アメリカ留学の「寮生活」とは?

(2021.03.01更新)

みなさんこんにちは!

今回の「留学ブログ」では、アメリカの大学の寮生活についてお話しします!

ハーバード大学の寮

[もくじ]

1. 留学生活の中心は寮生活
2. 寮生活の1日
3. 留学生にとっての寮生活のメリット 
4. 寮生活を乗りきるには

1. 留学生活の中心は寮生活

みなさんは寮生活と聞くとどんなイメージをもちますか?

日本の大学では寮生活はあまり一般的ではありませんが、アメリカでは大都市の一部の大学を除けば、多くの学生が寮で生活しています。

なぜでしょうか。

アメリカの地図を見てみましょう。

大都市のニューヨークやロサンゼルス、ボストンはどこにありますか。

これらの大都市は、アメリカの国土全体からみたら小さな点にすぎません。

広大なアメリカの大部分には大自然が広がり、そこには木々が立ち並び、田園に囲まれた美しい町々が点在しています。

アメリカの大学の多くは、そんな雄大な自然に抱かれた町にあります。

何もない山の中にポツンとキャンパスがあったりするのです。

 

勉強中心の留学生活を送るために――

アメリカの大学のキャンパスは広大で、一つの町のようになっています。

そんな場所に大学があるので、通学すること自体がたいへんですから、アメリカでは寮がたいへん発達しています。 

学生たちは自然に囲まれた環境の中でめいっぱい勉強することができます。

授業やスポーツはもちろん、3度の食事や、大学生活に必要な日用品の購入、シャワー、洗濯、睡眠など、すべてキャンパス内で済んでしまいます。 もちろん保健室もありますし、治安もしっかり守られています。

では、レジャーは?

アメリカの大学生は、日本の学生のように気軽に街に出かけて遊んだり、ひんぱんにお酒を飲んだりなどということはありません。

アメリカの大学はとにかく勉強が大変です。

学生にとってレジャーといえば、スポーツで汗を流すことでしょうか。 スポーツはたくさんできます。

学生は勉強に集中するのが当たり前。

たとえば、図書館は夜中まで開いています。1日24時間オープンの寮もめずらしくありません。

大学の外に出なくても、キャンパスそれ自体が生活の場として機能していて、その中で学生生活がくり広げられています。

気楽な一人暮らしがいいと思って大学の外でアパートを探しても、学生用の手頃なアパートはなかなか見つかりません。

アパートを借りても、そこから大学に通うためのちょうどいい交通手段がなかったりするので、自分で車を用意して運転して行く必要があります。 そうすると時間の効率が悪くなりますし、車の購入・維持のためにおもわぬ費用もかかってしまいます。

やはり日本の大学生活とはかなり違います。

 

