トランプ vs ヒラリー最後の激戦地!ネバダ州の大学を徹底解説

カジノを学ぶ大学!?

この原稿がアップされる頃は、すでにアメリカ大統領選の結果が出ていると思いますが、クリントンさんとトランプさんの最後のテレビ討論会は、あのラスベガスで行われました。

ネバダ大学ラスベガス校(University of Nevada, Las Vegas(略称:UNLV))がその舞台です。

この大学はネバダ州の州立大学の1校で、ホテル・レストラン学が有名です。その中にはなんとカジノ経営を学ぶ課程もあります。

ちなみに、ネバダ州で一番レベルが高い州立大学は、創立1874年のネバダ大学リノ校(University of Nevada, Reno(通称UNR))です。前述のラスベガス校が1957年の創立ですから、それよりも100年以上も前に設立されたことになります。

なかなか伝統ある名門大学で、メディカルスクール(医科大学院)やロースクール(法科大学院)などのプロフェッショナルスクール(専門大学院)も抱えています。

ラスベガスの発展とともに

ラスベガスは、1820年頃に西部開拓の最中に発見された、砂漠の中のオアシスのようなところで、水が出るために少しずつ発展していきました。

1931年、いわゆる金融大恐慌の後にネバダ州は賭博を合法化したのですが、いまのようなラスベガスになるのは1946年にフラミンゴホテルができてからです。

そんなラスベガスの中心地から少し離れたところに、ネバダ大学ラスベガス校はあります。

358エーカー(東京ドーム31個分)の大きなキャンパスで、私がその昔訪ねたときも、ホテル・レストラン学科の実習用の厨房などを見せてもらいました。

ネバダ州の大学事情

アメリカの州立大学は、基本的に、「州内の学生に対して平等・公平な大学教育を提供する」ことを目的として始まりました(※これに対してハーバードなどの私立大学は、「リーダーを養成する」ことが目的です)。

大学進学希望者が多くなればなるほど、どんどん大学をつくって吸収していくというのが、アメリカの州立大学のありかたです。

カリフォルニア州などは人口がどんどん増えていって、次々と州立の大学ができていったのですが、ネバダ州といえば、その大半が砂漠と山で、日本と同じくらいの面積があるのに、人口は300万人にもなりません。

おまけにその3分の2くらいの人がラスベガス近辺に集中しています。したがって、大学そのものがそんなにありません。

私立大学は、シエラ・ネバダ大学(Sierra Nevada College)という学生数500人くらいの小さなリベラルアーツ・カレッジ1校だけです。

州立大学は、ネバダ大学のリノ校とラスベガス校以外では、1970年になってからできた3校のコミュニティ・カレッジ(公立の二年制大学)と、ネバダ・ステート・カレッジ(Nevada State College)という、四年制の大学があるのみです。

ネバダ大学の費用

アメリカ人でもネバダといえばラスベガスくらいしか思い浮かばないくらい、ネバダ州そのものは、これといって売り物のない州なのです。

ネバダ大学ラスベガス校はどんどんレベルを上げて、学科を増やして大きくなり、いまや学生数はリノ校を抜いてしまいました。生徒数は約30,000人です。

レベル的には、ほんのわずかリノ校が勝っているというところまで来ています。

年間の学費はリノ校・ラスベガス校ともに約7,000ドルです。日本の国立大学と同じくらいですね。貸与型・給付型の奨学金がさまざまに用意されています。そしてちょっとおもしろいのが、寮・食費です。

リノ校が年間10,000ドルに対して、ラスベガス校は11,000ドルです。ラスベガスのほうが物価が高いせいなのか、ちょっと高いのです。

日本人が留学する際の費用

他のブログやホームページでも何度が説明していますが、アメリカの州立大学はこのネバダのみならず、学費や入学基準の面で州内在住の学生を優先します。(※大学の運営費を州内に住む人々の税金でまかなっているからです。)

なのでネバダ大学の学費も、州外の学生に対しては21,000ドルに跳ね上がります。

ネバダ州に接している州の人には、州内の学費が適用される場合がありますが、私たち留学生は、どうしても「州外の学生」として扱われますので、学費と寮・食費を合わせて年間30,000ドルほどかかります。

ラスベガス校に行けば、その土地柄もあってアルバイト先がたくさんありそうな気がします。事実、アメリカ人の学生は、ホテルやカジノで働いています。

でも、私たち留学生はアルバイトをすることが移民法で禁止されています。大学内の食堂の皿洗いくらいなら大丈夫ですが、キャンパス外ではダメです。日本のような感覚でアルバイトをすることはできません。

ラスベガス以外にネバダ州が有名な理由

そもそもネバダ州は、アメリカ全体で見るとさほど教育レベルの高い州ではありません。

その昔、日本がバブルの頃、アメリカの大学の日本校がたくさん設立されました。

ネバダ大学も日本校と称してオープンしましたが、日本人ばかり集まって英語を勉強するばかりで、すぐ人気に陰りが出て、閉校してしまいました。

日本の人にとって、ラスベガス以外のネバダ州は遠い存在です。

さて、ネバダ州は法人税のない州として、アメリカのビジネス界では知られていて、節税のために本社をネバダ州に置く企業もあります。

タックスヘイブンは、パナマ文書でケイマン諸島が有名になりましたが、この文書にアメリカ人が少なかったのは、じつはアメリカ国内にタックスヘイブンがあるからです。

ネバダ州のほかにはワイオミング州とデラウェア州がそうです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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