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留学OGが聞く現役留学生の汗と涙の留学記

 

香西 美佐さんのお母さまに聞く

「都立高校に入学してすぐに、受験一直線の高校生活に満足せず、勉強だけでなく、スポーツ・芸術など多方面に力を発揮しなければならない環境で自分を試してみたい。」と留学を決意。The Ethel Walker School の11年生に入学しました。

(写真は本文と関係ありません。)

高校留学の方の場合、ご本人のお気持ちだけでなく親御さんのお考えもずいぶんおありになるだろうということで、ご両親のお話をうかがいたいと思っていました。ご本人である美佐さんは、風邪で今日はいらっしゃれないそうで残念ですが…。

お母さまは、美佐さんの留学についてどうお考えになっていらっしゃるのでしょう。

実は私たち、万難を排して美佐を留学させてあげようなんて思ってないんです。「あなたがそれを選んだのなら、それはあなたの人生だから」って言っているだけで。

最初にここへ来た時にも「高校留学は早いんじゃない?」っていう話があったんですね。私自身にも「行かせないとは言わないけれど、大学留学の時にここへ来ればいいんじゃないか」という気持ちもあって。ですから、たとえ今回の高校留学がダメでも、それは彼女にとってすごくいい経験になるとは思ってました。

美佐さんはなぜ、「留学したい」と?

あくまでも、母親の私から見たことですけれども、おそらくこういうことではないでしょうか。

娘が小学校5年から中学1年の終わりまで3年間、私たちはイランのテヘランに行っていたのです、主人の仕事で。テヘランは日本人がとても少ないですから、学校も小・中学校あわせて30人にも満たないんですよ。だから、向こうにいる間というのは、授業でもディスカッションがすごくできた。ところが、日本に帰ってきたらいきなり40人学級じゃないですか。一方的につめこまれる学習で。それはしかたないことなんでしょうけど、娘としては「もっとディスカッションしたい」ということがあったようです。

もうひとつ、テヘランにいた時に娘は「イラン人よりもイラン人らしい」と言われたことがあるんです。それは、日本だけでなく各国で20年間、英語を教えていらしたイラン人の英語の先生がおっしゃったんですが、「美佐はいい意味でアグレッシブ、積極的で、私が見てきた典型的な日本人とは違う」と。イランという国は、「自分の考えを持っていないことはすごく無責任だ」とする文化で、誰もが自分の考えをすごく押し出すんですね。だから、「変わっている」「ユニーク」というのはすごくいい意味でとらえられていて。

ところが、日本はそうではありませんよね。自分の意見はおさえて、まわりに合わせるのがいいとされている。「自分は他人とこれだけ違うんだ」とアピールすることがすごくいいことだと思われている文化から、まったく違う文化に帰ってきて、娘も自分をおさえることが苦しかったんだろうと思います。帰国して中学に編入し、都立高校に入ったんですけど、1か月もしないうちに「もし、チャンスがあるのであれば、留学してみたい」と言い出したんです。

息苦しく感じたのでしょうか。

大きないじめとかがあったわけではないんです。本人だって知恵もついていますから、じょうずに合わせていたんでしょう、自分を出さないようにして。中学の時は1日も休まずに学校へ行きましたし。でも、彼女の中では葛藤というか、苦しい部分があったと思うんですね。

それに、イランという国の場合、ある程度上の階級の人たちの中では先進国への留学があたりまえなんですね。私たち家族が住んでいた家の大家さんの息子さんもカナダへ留学していたし、下の娘さんも、私たちが帰国する年にちょうどアメリカへ行くことが決まって。ですから、娘や私たちも「あなたは留学しないのか」とよく言われていたんですよ。ですから、美佐にとっても留学は決して遠い世界の話ではなかったのでしょう。

それで、「アメリカの高校へ行きたい」とおっしゃったわけですね。

最初はイギリスだったんです。私の友人がロンドンにいて、私たち家族も長い休暇にはロンドンへ行ったりしていたんですね。テヘランは物も不足していますし、医療も進んでいませんから、ロンドンへ出て健康診断を受けたり買い物をしたり…。その友人のお子さんとは、美佐も日本で小さい頃一緒に遊んでいたのですが、彼女がロンドンで学校へ行っているのを見て、「私も」と思ったようです。

