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親にウソをつくというのはだれしも青春時代に多少覚えのあることです。留学生も親にウソをつくことがあるわけですが、日本にいるのと違って、親も心配の度合いが大きく、周りが振りまわされることも多いものです。
ウソをつく理由のほとんどは、異性との交際が原因です。
留学して3年目の子のお父さんからお電話があり、「娘の成績がどうも良くないように思う。レベルの高い大学に転校したからついていけないのではないか」という問い合わせが私に入りました。担当のカウンセラーに聞いてみると、本人が自分で全部手続きをして転校してしまって、後からこちらは知らされたとのこと。しかも、とくにレベルの高い大学に転校しているとも思えないのに親にはそのように説明しているらしいのです。
本人に電話をかけて、一つ一つ「なぜ」「なぜ」「なぜ」と聞いていくうち、浮かび上がってきたのはどうやらボーイフレンドがいて、その近くにいたいために転校したということでした。
彼女が私の質問責めに、案外あっさり白状したのは、ちょうどそのボーイフレンドと別れたばっかりの時だったためです。ボーイフレンドに気を取られて勉強もおろそかになり、今では反省していますという弁。まだこれからやり直せばできる状態であったため、担当のカウンセラーにアドバイスを細かくするよう指示して、お父さんに事の次第をお話しました。だまされたというのと、卒業まであと二年半ぐらいかかるというショックと(もう一年で終わりと考えていたのに)、「まあ、終わったんなら良かったという安堵」、というのが親の気持ちでしょうか。
こういった男女の出会いは、別々の所にいる場合、女性側が男性側の大学に移るというのがほとんどで、その反対はめったにありません。私が留学していた時代からあったことで、男性がレベルの高い大学や大学院に通っている場合などは、女性の方が大学をやめてしまことすらあります。留学中の勉強は辛いものですので、愛する彼ががんばって高学歴になればいいや、と思い込んで自分を納得させてしまうのです。もちろん、結婚を夢見ています。亭主が社長なら自分も社長のつもり、部長なら自分も部長のつもりという主婦がよくいるでしょう。あれと同じ感覚です。
でもこういうパターンはめったにうまくいきません。非常に狭い範囲で特殊事情で出会ったため、日本に帰国すると違った目で相手を見るようになるからです。
こういったことにからんで行方不明というのもよくあることです。親に黙って移転をしてしまった。あるいは、サンクスギビングなどの短い休みに二人で旅行をして、離れるのがつらくて学校に戻らず、ずるずると学校を休む、といったようなものです。ほとんどの親御さんは、殺されたのではないか、と言ってこられます。アメリカで連絡が取れないと、即、殺された、というイメージができあがるのは、やはり、メディアのせいだと思います。そして異性の存在を親は全く疑っていません。
捜査は以外に簡単です。こういった時には同じ大学の日本人学生がとても役に立ちます。数人に連絡を取って話を聞くと、必ずといっていいほど異性の名前があがってきます。立ち寄りそうな所、泊まりそうなホテルまで、浮かび上がってくるのです。ただ、親はもう憔悴しきっているので、こちらも短い時間に解決しなければならず、他の仕事に支障をきたします。
相手が互いに日本人同士というのは、まだいい方です。お互い勉学のために来ているという気持ちもあって、少しは反省することがあるからです。
これが、相手がアメリカ人で男、おまけに低所得者層となると、話はとってもややこしくなります。大学に戻らずに休暇中に行ったバス旅行の最中に知り合った男性の家にいるらしいということが判明して、その家に私が電話をかけたことがあります。相手のお母さんである女性が電話に出て、二人は近くのアパートに住んでいて、あんなかわいい彼女を見つけて私はハッピー、彼はラッキーなんて、とんでもない話をするのです。私の友人の普通のアメリカ人なら大学に戻るように二人を説得するのが当り前です。男性は、パートの単純労働をしながら、コミュニティカレッジに通って次の仕事を探しているとのこと。彼女だってすぐ働いて二人でお金を作れる、なんてあきれた話をしているのです(まあ、こういったことが、私が若い子をコミュニティカレッジに入れたくない一つの要因です。余談ですが…)。
親の態度もなかなかむずかしいものです。「うちの子どもに限ってまさかと思い」、調べて調べて追求するうち、本人をますます追い込む形になってしまうことがあります。
こうなると、相手がアメリカ人の場合、本当に逃げてしまって親が泣く目に会うことになります。前述のお父さんのように、娘にだまされ続けているうちに終わってしまうということもあります。若いうちの恋愛なんてハシカのようなもので、案外、短い間に終わることが多いのです。
カウンセラーとしては、親があまり騒がなければ、異性の存在をつかんでいても、何となくボヤかして時間かせぎをし、本人には「ええかげんにせい。もっとうまくやれ!!」とどなりつけておくのですが、親御さんの騒ぎ方が大きかったり、本人のやり方があまりに危ない橋を渡るようなやり方だったりすると、やっぱり、とことん調べて明るみに出すということになってしまうのです。それがいい事か悪い事か悩みながら…。
かくして、留学カウンセラーは大変なのです。
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