砂川 智

St. John's University(ニューヨーク州) 2002年1月卒業
スポーツマネジメント専攻、ビジネス副専攻

日本の学生からアメリカの学生に

アメリカ独立記念日の翌日にあたる1997年の7月5日、この日が私にとっての4年半にも及ぶ留学生活の始まりとなりました。当時まだ弱冠19歳。高校を卒業したのち、一度は日本の大学に入ったが、一年弱で自主退学。もともと海外留学を夢見ていた僕にとって日本での学生生活は、後の海外留学のために必要となる語学力や留学資金を増やすための、いわばその目的を達成するために必要な手段を得るための期間でしかありませんでした。

しかし英会話学校に通いながら語学力を伸ばそうとがんばっていたが、思いのほか伸びず、次第にそれが効率の悪いものなのではないかと思い始め、ついには親の絶大な理解とサポート、そして強い意志さえあれば語学力が不十分でも行けばどうにかなるのではないかという勇気ある(?)決断をもって、栄 陽子留学研究所の門を叩くことになったのでした。

これからお伝えする僕のこの体験談を、この先海外留学を目指そうとしている方、また、海外留学に少なからず興味をもっている方々に一つの参考としてとらえていただければと思います。

学校選びと友達作りはこんな手で

まず学校選びをするにあたって、僕のように最初語学に自信のない方はまずは田舎と言われる州の大学を選んでみてはどうでしょうか。僕は四年半アメリカで生活してきたわけですが、そのうちの二年間は南部のノースカロライナ州にあるCampbell Universityで、そして残りの二年半をニューヨーク州(ニューヨーク市)のSt. John's Universityで勉強してきました。これは別に最初にいた学校が嫌になったのが理由でニューヨークに移ったというわけではなく、もともとアメリカに渡る前から計画していたことでした。

ではなぜ留学する前からそのように計画していたのかというと、アメリカ留学というのは僕のなかでは、4〜5年という一時的に海外で自分自身を磨くための期間であり、また、一生に一度、ただの旅行という形で訪れるのではなくて、実際その国に住むことで、その国の文化や生活習慣を知ることのできる期間であると考えていましたので、せっかく念願叶ってアメリカ留学が実現したのはいいけれど、そこは多民族国家であり、世界第4位の国土面積を有するアメリカ合衆国。

地域によって全く異なる文化や生活習慣を持つその国でこれから生活していくことになるというのに、一つの州にのみ留まっているのではやはりもったいないのではないかと思い、気候面や地理的位置なども踏まえて、全く異なる二つの州で生活できればもっとアメリカという国を幅広く知ることができるのではないかという考えのもと、全期間の半分をアメリカの典型的な田舎を思い浮かばせるような大学で、そして残りの半分を世界一の大都会と呼ばれる街にある学校で勉強してみたいというプランが常に僕の頭のなかにあったからでした。

そして実際に二つの州に住んでみて文化や生活習慣の違いの他に、人々の気質の違い、言葉の表現方法やイントネーションの違い、そして物価の違い(同じアメリカ国内なのに大きく違う)などといったようなことも発見することができました。このようなことを実際に目にするとともに、肌で感じることができただけでも、僕のアメリカ留学の目的の半分は達成されたのだと思います。

田舎の大学で英語力を伸ばす

ではなぜ語学に自信のない人には田舎の大学がいいのでしょうか? 語学力を伸ばす一番の方法はやはり、現地で多くの友達を作り、日々どれだけ英語を使うかということだと思いますが、その点でいうと、僕の経験上、田舎の学校のほうが都会にある学校よりもアメリカ人の友達を作りやすい環境にあると思います(ちなみに、他の国から来ている留学生とは都会、田舎に関係なく比較的簡単に友達になれると思います)。これはよく日本でも地方出身の人が東京で初めて生活をしてみて、一般的に東京の人たちは冷たいと感じることがあるといいますが、その感覚に似ているのではないでしょうか。

はっきり言って僕の知る限り、ニューヨークにいるアメリカ人学生たちの多くはクールで田舎の学生たちよりもよりインディペンデントであり、よほどの語学力または共通の趣味などがないと親密な関係を築くのは難しいと思います。その点、アジア人自体が珍しいとされる田舎の州では、好奇心本位に声を掛けてくるアメリカ人学生も多くいますし、カソリック系やバプティスト系の学校などでは、日曜日になれば一緒に教会に行こうと誘ってくれたり、うちがやっているバイブルスタディに参加しないかと尋ねてくれたりと、交流したいという意思表示さえすれば友達作りも決して難しいことではないと思います。

