留学して実感する「当たり前のこと」を伝えるむずかしさ

こんにちは。
栄 陽子留学研究所 ITチームのスタッフです。

英語が使えるようになり、多くの人とコミュニケーションを図ることが出来るようになると、程度の差はあれども、何でも言えて聞けると思えるようになります。そうやって自信を持つことはとてもすばらしい事だと思いますし、海外に留学した場合にはそうやって自身の考えを主張し、相手の意見を取り入れることはとても大切な事です。
ところが、言葉だけではどうしても相手に伝えられない事が世の中には沢山あります。そしてそれを心底実感する事によって「語学力よりも大切な物が沢山ある」と思えるようになります。

「英語がどれだけ分かっていたとしても、授業で説明している内容が分からなければ授業にはついて行けない」という話があります。
例えば数学の因数分解を理解出来ていなければ、説明が日本語だろうと英語だろうと理解する事は出来ません。逆に、その数学の因数分解の内容を理解していれば、多少英語が理解できなくても、数字や記号の並びで何となく言わんとしている事は理解出来ます。


また、学校の授業以外の場でも「語学力だけではどうしても伝えられないこと」が沢山あります。

例えば「梅干しの味」を説明しようとすると、日本人が相手ならばあの口をすぼめたくなるような味わいを直ぐに脳裏に連想出来ますが、梅干しを食べた事が無い人には全くそれが想像出来ません。味覚、嗅覚、触覚、視覚そして聴覚に関わる感覚的な事柄を万人が理解出来るように表現する事は殆ど不可能で、それぞれの人がこれまでに知覚し経験した感覚に頼らなければそれを意図した通りに伝える事は出来ません。

梅干しの場合、海外の人がその外見を見たら「さくらんぼ」や「ブラッドオレンジ」等の味を連想しますし、そこで「口をすぼめたくなるような酸味」と説明すればレモンの酸味を連想するでしょう。そして柑橘類が白米の上に載っているという状態を見れば「日本人は果物をおかずにご飯を食べるのか」と思われるかも知れません。

「梅干しの味」という日本人にとって当たり前に認識しているような事柄であっても、それを日本語で表現するのはとても難しく、しかもそれを英語等の外国語を用いて相手に理解して貰おうとするのは至難の業です。ただ「acidity(酸味)」と言ってもヨーグルトの酸味、トマトの酸味、酢の酸味など沢山の種類の味わいがあり、それらとの違いをつぶさに説明するくらいならば梅干しを持ってきて「食べてみて下さい」という方がよほど簡単です。

「当たり前だと思っている事ほど、実はとても難しい」

留学時等における異文化交流の場において、この認識はとても大切なことです。

「日本の常識は海外の非常識、海外の常識は日本の非常識」というのは、異文化交流に関する読み物では定番の内容です。

知らない人に対して物事を説明するためには、それに関する事柄を深く知っていなければなりませんし、それと同時に自身の経験による充分な裏づけが必要です。しかし、身近なもの、当たり前のものほど、このような認識がおろそかになりがちです。

このように「当たり前のものほどよく知らない、説明できない」事が実は多いものです。

留学を志している方も、そうでない方も、ぜひ一度「当たり前のこと」について考えてみたり、それを知らない人に対して懇切丁寧に言葉で説明する事を試してみて下さい。きっと、そこから新しい発見があると思います。


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