ところが、イギリスの教育システムは、途中から入っていくのが非常に難しい。それはとても不利だということがわかって、結局、アメリカへ行きたいということに。

そして、栄 陽子留学研究所へいらした。

ええ。私も夫もアメリカのことはまったくわかりませんし、友人もおりませんので、調べてみましょうかと。偶然、書店でみつけた本が栄先生の著書で、それで昨年の5月、こちらに参りました。

日本の高校2年生にあたる11年生に入るわけですね。

そうです。2年間までは、都立高校に籍を置いたままでの留学が認められるということなので。実際、娘が行っている学校でも、何人かは留学なさっているようです。ただ、11年生ということなので、そろそろ大学受験のための勉強も始まりますし、「少し大変ですよ」とはカウンセラーの方にもご指摘いただきました。また、「10年生としてであれば受け入れる」と言ってきた高校もありましたし。それは本人も納得して、11年生として編入できる学校を選びました。

高校留学といえども、やはりテストはあるわけですよね、出願にあたっては。

TOEFLと、SSATというテストを受けて、スコアを提出しなければいけなかったのですが、娘はクラブ活動もしていましたし、「高校の勉強もちゃんとしたい」と考えていたので、大変だったようです。TOEFL対策の学校に行く時間もありませんでしたし。ですから、TOEFLのスコアを見て「ESLのクラスがないから」ということで不合格になった高校もありました。

SSATは11月と12月の2回でしたが、11月に受けた時は、長文読解がまったくわからなかったらしく、帰ってきたらぼろぼろ泣いて、「全然できなかった」って。TOEFLの点数もなかなか上がらなかったのですが、11月のSSATはそれよりずっとショックが大きくて。

でも、スコアは出さなければいけない。

ええ。でも親としては、挫折をしてそれを乗り越えることが大事だと思うんですよ。だから、「それはあなたの問題でしょ。やめたかったらやめてもいいわよ、親がどうこう言うことじゃないから。どうする?」って聞いたんですね。そしたら、「がんばる」って。

気持ちを切り替えて、がんばった。それは、アメリカ留学に向けて、第一のいい経験になったのではないかしら。アメリカへ行ったら、誰も「勉強しろ」とは言わないし。

都立高校に在籍した状態での留学が認められているということは、出願の時に必要な書類などを高校で揃えてもらうことには苦労なさらなかったのでしょうね。

ところが、ある時点で急に担任の先生が「そんな書類、作ったことがない」というようなことを言い出したらしいんです。「あなたがそんなこと(留学)をするなんて言い出さなければ、こんなことをしなくてすんだのに」というニュアンスのことを。

そんなことを、なにも本人に向かって言わなくても…。

美佐も「先生にこれ以上頼むのはちょっとつらい」って言い始めて。きまじめな子ですから、何を言われても聞くだけ聞いておく、みたいなことはできないんですよね。それでカウンセラーの方に相談したら、「そんなことは慣れているから私から先生に話すわよ」とおっしゃってくださって。

美佐さんの場合はその先生だけの問題だったのかもしれませんけど、学校によっては本当に手続きをしぶる所もあるようですから、それはカウンセラーの方の経験がものを言うところでしょう。

ところで、学校選びはどうなさったんですか?

