世界における「英語」のありかたの変化

世界における「英語」のありかたの変化

イスラム国はこわいですね。人の首を切るなんて、日本の戦国時代や太平洋戦争の関東軍の話かと思いきや、アラブの人もやるんですね。驚きました。

彼らは、身代金をとるためのおどしのメッセージを、ツイッターやYouTubeを用いて、英語でやるんですねぇ。要求するお金の単位もドルというところは、ずいぶん現実的ではありませんか。

聞くところによると、イスラム国の中で使える通貨を作っているということですが、やっぱり、ドルでないとお金として本当の信用はないということですよね。

そもそも、世界中から若者を集めているというイスラム国では、何語でコミュニケーションが行われているんでしょうか?

アラビア語だけでは限界がありますよね。案外、トップレベルでは英語でコミュニケートしているのかもしれません。

日本が第二次世界大戦のときに敵国語を使うなということで、テニスを庭球とか言ったりしたのとは大違いです。

ITが変えつつある世界地図と英語圏

いまほど、英語が世界を席巻した時代はありません。やはりインターネットの影響が大きいのでしょうか。そもそもヨーロッパだって英語が母語なのはイギリスだけで、フランスもドイツもスペインもそれぞれの言葉があります。でもいまや共通語は英語です。

アジアもすっかりそうなりました。韓国人と中国人が、日本人とミャンマー人が、英語で商談する時代です。

グーグルやフェイスブック、ツイッターやブログなどなど、インターネットを発達させてきたのはアメリカで、いまやインターネットなくして世界は動かない時代になってしまったわけですから、やっぱりアメリカ強し、ですよ。

多様化が進む英語 -World Englishの主流はインド英語になる?-

世界の共通語がすっかり英語になってしまったおかげで、いろいろな英語が世界中を飛び交うようになりました。ネイティブイングリッシュなんて、この頃あまり言われなくなりました。

語学留学にしても、フィリピンにどんどこ出かけていく時代です。なかなか良いことではありませんか。

インド人は、そのうち世界の英語の主流はインド英語になると主張しています。何たって人口が多いのですから。このおかげで、日本語訛りの英語でも十分に世界で通用するようになりましたから、必死で発音の矯正をすることもありません。

TOEFL®テストなどがスピーキングに力を入れ始めましたが、なーに、あれは、アメリカ人がとてもとても理解できない英語をしゃべる人が増えているからやっているわけで、日本人の英語はちゃんと大丈夫の範疇に収まります。

それでも英語を「テストしよう」という時代錯誤

英語が世界のコミュニケーション言語になったわけですから、日本人にも英語は大切でしょうが、何とか入学試験の対象から外すことはできませんかねぇ。

YouTubeの動画で流れる英語を理解しようという努力は決してイヤじゃないと思いますよ。楽しいし。でも、テストされるとなるとハッキリ言ってイヤになりますよ。

どの大学の受験科目にも英語があり、英語力重視なんていうのもあり(別に英文科でもないのに)、就職のときの入社試験にも英語があり(まったく英語を使う可能性のない会社でも)、最近では小学校から英語を教えるので、中学受験にも英語テストを入れようという動きがあるというではありませんか。

日本では英語ができる人が優秀で頭がいいという評価があまりにも強く、だれもそれをおかしいと主張しません。

韓国語やタイ語ができたからといってそれほど優秀な人という印象はなく、たとえばスワヒリ語あたりに至ってはヘンな人という印象をもつ人さえいます。おかしいですね。これほど英語力に神経質になるなんて。

基礎は中3程度の英語で十分、続けるには「楽しさ」が必要

なんといっても日本では、英語は「テストされる」ものなんです。それもあらゆる場面でテストされるものなんです。英語はコミュニケーションのツールだと、どこかでわかっていても、やっぱりテストされ、己の頭のよさを測られるものなのです。


世界中で世界中の人が、ほんのカタコトの会話レベルであっても、英語でコミュニケーションをとっています。日本の中学3年生くらいまでに習った英語で十分ですよ。日本で英語がテストの対象にならなかったら、もっとみんな英語を楽しくやれるんじゃないですかね。

ちなみにイスラム国は、英語ではIslamic State of Iraq and Syriaの略語としてISISと呼ばれるそうです。Islamic Nationではなく。

イスラム国は、国であるということを世界に示したいのですが、アメリカやヨーロッパの各国が認めないので、このような呼びかたをしていて、日本もそれにならっているそうです。アラビア語では何て呼んでいるんですかね?

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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