留学事情:栄陽子留学研究所
■ 当世留学事情

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第66回 勉強は大学に入ってから ――米国高3生の自宅学習時間7割が週5時間以下 

『教材新聞』平成12年9月25日号掲載  

先日、「朝まで生テレビ」というテレビ番組に出演しました。テーマは教育改革のことで、今の日本の子供たちについて語りあい、これからどうしたらよいかというものでした。

異民族の集まりであるアメリカでは、黙っていてわかりあえるということがもともと少ないため、教育問題も、どんどん実践的な方法で解決しようとします。学校の先生を増やしたり、カウンセラーを配置したり、同時にソーシャルワーカーなどとの連携プレーをとったりします。即ち、親子の間で持つ時間が足りないため問題が起きるのだとカウンセラーが分析したら、もっと子供のために時間を取れるような仕事を探せないか手助けしたり、というようなことまで具体的、実践的に行動していくのです。

何か具体的な提案を行う必要があると考えて、さまざまなデータを用意して出演したのですが、内容はまるっきり違ったものになってしまいました。

なぜ、日本の教育はこうなったのか、ということに始まって、あれが悪いこれが悪いで、ついには今の大学のあり方に話がとんで、大学ではみんな遊んだよナー、勉強なんかしなかったし、という始末でした。

なまじデータなんぞを用意したから、論理的に話をしなければ、と思うことがテレビ出演の失敗です。その場かぎりで、言いたいことを言うというのが大切なのです。

問題を解決する一つの方法として、学校の先生を増やす、カウンセラーを置く、カウンセラーを通してさまざまな問題も社会とつながりつつ解決方法を模索したり、情報氾濫の中で、子供たちにどのようなことを学校で教えるべきか、情報収集、分析を専門にする新しい専門家集団をつくったりする必要があります。

社会が高度に成熟してみんなが豊かになると、子供たちには長い教育が必要になります。自分で食べて自立するということが、どうしてもおそくなりがちで、したがって、アメリカのように大学では人間形成を、大学院では専門の勉強をというように、長い教育が必要、且つ、大学・大学院では、厳しく勉強させます。

アメリカでは、小学校・中学校・高等学校では、あまり勉強をしません。親たちは、勉強より家族関係とか親子の時間とかが大切だと考えている人が多いのです。それは、年をとって家族同居をすることがあまり一般的でないことも理由です。即ち、子供は18才になると大学に入って寮生活をし、独り立ちする準備をして独立して出ていくという考えです。18年間しか一緒にいないので、なるべく親子関係を密にしておきたいと考えるのです。しっかりしたアメリカのファミリーでは、親が自ら子供に教える事がたくさんあって、それがとても大切だと考えられています。男の子なら、父親は釣り、狩り(鉄砲の撃ち方なんて教えたら日本では怒られてしまいます)、雪かき、芝刈り、肉の切り分け方、レディのための椅子のひき方などです。

それに、小さい頃に勉強勉強といっても、そんなにするわけはないし、自分が何になりたいのかもそんなにわからないと考えられていて、小学校などは教科書も家に持って帰りません(だいたい教科書は貸与です)。大学に入ってはじめて、独り立ちする自覚を持って勉強をする、ということが大切だと考えられています。

ちなみに、アメリカの小学校では通常、宿題は六年生になって初めて出されます。また、公立高校三年生の生徒の、一週間の自宅学習時間は次のようになっています。

まったくしない 3%
1時間未満14%
1〜2時間23%
3〜5時間28%
6〜10時間18%
11〜15時間 8%
16〜20時間 4%
20時間以上 3% (UCLA調べ)

まあ、そんな話しをしたくても、何か言えるような雰囲気ではなく、というのは言い訳です。自分の主張は堂々とする、なんて言っている張本人が、それをできずにおめおめと、と考えると、全く、恥ずかしいったらありゃしない。

アメリカの大学のシステムの話を日本の人たちにしますと、そんなに大変だったら、とてもやれないとか、うちの子はとてもついて行けないと思う親はけっこう多いのです。

ならば、確実に卒業できる日本の大学の方が取りあえず安全ではないか、と考えるわけです。したがって日本の大学に在学していながら、ちょっと一年間くらい留学する方がよいと思うのです。かわいい子には旅をさせろ、というのは親も勇気がいります。

塾で疲れた日本の子供は、大学で勉強したくないと思うでしょう。

したがって、日本の小・中・高であまり勉強しなかった子供の方がかえってやってみようと考えたり(心のどこかで、一度くらいは本当に勉強してみたいとだれでも思っています)、親も、生きる強さを与えてみたいと思ったりするのです。

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