アメリカの学校については何もわかりませんから、まず、なるべくなら女子高で、と。ただ、彼女は理工科系に進みたいと言うので、それを考えると女子高だけでは選択肢がとても限られてくるんです。なので、共学で理工科系がしっかりしている所も候補としてずいぶん挙げていただきました、カウンセラーの方に。

そして、美佐も自分でインターネットを使って調べまして、「ここはお嬢さま過ぎるから、私は合わない」と蹴ったところもあるんですね。ですから、最終的には上位3校が女子高、あと2校が共学で理工科系が強い所ということになりました。

もうひとつ、美佐はバイオリンをずっとやってきましたから、バイオリンも続けられるところがいいと。でも、あれもこれもというわけにはいきませんよね。カウンセラーの方もそれはよくわかってらっしゃいますから、「あなたは、自分のなかでどれを優先させるの?」と聞いてくださったんです。学校にしても、バイオリンにしても、彼女に選択肢をいくつも与えた上で「決めるのは、お母さんでも私でもない、あなただから」って。

やはり、自分で決めることが一番大事ですからね。高校生でも中学生でも。特に中学生の場合、「自分」というものが確立される途上ですから、留学という実務的なことだけでなく、というかそれ以上に、自分で考えて物事を決め、自分のスケジュールなど管理していくことの大切さを伝えていくことが重要だそうです、高校留学のカウンセリングでは。美佐さんの場合は、その点、ご自身できちんとなさっていたようですが。

こちらにお願いしてよかったのは、その点ですね。美佐に選択肢をたくさん与えて、自分で選択させてくださったところ。これからすごく辛いことがあったとしても、「それはあなたが選んだんでしょ。もし『あなたはここに行かなきゃだめだよ』っておしつけられたのであれば、『私は本当は違う学校がよかったのに』と言えるけど、いっぱいある中から『ここはいやだ、ここに行きたい』って選んだんだから」って言えますでしょう?

確かにそうです。自分が選んだ学校だから、何かあっても「こういうものなんだな」と思うだけですむでしょうね。気に入らない学校だったら、「全部いや!」になってしまうかもしれないけど。でも、それは高校留学に限りませんよ。大学でも大学院でも同じことで。

もうすぐ美佐さんは「留学サクセス講座」に出発なさるわけですよね。留学することについては、お話になります? ご家族で。

まったくしませんよ!(笑) こちらの研究所から帰ってきても何も言いません。「何やってきたの?」って聞くと、「なんで私のこと、聞くのよ」(笑)。私たちだって留学のことなんてわかりませんから、聞いているんですよ。なのに、「お母さんも留学するわけ?」って。(笑)

母親がうっとうしく見える時期ですね、高校2年生ぐらいの女の子というと。

母親になんか何も言いたくない年頃でしょう? 何か聞くと、本当に不機嫌になるんですよ。だから、全然知らないんです、ここで何をしているのかも、これからのことも。

カウンセラーの方の名誉のためにお話しすると(笑)、美佐さんは最初のうち、とても熱心に学校のカタログを読んでいらしたそうですよ。カウンセラーの方ともいろんなことをお話になって。

どの方の場合でも、全体のスケジュールを把握して予定通りに進めていくため、日程表のようなものを2人で作って、それに合わせて進めていく。美佐さんはタイム・マネジメントがきちんとできるタイプだし、「物事が順調に進んでいる」「自分が作業を進めている」ということで安心するタイプなので、その点は問題なく進んできました、と。その行程表もここにありますけど。

ぜんぜん知りませんでした(笑)。あの子も話さないし、私たちも手を出していないし。変な話、あちらの高校との電話インタビューの時も、私たちはほんとに寝ちゃってたんですよ。時差があるでしょう? 11時過ぎとかだったので、もうぐっすり。そしたらまた、「こんな親があるの!」って怒られた(笑)。

電話インタビューの準備の時も楽しんでたみたいです。英会話も慣れていたとカウンセラーの方はおっしゃってましたし。でも、「こういうふうに聞かれたら」と考える段になって、「会話ではここまで長く話さないだろうな」というような内容のことを書いてらっしゃったので、実際の会話をまねることでまとめ直したりはしたとのことです。そのへんでも、美佐さんのまじめさは発揮されてましたね。

確かに、ここに来るのは楽しかったみたいなんですよね。楽しそうにして帰ってきましたし。学校がある時は1か月に1〜2回しか来れませんでしたけど、夏休みは1週間に1度くらいとか。あるいは、土曜日にお弁当を持って半日いたりとか。風邪をひいて熱があるのに、「行く」って言ってでかけたこともあったぐらい。なのに、「どうだった?」と聞くと、「なんで聞くの?」。たぶん、それが10代の女の子だと思うんですけど、母親としてはね、「こんなムカムカした気持ちのままで、別れていいものなのか」と思ったりもして(笑)。

でも、16歳のお子さんに、「お母さん、お父さんには感謝しています」って言われてもちょっと…。

嘘っぽい(笑)。

自分自身を振り返っても、その年頃では特に母親のことなんて考えてなかったような気がしません?