社会生活の予行演習の場として

そして寮生活にはもう一つ意味があります。

寮生活では片づけや洗濯などの身の回りのことは自分でやらなければなりません。

これは社会に出て一人で生活するためのトレーニングになります。

また、寮の部屋はたいていが二人部屋です。

性格や生活リズムの合わないルームメイトと一緒の部屋になるかもしれません。

これも社会でどんな人とでもうまく付き合っていくようになるための訓練です。

これらは 「教育」 の一部になっているのです。

大学が自然に抱かれているといった地理的な理由からだけでなく、学生たちには寮生活が必要なのです。

多くの大学生は卒業したら社会に出ます。

社会というのは理不尽なことが多いものです。

学生時代より人間関係がよりきつくなり、自分の思うようにいかないことがふつうにあります。

自分と合わない上司、自分より仕事のできる同僚、勝手なことばかり言う(ように見える)顧客。

そんな環境の中で期待される成果・期待される以上の成果を出さなければなりません。

そのためには、学生時代に人間関係、つまり 「社会」 を学び、社会へ出る準備をしておくべきなのです。

つまり寮は、社会人として自立するための練習場です。

日本では大学生でも親と一緒に暮らすというのはめずらしいことではありません。

ですがアメリカの家庭では、高校を卒業して18歳になった子どもが親と一緒にいるというのはあまり見かけません。

たとえ就職していなくても ― 結婚したからというわけでもなく― 、子供は成長したら家を出るものなのです。

そうしないといつまでたっても子どもが 「自立」 (親離れ)しないからです。

大学へ進学して寮生活を送ることはこの自立(親離れ)の第一歩なのです。

それは社会への第一歩でもあります。

寮生活が必須の大学もたくさんあります。

たとえばハーバード大学では、ほぼ100%の学生が4年間寮生活を送ります。

「18歳になったら大学で寮生活をして親離れをする」、これがアメリカの一般常識です。

そういうわけで、アメリカの大学生活では寮生活が基本になっているのです。

大学は、この考えのもと、授業で知識を教えるだけでなく、学生たちの日常生活にも責任をもちます。

2. 寮生活の1日

では、その大切な寮生活の1日はどんな風に進むのでしょうか。

ある留学生の1日を見てみましょう。

7:00 起床・シャワー

授業に無断欠席すると成績が悪くなるので寝坊はありえません。 親が起こしてくれることもないので、自力で起きます。 シャワーを浴びて身支度。

7:30 朝食

大学のカフェテリア(食堂)で朝食をとります。 メニューはトースト、コーヒー、ジュース類、シリアル、ドーナツ、スクランブルエッグ、ベーコン、ポテト...と盛りだくさん。 メニューは豊富ですがすぐに飽きてしまいます...。

9:00~9:50 授業(中国語)

中国語の漢字はなんとなくわかるが多いので、アメリカ人より有利(!)です。 毎回小テストがあるので気を抜けません。 授業中はなるべく発言するようにしています。

10:00~11:00 フリー

中国語の復習をしたいところですが、次の授業の予習を図書館でします。 宿題で指定された教科書のページを眺めて、重要なところだけ読んでおきます。

11:00~11:50 授業(アメリカ史)

授業は予習してきたことを前提に進められます。 予習していないと先生からの質問に答えられず、熱心な学生ではないとみなされてしまうので注意! アメリカ史はアメリカ人の学生のほうがわかってるので遅れをとらないように、日本語で書かれた本で予習しています。

12:00~14:00 昼食・図書館

朝と同じカフェテリアでお昼です。 朝たっぷり食べたので軽く済ませました。 図書館へ行って勉強。

14:00~15:30 授業(心理学)

次回の授業までに教科書を120ページ読んで、レポートを書く宿題が出ました! これでまた睡眠時間が...。 授業後にわからなかったところを先生に質問しに行きます。 自分の積極性をアピール!

15:30~18:00 図書館

さっそく心理学の宿題をやり始めます。 今週末は街にショッピングに行く予定なのでなるべく早めに宿題を終わらせたい!

18:00~19:00 夕食

夕飯もカフェテリアで。 基本的に食べ放題なので、ついつい食べ過ぎてしまいます。 アメリカに来て1年で体重が 5 kg 増えました...。

19:00~20:00 フリー

寮の部屋で、インターネットで好きなページを見たり、SNSで友達とやりとりしたりします。

20:00~24:00 勉強

再度、図書館へ行って勉強。 今日の宿題と明日の授業の予習です。 図書館は24時間空いています。 周りもみんな勉強しているので集中して勉強できます。 疲れてきたのでコーヒーを飲みにキャンパス内のカフへ。 カフェは2時まで開いてます!

24:00~25:00 フリー ・ 就寝

寮の部屋でルームメイトと話したあと、 SNSで日本の友達とおしゃべり。 そして就寝。

 

以上のようにアメリカの学生生活は勉強が中心です。

寮・教室・カフェテリア・図書館をいったり来たりして1日が終わります (スポーツをする日もあるし、週末は出かけることもあります)。

自然に囲まれた田舎町での単調な生活と膨大な勉強量(宿題量)。

最初は慣れるのがたいへんですが、 しばらくするとそれが当たり前になって、たいへんだけど充実した学生生活 ― 勉強中心の学生生活 ― を送ることができます。

 

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3. 留学生にとっての寮生活のメリット

留学生が寮生活を送ることには、さまざまなメリットがあります。

不自由な生活から学べること

寮はたいていは二人部屋。

一人で自分勝手な生活を送ることはできません。

最初は不自由で不便を感じてしまうかもしれません。

そもそも寮生活は教育の一部なのですから、個人の自由を満喫する場ではないのです。

つまり、寮生活の 「良い点」 の一つは、 自分の勝手気ままを抑制するすべを知り、思いやりや協調性を学べる、という点にあります。

ウィリアムズ・カレッジの寮

「アメリカ」を全身で体感する

また、ルームメイトは基本的にはアメリカ人になりますので、自然とアメリカの生活パターンやマナーを知ることができます。

いまではインターネットも発達してアメリカの情報はいくらでも手に入り、モノの面でも精神的な面でもアメリカは日本の生活の一部になっていますが、やはり現地で実際に経験するのは重みが違います。