スポーツを通じて友達の輪が生まれる

また僕の場合は、スポーツを通じて多くの友達を作ることができました。たとえばソフトボールのチームに加わったりしていましたし、サッカーはそれこそ授業終了後毎日のようにやっていました。イントラミューラル(校内対抗戦)のシーズンになると、みんなが授業をスキップしてでもそれに参加し、夢中でボールを追い掛け回していたことが今でも鮮明に浮かびあがってきます。読者の皆さんの中には、ではどうやって最初その輪の中に入っていったのかと思われる方がいるかもしれませんが、それは実に簡単なことです。

まず、現地に着いたらサッカーボールを一つ店で購入します。そして寮の前、または学校のグラウンドの中でリフティングをしていれば、自然と人は近寄ってきます。そこからパス回しが始まり、次第に二人が三人、三人が四人と、どんどん膨れ上がり最終的にはゲームができるくらいの人数になっているはずです。サッカーが得意な方、もしくは体を動かすことが好きな方などは一度この方法で友達作りに励んでみてはいかがでしょうか。

これが私の生きる術

この四年半の留学生活を振り返ってみると、私にとってマイナスとなるものなど何一つありませんでした。確かに渡米当初は言葉もろくに喋れずに、授業についていくのもやっとという感じであったし、本当に周りに何もない環境に初めて身を置いたときには、正直この先どうなってしまうことかと本気で悩んだことが何度もありました。

しかし、当たり前のことですが、そのような状況を打破するにはそれらの問題を一つ一つじっくりと解決していくほかありませんでした。たとえば、英語が喋れないのは自分が悪いんだ、アメリカにいるのに英語が喋れないなんてとか、それなりに勉強しているのにそれでも授業についていけてないのはまだまだ勉強不足だからだ、などと、わざと自分自身に酷なことを投げかけるようにしていました。自分で言うのも何ですが、これらは決してネガティブな発想ではなく、アメリカで生活していく上でとても重要な姿勢であると思います。

すべてがうまくいかず気が滅入ってしまったとき、周りの人間が励ましてくれるかもしれません。しかし、結局は自分自身の気の持ちようで事をうまく転がせることだってできるし、悪く転がることだってあります。そのような難しい状況が目の前に現れたとしても、なぜ自分がこうしてアメリカまで来て勉強しているのかということを自分自身に問いただしたとき、そう易々とそのような状況から逃げ出すことなんてできないはずだと思います。ましてや僕などは日本の大学を辞めてまでアメリカ留学を決心した身でしたから。

いつも最前列の左端で受講するわけ

授業に対する取り組み方に関して言えば、最初のころ、一生懸命勉強しても成果が上がらなかった頃などは、とにかく授業が終わると教授のところに行ってわからなかったところを納得いくまで聞いてみたり、授業の内容を録音したテープを部屋に帰ってから何度も聞いてみたりと切磋琢磨の生活でしたが、次第に環境にも慣れ、要領が解ってくると、テストなどでも除々に結果がついてくるようになりました。

また僕の場合、授業ではいつも一番前の列で、なおかつ一番左端の席に座るようにしていました。これはなぜかというと、一番前の列に座れば、教授にやる気がある学生だと思ってもらえるかもしれないし、左端に座るのは、ほとんどの教授が右利きだったので、黒板にチョークで何か書いた後、学生の方を向くときにほとんどの場合、左回りで振り返るので、教授にとって最初に目に入るのが僕であるはずだったからです。

はたしてこんな細かなことして効果があったかどうかはわかりませんが、こうして僕は教授に少しでも僕という存在を知ってもらおうと努力してきました。そしてその甲斐があり!? 僕のGPAは少しずつ上がっていくのでした。

留学三年目、いざNYへ

これからアメリカ留学しようとしている人の中で、僕のように留学前から将来他の大学へトランスファー(編入)をしようと計画を立てている人はあまり多くないと思います。 しかし留学後、自分でここに行きたいと思って決めた学校だったのに、一年もしくは半年などで"嫌になってしまった"とか、"こんなつもりじゃなかった"とか、"他の学校に移りたい"などと言う人たちを僕は何度も見てきました。

もともと一つの学校で留学生活を全うするんだと思ってアメリカに渡った人などは、もちろんその学校で最後までがんばっていくことがベストだと思います。しかし、あまり先のことは考えずに、とりあえずアメリカ留学を成功させるんだと思っている人はもしかするといずれ他の大学にトランスファーしたいと思うようになるときが来るかもしれません。僕はそれはそれでいいと思います。