それにカウンセラーの方がお子さんたちから聞いている話によると、「家に帰るといろいろ聞かれるけど、疲れちゃって話す元気もない」って。それに、「準備はしてるし、ちゃんと進んでるから不安じゃない」とも。美佐さんだけじゃなく、他の方も似たような感じみたいですよ。美佐さんは特にまじめだから、きちんきちんと予定をこなしていく。それでいいわけですよね、本人としては。

美佐はまじめ過ぎるくらいなんです。だから、ここへお願いに来た時にも、「楽しくやってください」とカウンセラーの方にお話ししたんです。

美佐は一人っ子ですから、兄弟の間でもまれた経験がないんですよね。それに今の日本って、こどもたちも本気になってケンカしたり、本音を出してつきあって友情を育んだりっていうことが難しいでしょう? なんとなく表面的に、じょうずにつきあっているだけで。それは美佐も感じていると思うんですけど、親の側からすれば、アメリカの全寮制高校で同世代の中に入って生活することで、日本ではできない経験をしてほしいと考えてもいるわけです。そこで苦しんで挫折もして、でもそれを乗り越えて…。もちろん勉強もしてほしいけど、まず、そういうことができたらいいのかなって考えますよね。だから、夫と笑いながら「お金を払って、苦労をさせに行くんだね」って。

「かわいい子には旅をさせろ」と。思春期のまんなかだから、これからいろいろあるでしょうね。

本当にこれからですよ! まだ行ってもいないんですもの(笑)。だから、こちらの「アフターケア」が大事なんです。壁にぶつかってへこんだりしたら親としてもちろんケアはしますけど、親だからできないこともあるし、本人も親には言えないことがありますよね。それをカウンセラーの方の力を借りて、乗り越えていってほしい、サバイバルしていってほしい。

そうですね。美佐さんも、カウンセラーの方にはいろいろ話してきたわけですし、1年間一緒に作業をしてきて信頼関係もできているから、話しやすいでしょうね、親御さんに相談するよりは。

でも、アフターケアというのは、実は親御さんに対するケアの部分が大きいんだそうですよ。親御さんの不安を取り除いて、「留学させてよかった」と思っていただけるようにしたいと。

それはあるでしょうね。でも、私たちにしてみれば、アメリカ留学なんて隣町に出すようなものですよ。テヘランに比べたら(笑)。だから、気楽だし、あまり話もしないし。

7月からは高校留学のための「留学サクセス講座」にいらっしゃるわけですね。

夏の講座の間にも同年代のいろいろな方にお会いするでしょうし、秋からは寮で暮らすわけですから、その中で美佐も変わってくると思います。変わってほしいですね。まわりにはちゃらんぽらんな子も遊んでいる子もいるでしょうし、自分ひとりでは解決できない問題につきあたることもあるでしょう。その中で柔軟性を身につけて、どんな環境の中ででもサバイバルできる子に育ってほしいんです、親としては。

挫折して辛い経験をたくさんするのも、人間関係で傷つくのも、若いうちの特権みたいな部分があるでしょう? 若ければ立ち直りも早いし。今の日本のような、戦争も50年間ないし、みんなが失敗をしないようにしてなんとなく適当にうまいぐあいに生きていくようにしている社会なんて、世界中でも本当に特殊ですよ。それは私たちもイランにいて見えていましたし、美佐もわかっていると思います。だから、どんどん壁にぶつかって挫折して、サバイバルしていってほしい。学歴がどうこうという以前に、それが私たちの希望ですね。

 

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