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今回のテロのことで当研究所が困っているんではないかというお尋ねをよくいただきます。旅行会社や航空会社がお客さんのキャンセルで売上が何十パーセントも減収になってしまって大変だというニュースを目や耳にしますから、留学ビジネスもさぞ大変だろうと思われてしまうようです。
しかし、留学生の大半は田舎のキャンパス生活ですので、今のところ平穏無事に普通の生活を送っています。ニューヨークでテロ現場に一番近い所にいたのはわが長男だったことは、前回にお話した通りですが、長男は、大学院の授業が忙しくてそのことで頭がいっぱいです。人間は、ほんの目と鼻の先の火事でも自分の所でなければ、何事もなかったように過ごせるのですから、無慈悲というか、ふてぶてしいというか、生命力が強いというか、まあ、そうだからこそ生きていけるわけだと思います。
飛行機の激突事件と炭そ菌の騒ぎが原因で帰国したいと言ってきたのは一人です。もっとも、転校を繰り返したり成績不良だったりで、テロ事件が本当の理由とは考えにくいケースです。
この一月に向けて留学の準備をしている学生が四〇名ほどいますが、今のところ中止の予定はありません。来年の九月に向けての学生も既に一五〇名ほどいますが、中止したいと申し出があったのは一人です。
カウンセリングに来る人が特に減ったとかいう印象もあまりありません。本人は心配ではないが親や祖父母が心配するので、どうなっているのでしょうかという質問はあります。
子どもと一緒にカウンセリングに来る親では、父親の方は、まず、何とも思っていないというのがほとんどです。母親の方には無闇に心配という人がたまにいます。こういうところは、男性の合理性と女性の感情論でしょうか。お友達に、「戦場に送り出さなくてもよいじゃないの」って言われた、なんて人もいますが、こういう人は本人も主婦、友達も主婦です。こういう人たちはワイドショーの見過ぎです。
おじいさんおばあさんが心配していてうるさいという声をよく学生から聞きますが、今の日本は結構、おじいさんおばあさんが金銭的バックアップをしているところが多く、なにかと口出しする力が強いのです。
若者はもちろん、みんな何とも思っていません。若い頃は怖さがわからないのですから、それが若いということであり強さです。
余談ですが、私の次男などは、あまりの安さにこの時とばかりハワイに遊びに行ったくらいです。
月に一回、東京と大阪で講演会を開いているのですが、少し参加者が少ないかなと思わないでもありませんが、それが、テロの影響かどうかまだわかりません。
思いつきで長期の留学ができる人はそういませんので、やはり、時間のかかった計画ですから、英語研修旅行やホームステイと同じようにとらえるのは無理です。
アメリカからのニュースによりますと、アメリカでは、英語学校の入学者が減少しているとのデータが出ています。アメリカのIEP(International English Program)では、入学者の見込み数が激減しているとのことです。年に大体二〇万人の外国人がIEPで学んでいますが、テロの後、入学者数は二〇パーセント減少しているとのことです。現在IEPで学んでいる日本人留学生は、「日本人は、アメリカに来るのを怖がっている」と言っているということです(AACRAOによる)。
また、カリフォルニア州のFeinstein 上院議員は、少なくとも一名のテロ実行容疑者が学生ビザで入国していたことを懸念して六か月間の学生ビザ発給一時停止措置を法案として提案しました。同議員には、次はカリフォルニア州が狙われるのではないかという懸念もあるそうです。また、この学生ビザで入国した容疑者は、カリフォルニア州のHolly Names Collegeで英語を学ぶ目的で入国したが、一度もクラスに顔を見せなかった、ということです。
Moody's Investor Serviceによると、今回のテロによって:
- とくに都会の私立大学は入学者を失う
- しかしColumbiaやNYUなどレベルの高い総合大学はそれほど影響されない
- 一方で、田舎の大学への入学者が増える(安全性の配慮から)
- 教育投資が縮小することから、公立大学への入学者が増える
- 大学はしばらくの間、寄付金獲得に苦しむ(テロ以前から、景気後退により寄付金の額は減少していたが、これがさらに加速する)
- 寄付金に頼らない公立大学では、財政は安定しつづける
と予測しています。
入学の機会が毎日のようにある語学留学と違って、大学や大学院への入学は、そのほとんどが九月ですから、さて、来年の日本からの留学希望者がどうなるのか、私にもまだわかりません。
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