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日本には「○○工業高等専門学校」のように都道府県名を冠した国立の工業高等専門学校が五十余校あります。ちょうど、高度成長期の日本で早く専門家を養成しようということで、高校三年間と大学レベル二年間を合わせた五年制の専門学校です。私の青春時代は、結構この学校が人気で倍率も高く、優秀な生徒が集まったように思いますが、経済成長が早すぎたのか、やはり短大レベルではということで、その後、今一つ盛り上がらなかったように思います。
卒業生からは、企業では大学生と同じ扱いを受けると聞いていたが、やはり短大生の扱いしか受けられないと不満の声も聞かれます。
今では日本の大学に編入する人もたくさん出てきていると聞きますが、アメリカの大学に編入する人たちもいます。アメリカにはこういうタイプの大学がありませんので、ちょっと理解してもらうのに説明が要ります。それでも五年のうち二年は大学の一・二年にあたるということをきちんと説明すれば、単位は認めてもらえます。同じ分野で編入するのなら、わりに多めに単位は認めてくれますが、違う分野ですと、認められるのは一年分くらいです。どうしても一般教養科目が不足だからです。
留学しようという人の多くは、同じ分野より、まったく違う分野を選ぶ人が多いのです。自分はひょっとして文系だった? なんて思うのかもしれません。
世の中に働かなくては飢えるという緊張感がなくなればなくなるほど、若者は、自分が何をしてよいのかよくわからなくなります。それを中三で、工業分野の選択をするのですから、なかなかむずかしいものがあります。
アメリカの大学に編入して、まったく違う分野を選んでも、だいたい三年間で四年制大学を卒業することができます。
日本の専門学校の単位は、原則として、アメリカの大学では認められないことになっていますが、それでも日本の短大レベルと同じだと説明してねばれば、認めてくれる可能性があります。
ただ、専門学校ではどうしても一般教養の科目が少ないので、認められる単位は、一年分くらいにしかなりません。看護の専門学校や経理の専門学校の単位も、認めてもらえる可能性があります。しかしながら、英語の専門学校や留学の専門学校といったものは、どうもいけません。取っている科目がほとんど英語の授業だからです。アメリカ人にとって、英語は国語ですので、それと同等に認めるわけにはいかないというのが通例です。ところが英語を勉強している人ほど留学したいわけですから、これはたいへん皮肉な結果になります。留学とか国際とかがついていても、中身は英語ばっかりというのが多いのです。おまけにその肝心な英語力もあまり上がっていないということになると(それが結構多いのですが……)、もうまったくの悲劇です。
アメリカにはRegistrar's Officeというのがあって、そこで単位を数える作業をしてくれます。Admissions Officeというところで入学の審査をし、入学が決まって、高校以上の何らかの成績証明があれば、TransferということでRegistrar's Officeに回してくれ、そこで検討してくれます。アメリカはネゴの社会ですから、ここにかけあって単位を少しでも多く認めさせようとすることは可能です。昔、日本の英会話の授業をSpeech Communicationという科目と同じだと主張して認めさせた人がいますが、たいしたものです。
外国の教育システムや単位についてわからない場合もあるので、アメリカには、単位を認定する私的レベルの協会があり、そこへ八○〜二○○ドルほど支払って申し込むと、「アメリカの大学レベルと同じである云々」といった証明書をくれます。それを持ってRegistrar's Officeとさらに交渉することも可能なのです。
日本の大学では、このRegistrar's Officeというのは教務課にあたると思うのですが、日本では単位を認定するという作業はあまりうまくいっていないように思います。そもそも日本では、単位をあっちこっちに移すということをする概念がありません。したがってアメリカに留学しても、大学に選ばれて交換留学生として行った場合は、ともかく認めて一年遅れないようにする、というやり方ですが、同じ大学に自費で行った場合は、単位をうまく数えられなくて、責任の所在もハッキリせず、たらい回しにされて、一年遅れるといったようなことになります。日本の場合多くは、単位の認定は教授会でしているということのようですが、このようにまったく不思議な話になっているのです。
これから日本の大学も教務課に単位のことをきちんとできる専門家が必要な時代になるでしょう。
ところで、アメリカでも、カリフォルニア州立大学あたりですと、もう予算がなくて、教務課の職員不足で、かつ、州民のための大学ということで、外国の単位なんか認めるのは面倒、といった態度もしばしば見受けられます。単位に関していえば、やはり私立の大学のほうが、とてもフレキシブルです。
単位のこと一つにしても、実にたくさんのことが見えてきます。
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