留学事情:栄陽子留学研究所
■ 当世留学事情

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第83回 留学に対するお金の認識  『教材新聞』平成14年2月25日号掲載 

インターネット上で悪口、中傷ということがよくあります。栄 陽子の悪口もいろいろと出ているということをよく耳にします。

その内容について、うちの次男がコメントしてくれたことがあります。

要は、すべてお金にからむ内容だというのです。いわく、「栄 陽子留学研究所は、高い」「お金持ちしか相手にしない」「費用の安いコミュニティ・カレッジについて悪口を言う」というようなことです。

また、コミュニティ・カレッジからアイビーリーグの大学やUCLAに編入したとかいうのもたくさんあって、コミュニティ・カレッジでもいいじゃないか、ということのようです。

息子いわく、「コミュニティ・カレッジにはお金がないから行ったのに、どうして、ニ年後にはお金があるわけ?」というのですが、アイビーリーグにコミュニティ・カレッジから編入するというのは、まず、聞いたことがありません。マイノリティの人で本当にお金がなくとびきり勉強のできる人は、始めからアイビーリーグに奨学金で行けるし、普通の家庭であればアイビーリーグは決して奨学金を出さず、アイビーリーグに来るには学力があり個性豊かでそれなりのお金を支払う能力のある家庭の子、というのが、一つの大きな要素なのです。

アイビーリーグに子どもを行かせるのは、親にそれだけの支払能力があるというステータスがあるわけです。

こういうことは、日本でも東大をはじめ一流大学に行くのは年収〇〇万円以上の裕福な家庭が多いというデータがありましたが、一つは、親にさまざまな能力があるので裕福になったか、あるいは、裕福だから小さい時から教育にたっぷりお金を掛けられるかだということで、必ずしもアメリカに限ったことではありません。

アメリカは、まだマイノリティの人にドーンと奨学金を出して引き上げるというチャンスの平等を常に実践しているだけ、日本よりおもしろいと言えます。

こういうことからコミュニティ・カレッジは、お金も能力もない人が行く所ですから、アイビーリーグに転校するということは、まず考えられないのですが、UCLAやUC-Berkeley(共に州立の名門校)に転校することは可能です。ましてやその人がカリフォルニア州民であれば、特別割引の授業料になっているからです。でも実際は、コミュニティ・カレッジでトップクラスでなければなりませんし、留学生の場合は州外の人という扱いになり高い学費が要求されます。したがって、息子の言うことも一理ありです。

高校まで義務教育のアメリカでは、公立高校では日本の中三を終えたくらいの学力ですが、ファミリーがしっかりした家ですと、私立のレベルの高い学校に行ってアイビーリーグに行ったりする場合もあり、また、本人に能力があれば、十五歳で大学に入ったりもできます。高校三年生に在学していながら大学の授業を取って、大学に入学したときは二年生というのもよくあるケースです。まあ、ごく普通に高校を終えても親がしっかりしていればリベラルアーツ・カレッジに入学したり、お金がなくても成績が良ければ州立でトップの大学に行ったりもできますが、すべての能力に欠けている場合、高卒で就職ということになります。ところが、日本の中三くらいの能力ということで、今のアメリカでは仕事がありません。昔のように石炭運びなんて単純労働はほとんどないのです。即使えないとダメというアメリカでは、高卒で雇ってくれるというのは、ウェイトレスやウェイターというようなもので、収入はチップに頼る世界で収入も不安定です。したがって、お金もかからない成績も問わないコミュニティ・カレッジに行って、適当なところで就職先を探すわけです。アメリカではこういうカレッジに通う人の家庭は低所得者ファミリーが圧倒的で、日本の低所得者とアメリカのそれとではもう桁外れに違うわけですから、私としては、そこまでして留学することないじゃない、と思うわけです。

費用は期間が短ければ少なくなるので、四年間行かずに二年にすればいいのです。コミュニティ・カレッジを卒業して帰国しても、大卒でも大変な今の時代にちょっと就職は難しいので、まず日本の大学に二年間(できれば夜間に行くよう勧めています)行って、そのうちに本人も親もお金を貯めて三年生からアメリカの大学に行って、四大卒で帰国した方がいいのではないかと、私は思うわけです。

また、自分が何も分からない所では、まず、お金のかかる方を選ぶべきなのです。安全で自分のいる場所の平均値があらゆる面でよく分かるからです。それからならどんなところへ移っても、自分なりにやりくりする知恵や勘ができているので大丈夫なのです。先に安いほうを選ぶのは間違いです。

それにしても今の日本の子は、自分たちがとてもお金持ちで、世界の水準からするとお金持ちの生活をしているということを認識する必要があります。

今の日本の若者なら三〜五年も働けば、数百万お金を貯めて自力で留学することもできるし、不足しても親が少しは何とか援助できるというのが平均です。

アジアの国々や中南米諸国の若者の多くは、いくら働いてもアメリカの大学に行くなんて不可能なのです。

自分はお金がないとか自分は貧乏だなどと、ルイビトンのバッグの一つも持っているの若者が言うべきことではないのです。

大きなお金は怖くて小さなお金は怖くないのではなく、生きているお金は怖くないが死んでいるお金は怖いということを考えなければなりません。お金と時間を自分の人生にどう有効に使うかということは大切ですが、何が何でも今アメリカに行きたいからどこだっていいじゃないともかく安ければ、というのは間違いなのです。

留学する人の費用の一例を記しますと、次のようになります。

 *カリフォルニアのサンタモニカのコミュニティ・カレッジの場合
学費 : カリフォルニア州民―〇ドル   州外の人―約四〇〇〇ドル
寮なし
 *UCLAの場合
学費 : 州民―約四三〇〇ドル   州外の人―約一万六〇〇〇ドル
寮費・食費 : 約九〇〇〇ドル(小遣いは含まず)

サンタモニカのコミュニティ・カレッジは一見安そうですが実際に渡米して生活してみると、アパート代や食費、車(寮生活でなければ車は必要になります)などで月に一ニ〇〇〜一五〇〇ドルかかって決してすごく安いとは思えません。

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