集めたいということです。バランスというのは、「バランスのとれた人」というよりも、個性豊かな学生たちを入学させて「入学生全体としてバランスのとれたグループにしたい」ということです。同質の学生ばかりを集めるのではなく、一人ひとり個性の異なる学生たちを入学させることで、お互いを刺激しあい、違いを認めあう環境をつくることに、アメリカの大学は力を入れているのです。
大学にアピールできる自分像を明確にしよう
できるだけ個性豊かな学生を入学させようというアメリカの大学への出願にあたっては、「いかに自分の魅力や個性を大学にアピールするか」ということが大切になります。高校生活を通じて、勉強に、課外活動に、力と個性を発揮し、それを成績表やエッセイ、推薦状などによって大学にアピールするのです。このアピールのしかたによって合否が左右されますので、まずは出願者本人が、自分像を把握することが欠かせません。たとえば、
- 得意なこと、特技
- 印象に残っている出来事、経験
- 自分の長所、短所
- 好きな本や映画
- 好きな科目、嫌いな科目
- 長く続けている趣味
- 家族や友達から指摘される自分の性格
こういったことを手がかりとして、自分の個性、アピールできるポイント、魅力についてよく考えてみるとよいでしょう。このような自己評価をすることで、アメリカの大学に対して効果的な自己アピールの手だてを講じられるようになるはずです。
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