高校留学体験談:栄陽子留学研究所
土子 麻衣子(つちこ まいこ)さん
St. Timothy's School(メリーランド州)卒業

高校留学編

高校留学編


第7回  高校留学のたからもの「出会い」

大切な日本人留学生の友人

St. Timは留学生が少なく、私がジュニア(高2)の頃は先輩に日本人が一人とブラジル人の女の子だけ。留学をする人には、日本人とは絶対付き合わないと心に決める人もいる。実は私もその一人だった。

でも留学を始めて思ったが、日本人があまりにもいない環境というのは精神的に辛いことも多い気がする。私の場合、こうして高校に入りたての頃は、日本人の先輩が一人だけ。彼女には大変お世話になったし、いっぱい愚痴も聞いてもらったし、慰められもした。留学生の気持ちは留学生でなければ理解できにくいこともあるし、そういう点では、その先輩ともう一人のブラジルの留学生とは特に仲良くなった。翌年、私がシニアに進学すると、学校にはESL(English as a Second Languageの略。留学生向けの英語の授業)のクラスが設けられ、ジュニアの時より留学生が増えた。7人くらいだったろうか。日本からは一人で、あとは台湾、フランスやブラジルからの留学生たち。


悲しかった後輩の帰国

日本人の後輩がSt. Timに来る! それは、なんだか自分に妹ができたみたいな気分でとても嬉しかった。私が先輩からしてもらったように、できる限り彼女の相談相手になってあげたくて、何回か彼女の部屋を訪ね、様子を見に行ったことがあった。でも彼女は何か月か後、ドクターストップがかかり日本に緊急帰国することとなってしまい、私にとっては学期初めからかなりショックだった。精神的なストレスから病気になってしまった彼女のことを思うと、「私の力が足りなかったのかな? 私ではいい相談相手になれなかったのかな?」って自分を責めたりもしてなおさら辛かった。

高校留学 イメージ1そんな時仲良くなったのが台湾からの留学生、Funny。日本のことも良く知っていたし、オチャメな子でどこか憎めない子で、私にいろんな相談をしてくれたりよく一緒に買い物に出かけたりした。底知れない明るさをもつFunnyのおかげで私は立ち直り、徐々に元気を取り戻していったし、それから他のESLの子たちとも仲良くなっていった。


個性的なESLの仲間たち

ESLで共に勉強した留学生は一人ひとりの個性がすごく、毎日がとてもスリルにあふれていた。ESLの先生も頭を抱えるほど彼女たちの何人かはよく問題を起こしていたし、留学生同士だけでなくアメリカ人生徒との喧嘩騒ぎもたびたび起こった。短気ですぐ怒りだす子、おませさんや男好きなどなど。私はどっちかというとまじめに勉強一筋ってところがあったからトラブルメーカーではなかったと思うが、そんな私には個性豊かなESLの友達の存在がとても新鮮だった。

私は一人っ子で、日本ではおとなしい女の子だった。日本でもアメリカでも、「麻衣子はいつもニコニコしているし、怒ることなんて絶対ないでしょ?」とだれからも言われた。本当は違うんだけど。とにかく私は昔から自分から喧嘩は吹っかけることなんかしないし、常に、周りに気を遣ってばかりいたから、だれからも喧嘩を吹っかけられたことがなかった。でもSt. Timで出会った他の留学生たちは違っていた。喜怒哀楽がはっきりしていて、気に食わないと周りの人がいようがいまいが平気で怒鳴るし、大声で泣いていた。自分にはそんな面がないだけに、思いっきり自分を出すことができる留学生たちの姿はとても魅力的で羨ましくさえあった。


人との出会いが私を変えた

留学した当初の私は、自分の感情をあまり表に出すことなく、ただニコニコと笑顔ばかりつくっていた。それは英語の壁がどうのこうのと言うよりも、それまでの自分の性格も関係していたのかもしれない。どうやって自分を出せばいいのかわからなかったし、自分を変える勇気もまだ当時はなかった。しかし、7年間の留学を経て、私の性格は180度変わったと思う。自分の内面を変えることができたのは、留学中に出会った人々からの影響が最も大きい。高校留学時代では留学生や先生、そして仲良しだったアメリカ人のSaraやAlisonとの出会いが私を大きく成長させてくれた。


「留年」の申し渡しにショックを受ける

高校留学の1年目が終わりに近づいたある日、私は授業の後アカデミックアドバイザーに呼び出され、「麻衣子はもう1年留年して、今から2年後に卒業したほうがいいのではないかしら?」と言われた。それは、私の英語では大学へはおろか卒業は無理だと言われているのと同じ。私には彼女のその一言は、とてもショックだった。1年間、Honor賞をとり続け、しかも毎日早起きして努力しているのにそれを認めてもらえていないことがとても悔しかった。

その後寮に戻り、コンピュータルームの前で私のルームメイト、アメリカ人のSaraとAlisonに出会い、最初はいろいろおもしろい話をしていつものようにニコニコ笑っていたのに、突然、目から涙があふれてきてどうしようもなくなった。人前でめったに泣かない私がいきなり泣いたものだから、二人ともびっくりして私を見つめていた。

そのうちSaraが静かに、「麻衣子、なんで泣いているのか話してみなよ。自分の気持ちを隠してないで私たちに心を開いて何でも相談してよ。私たち友達でしょ?」そう言って抱きしめてくれた。氷が溶けるみたいにそれまで張りつめていたものが切れたような気がした。しばらくは大泣きして、鳴咽のために話すことさえできなかった。でも、やっと「私の英語じゃまだ卒業は無理だし、シニアに上がることは無理だって言われたの」そう言うと、「大丈夫だよ、麻衣子はいつもがんばっているもの。心配いらないよ」Saraだけでなく今度はAlisonまで抱きしめてきた。その時から、私は少しずつ周りの人たちに心を開いて何でも話せるようになっていった。SaraとAlisonとの友情に触れて感動したあの瞬間がきっかけとなり、私は他の人たちにも心を開くようになり、感情も少しずつ周りに伝えられるようになった。


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