ただ、大事なのはしっかりとした目的があってトランスファーを希望するのかということです。単に"今の学校がつまらないから"とか、"もっと都会の学校にいきたいので"とかいう理由だけでトランスファーを望むのであれば、トランスファー後の生活も自分が思い描いていた理想とは程遠いものとなってしまうかもしれません。僕の場合、トランスファー先となったSt. John's University を選んだ理由として、第一に憧れのNYにある学校であったということ(先に述べたように単に都会だからというだけでなく、南と北に位置する二つの州の文化や生活習慣の違いを肌で感じ、比較してみたかったという理由もあった)、次に自分の専攻であるスポーツマネジメントがある学校であったことと、そしてその内容が充実していて、なおかつ大変評判がよかったことなど総合的に判断して、ここだったら必ず成功すると確信できるような学校であったからです。

そしてその後ニューヨークでの生活は僕が想像していた以上に充実したものとなりました。いろんな人に出会い、新たにいろんなことに興味を持ち、そして多くのことを学ぶことができた2年半となったのですが、その実り多きニューヨークでの学生生活の中でも特に力を入れたこととして、学生生活の集大成の出来事となった、あるメジャーリーグ球団の広報部でのインターンシップがありました。

インターンシップcan be >授業

アメリカへ留学を終えた今、僕は自信を持って言えることが一つあります。それはインターンシップほど将来自分のためになる勉強を学校では学ぶことはできないということです。大げさかもしれないけどれも、インターンシップをしないで卒業を迎えるということは、四年間の学生生活で100学べたものを60または70しか学ばずに終えてしまうということに等しいのではないかと僕は思います。

もちろん充実したインターンシップを送るためにはそれまでにどれだけ学校でその分野の基礎を身につけてきたかにもよりますし、あくまでこれはスポーツマネジメントという一分野に対して言えることであり、他の分野を専攻している人たちにも必ずしも同じことが言えるのかどうかというとそれはわかりません。しかし、スポーツマネジメントのようにある特定の分野のエキスパートをめざす専攻などにおいて、やはり実際に現場でその道を極めている人たちと一緒に仕事することで得られる知識や経験、自信そして人脈作りなどといったことは本人にとって計り知れないほどの価値があるはずです。

僕はニューヨークのある球団の広報で最後の学期のあいだ働いていましたが、そこで僕は、現場の人間しか知らないようなことを一社員のように教えていただくことでいろいろなことを学び、選手やマスコミの人など実際仕事で絡むことでいろいろな経験をし、そして一通り仕事を任されるようになってからは、自信もつきました(電話の応答は最後まで嫌でしたが...)。

また、この半年間はニューヨークでの悲劇的なテロが起こったことによって、当球団の本拠地であるスタジアムが緊急対策センターとなったこともあり、警察や消防署への協力や救援物資の荷物運びの協力など、野球に関する以外のことも学ぶことがありました。もしこの四年半のあいだで、どの出来事が最も印象に残っているかと聞かれたら、いろんなことがあったけれども迷わずこのインターンシップであると答えるでしょう。そしてこの経験はいつか自分の将来にきっと役立つであろうと信じています。

"欲の深さ"こそ留学成功のカギ

僕は海外留学をするにあたって最も大事だと思うのは、"欲の深さ"があるかどうかということだと思います。決して現状に満足せず、常にさらに上をめざす心構えをもっていれば、結果としてその留学は成功であったということが後になって形となって表れているはずです。

またこの"欲の深さ"とは、もっといろんなことを知ろう、もっといろんなことにチャレンジしようといったことでもあり、僕の場合、この4年半の間に今一番の趣味であるともいえる旅のすばらしさを知ることができたり、ニューヨークに移ってからは、ジャズとの出会いがあり、今ではベースを演奏することに楽しみを見出したりしています。

これら僕が学んできたこと、そしてチャレンジしてきたことなどそれら一つ一つが今の僕にとっての貴重な財産となっています。留学を志すすべての人の心の中にそれぞれの目標やテーマがあると思いますが、その目標に向かって悔いを残さず、思いっきり、そして心の底からアメリカ生活を楽しんでもらいたいと願っています。

一生懸命勉強して卒業をすることももちろん大事ですが、それまでの過程でどれだけのことを学び、成長してこられたか、そして勉強以外のことでも、日本にいるだけでは決して体験することのできないようなことをどれだけ経験し、そして吸収することができたかというところに本当の海外留学のすばらしさがあるのではないかと思います。

僕のこの体験談を最後まで読んでいただいた、これから留学をしようとしているみなさん、目的を達成するんだという強い意志と欲の深さをもってアメリカ留学をすばらしいものにしてください。それではいってらっしゃい。

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