留学についてググってみたら、開いた口が塞がらない!? ネット情報の不確かさに注意!

留学生の奨学金事情の移り変わり

春になると、アメリカの大学教授がたくさん当研究所を訪れます。折角やって来るので、留学希望者に会ってもらったり、「日本人留学生への奨学金制度を作って」とか「もっと支給額を増やしてくれないか」といったお話(※お願い)をします。

ここでいう奨学金とは、日本のように、卒業後に返すというものではなく、大学側から学費を減免するというもので、将来返済する必要がないものです。

昔は、日本人留学生に奨学金が必要だなんて考えたこともなく、当研究所に奨学金つきのアメリカ留学手続きを依頼してくるのは中国籍の学生だけでした。(※中国の人は学生ビザでアメリカに入国しても、大学に行かずに不法滞在をすると思われたりしていた時代があり、奨学金がないと学生ビザがなかなか取得できなかったのです。)

しかし、いまや中国は急成長し皆お金持ちになって、学生たちも奨学金なんか必要ないということになり、逆に日本人留学生が奨学金をもらえないと留学できないようになってしまいました。

本当に「一寸先は闇」という言葉があるように、こんなに変化が激しい時代には何が起きるかわかったもんじゃありません。

なにしろアメリカの四年制大学の1年(※9月~翌年5月の期間)の学費+寮・食費は平均50,000ドルくらいです。1ドル=120円ともなると、それだけで600万円ですから、日本のサラリーマンの平均年収に近くなってしまいます。

ですからアメリカの大学教授に会うたびに、私たち留学カウンセラーは「奨学金を!」と迫ることになります。私と食事でもしようものなら、「私に食事をご馳走してもらってタダで済むと思ってませんよね♪さぁ奨学金の話をしましょう!」と笑顔で脅す始末ですから、教授の方も大変です(笑)。

先日も、オハイオ州の大学教授にたくさんビールを飲ませたおかげで、2,000ドル近い奨学金を当研究所の生徒へ出してもらえることになりました。

これもひとえに、生徒たちのため、ひいては日本人学生すべてが留学しやすくなるように願って、私たちが地道にやっていることの一つです。

留学情報をググってビックリ!

ところで今回のコラムの本題は、当研究所の留学生に長いこと奨学金を支給してくれている"ある大学"に関する、インターネット上のお話です。

長い期間にわたって当研究所の生徒に奨学金を出してもらっているカンザス州の大学があるのですが、昨日、その大学についてちょっと調べたいことがあってグーグルで検索したら、その大学が日本語名がでヒットしました。

「へー、日本語でもあるんだ」と思ってそのサイトをクリックしたところ、いわゆるQ&Aサイトでした。

質問のほうは、「カンザスの○○大学に行きたいと思っているのですが、費用は安いのでしょうか?」というもので、ベストアンサーに選ばれていたのが、「いろいろ調べてみましたがたいして安くありません。ちなみに他の州立大学だと云々」というあまりにトンチンカンなものでビックリしました。

実はそのカンザスの○○大学は、日本人でも奨学金をきちんと申請すればアメリカの大学の中でもかなり学費が安くなるのです。きちんと留学にかかわるお仕事をしている人であれば、知ってて当然の大学&奨学金制度でもあります。

幸いにも、当研究所から手続きを行い奨学金を得てその大学に留学している学生が、「アメリカの中では最も安く留学できる大学の一つだと思う」といった旨のコメントを詳細に書いてありましたが、あまりにベストアンサーの中身がメチャクチャなので愕然。

他にも、ウソだらけの情報や、留学のある一部分だけを切り抜いて大げさに見せているものや、誇大広告、古すぎる情報など・・・・。

もちろん、このQ&Aのベストアンサーで回答している方に悪意がなく、またこの回答者自身も恐らくネット等で収集した情報を元に誠実に答えているのでしょうけれど、間違いは間違い。

そして、そのことを信じてしまう人がいて、そういう人が折角のチャンスを逃してしまったり、間違った情報を信じて行動した結果、大きな失敗してしまうこともあるのです。

あらためて正しい情報を見きわめることの難しさを思いました。

知らないことの真偽を見きわめるむずかしさ

自分に関係のあることや、くわしく勉強していることが新聞やテレビで報道されると、それを見ていても「うーん、ちょっと事実と違うかなぁ」とか「適当なこと言って、いいかげんな記者だな」なんて冷静に分析できるもの。

しかし、それが自分にまったく関係がなかったり知らないことだったりすると、すべて「へー、そうなんだ」とか「なるほど!!」と思ってしまうのです。

報道機関が、この人が犯人だと決めつけて、後でとんでもない間違いだったということが日本でも一時期よくありました。

新聞やテレビの言っていることは、当事者ではなくて記者の目や耳を通したものなので、その記者の経験や考えかたによって違うものになったり事実が歪められたりするということもあるでしょう。

一方でインターネットでは、記者の目ではなくて、当事者や経験した本人が主張したり情報を出したりするので、より正確である可能性が高いと私も思っているのですが、こうなるとベストアンサーなんていうものも随分まゆつばものだと思わざるをえません。

インターネットの情報も簡単には信じられないって、まあ、当たり前といえば当たり前のことに気がついてしまったというお話。

留学は、かかる費用と費やす時間を考えると、慎重に検討しなければなりません。こういったインターネットで個人が無責任に発信する雑多な情報を鵜呑みにするのではなく、きちんと専門家に相談して欲しいなと思う今日この頃です。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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