アメリカ人のルームメイトのほんの何気ない言葉や行動に、日本との違いを鮮やかに見せつけられることもあります。

こうした 「異文化コミュニケーション」 を日々感じ取り、実践することができるのです。

留学生にとってはルームメイトと必然的に話をすることになるので孤独にならずに済みます。

ときには大学の勉強や生活面で助けてもらうこともできます。 ルームメイトとの日常的な会話を通じて、英語力も飛躍的にアップするでしょう。

 

経済的なメリット

また寮生活においては経済的な面でもメリットがあります。

アメリカの大学では、寮、教室、体育館と図書館を行き来するシンプルな生活を送ることになります。

食事は大学内のカフェテリアでとりますから、外食費はかかりません。通学のために車を買う必要もありません。

キャンパスから1歩も外に出なくても生活は成り立ちますので、寮生活を送る限り、大きな出費をする機会もないのです。

4. 寮生活を乗りきるには

さきほども言ったように、寮生活はルームメイトとの二人部屋が基本です。

他人と一緒に暮らすのですから、気が合わなかったり、生活のちょっとした面で食い違いがあったりすることもふつうにあります。

もちろん育ってきた文化や習慣の違いもあるのですが、 やはり学生個々人の生活態度や価値観の違いが、軋轢を生む元になったりします。

たとえば、ルームメイトが部屋をちらかしたまま全然掃除をしないとか、いつも遅くまで音楽を鳴らしていてうるさくて眠れない or 勉強できないとか。

そんなときに 「そのうちわかってくれるだろう」 なんて日本式に我慢して黙っていると、いつまでたっても問題は解決しません。

なぜならアメリカで 「沈黙」 = 「現状肯定」 だと判断されるからです。

言いたいことがあるなら言いなさい、ということです。 「何も言ってこないからいいのかと思ってた」となります。

何か言ったら誤解されてしまうかも、とか、注意して気を悪くされたら困る、とか、そんな配慮は不要です。 というよりも、ますます相互の不理解を深めてしまいます。

人間同士の理解なんて誤解から始まるもの。

誤解をおそれず言いたいことをはっきり伝えること。 そうするとけっこうあっさりと 「なんだそうだったんだ。 なんで言ってくれなかったの。 それじゃこうしようよ....。」 となったりするものです。

アメリカは、移民を初めとしてさまざまな民族・さまざまな文化や背景をもった人たちが集まっている国です。

そういうところでは、「伝えたいこと」 をどうやって伝えるかがむずかしい。 気持ちや雰囲気だけでは伝わりません。

「言葉」 で伝えるのです。

「言葉」 は仲良くなるための道具ではなく、 伝えるべきことをきちんと伝えるためのものなのです。

「遠慮」 「控えめ」 「謙遜」 といった美徳は悪いことではないですが、 それも相手と同じ前提を共有しているからこそのもの。

まず相手と同じ土俵に立つためにも、言葉を通してお互いの状況をわかり合うことが大事になります。

いま 「土俵」 と言いましたが、 別にぶつかり合って白黒つけなくてはいけないわけではありません。

同じキャンパスで学ぶ学生同士、 共通する悩みや目標や話題もあります。

ルームメイトから英語を教えてもらったり、 ルームメイトのちょっとしたお願いを聞いてあげたりすることもあるでしょう。

お互いに思いやりをもって、助け合うことも大事です。

そういうところから 「友情」 も生まれます

要は、 誤解を恐れず言うべきことを言うこと、思いやりをもってつき合うこと、です。

 

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今回は、アメリカの大学の寮生活についてお話ししました。 留学といえばホームステイをするものだと思う人もいますが、アメリカの大学はあくまでも「寮生活」が基本です。

「寮」というと、なじみのない人はちょっと怖いイメージをいだいてしまうかもしれません。 アメリカの大学生たちも、最初はみんな初めての寮生活にドキドキしているものです。でも、慣れてしまえば「これがアメリカの大学生活のありかたなんだぁ」と納得できるようになるはず。

寮生活を通じて交友も広がっていきますし、1日24時間、苦楽をともにする仲間たちとの友情はきっとかけがえのないものになるでしょう。


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