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§ボストンE便り§ May 2005(8th Issue)

【CONTENTS】
1.News from Colleges & Universities in the US
 「TAの英語力に対する不満と、その解消法」
2.アメリカ文化散策―アメリカ大学の卒業式について

1. News from Colleges & Universities in the US

皆さんはTAという言葉を聞いたことがあるでしょうか?TAとはTeaching Assistantの略で、アメリカの大学では、教授の助手のことを指します。TAは大抵、大学院生で、大規模な大学に行くと、教授に代わってTAが授業をすることがあります。Undergraduateの留学生は基本的にはアルバイトができませんが、このTAのポジションで働く代わりに学費を大学に免除してもらったり、お給料を受け取るのは、大学院博士課程に留学している学生の間ではとても一般的です。

留学生のTAもアメリカ人のTAと同じように、教授の代わりに教壇に立ち、大勢の生徒の前で講義を行わなければなりませんので、一定以上の英語力が求められます。しかし、やはり英語が第二言語の留学生にとって、英語でアメリカ人生徒とコミュニケーションを図り、複雑な論理を説明するのは、並大抵の努力ではこなせません。今回のニュースはそんな留学生TAの英語力についての話です。

「TAの英語力に対する不満と、その解消法」

ノースダコタ州の教育委員会は今年3月に州内の大学のTAの英語力に関する法律を制定しました。その法律によると、クラスの10パーセントの生徒が、「英語を母国語としないTAが授業中に話していることが理解できない」と不満を訴えた場合、そのTAはクラスを辞めさせられてしまうことになります。ノースダコタだけではなく、アメリカ50州のなかで、少なくとも20州が似たような法律を制定しています。

このような法律が制定された背景には、留学生TAを受けている生徒の成績が平均より下回るという調査もでているからです。2000年にハーバード大学の経済学者、Mr. George Borjasが数百人の学部生に行った調査は、外国で生まれたTAの授業を受けている生徒は、他の生徒と比べて0.2ポイント(GPA 4.0 scaleのうち)悪い成績を取っていると証明しました。また、カンザス教育委員会が生徒にアンケートを取った結果、TAの英語力を指摘するコメントが多く寄せられ、その中には例えば “I would ask more questions if my teacher could understand me or I could understand her”などというコメントもありました。

しかし、University of Houstonの経済学の教授、Mr. Akbar Marvastiは「今日、アメリカの大学の教師の4分の3は外国で生まれた人たちであり、彼らを大学の財産として見なさなければならない。」と主張しています。また、コミュニケーションは一方的なものではありませんので、留学生TAの英語力だけを一方的に非難することはできません。

こういった問題を解決するために、多くの学校ではTAの英語力、コミュニケーション力を強化すべく、特別なプログラムを提供しています。例えばオハイオ州コロンバスにあるOhio State UniversityではTAになりたい留学生は、テストを受けた後に一年間のSpoken English Program (SEP)で発音、イディオム、またはアメリカ人がどんな風にクラスで勉強するのかを学習することが義務付けられています。

このSEPプログラムのお陰で、50,000人もの生徒が通うOhio State Universityでは今年はたった2件しかTAに対する不満が正式に学校に報告されていないそうです。SEPのように統一されたプログラムの実施は、授業をアメリカ人生徒側にも、留学生TA側にも大きなメリットになっているのです。

参考文献:
Telcher, Stacty “When you can’t understand the teacher”, Christian Science Monitor

 

2. アメリカ文化散策―アメリカ大学の卒業式について

今月は5月に行われる卒業式について特集したいと思います。
英語で卒業は”Graduation”と言いますが、「卒業式」は “Commencement”と呼ばれています。5月は気候がよく、爽やかな日が多いですので、Commencement ceremonyは野外で行われることが多いです。ガウンを着て、帽子を被った卒業生は、自分が卒業した大学の礼服をまとった教授の後について、列になって観客の中を行進して会場に入ってきます。

このガウンや帽子などの礼服はヨーロッパから伝わり、今日では各大学・大学院の様々な伝統や形式にそってバラエティーに富んだものになっています。ケープや帽子の房の色や、Hoodと呼ばれている背部の垂れ幕の有無はInter-collegiate codeと呼ばれていて、学位や学部によって異なります。一般的には、学士号取得者はガウンと角帽だけ、修士号にはHoodが、は博士号にはこれにケープが付くといった具合です。学部によっての色の違いは以下の通りです。

Arts and Humanities 白色 Medicine
Business 淡褐色 Music ピンク
Economics 赤銅色 Nursing アプリコット
Education 水色 Pharmacy オリーブ
Engineering オレンジ Philosophy ダークブルー
Fine Arts 茶色 Science サーモンピンク
Journalism クリムゾン Social Work レモンイエロー
Law Theology スカーレット

 

大学の大きさによっても式次第は様々です。大きな大学では午前に盛大なセレモニーを行った後、学部ごとに集まって卒業証書を貰ってパーティーをするところもあれば、小規模な大学では全学部の生徒が一人ひとり壇上に上がって卒業証書を手渡して貰えます。この時、成績優秀者は名前を発表されたり、メダルやローブを首にかけてもらったりします。

もう一つ、Commencementに付きものなのは、Commencement speakerです。日本の学校の卒業式では、生徒や父母の代表がスピーチすることが多いですが、アメリカの大学ではその大学の卒業生で素晴らしいキャリアを積んでいる人や、有名人を招いてスピーチをしてもらう事が一般的です。例えば、今年はUniversity of Miamiでは映画監督のスパイク・リーが、University of Pennsylvaniaではコフィー・アナン国連事務総長が、University of Southern Californiaではアポロ11号で有名なニール・アームストロングがスピーチを行う予定になっています。

アメリカ大統領のジョージ・ブッシュも自らが学士号を取ったYale Universityで2001年にCommencement speechをしました。Yaleでブッシュがあまり出来の良い生徒ではなかった事は有名ですので、ブッシュはスピーチの中で “And to you ‘C’ students, you too can be president of the United States”と言って笑いを誘いました。また、副大統領のディック・チェイニーもYaleの学生だったことがありますが、卒業はせずに中退してしまった事を取り上げて、 “A Yale degree is worth a lot, as I often remind Dick Cheney, who studied here but left a little early... So now we know, if you graduate from Yale, you become president. If you drop out, you get to be vice president”とジョークで会場を盛り上げました。

アメリカの大学には入学式がありませんが、卒業式は学生生活の「努力の結晶」である学位授与を祝うために大変盛大に行われます。みなさんにとってはまだまだ先の話かもしれませんが、この卒業式の日を晴れ晴れとした気持ちで臨めるように、日々の努力を続けてください。

参考文献:
“Bush returns to Yale for commencement speech” CNN.com
J Magazine, May 2005

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