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§ボストンE便り§ March 2005(6th Issue)

【CONTENTS】
1.News from Colleges & Universities in the US 
 ・ "Keeping Kids Close: Campus provide child-care centers to help professors cope"
   大学の挑戦:キャンパス内のデイケアセンター(保育所)の充実
 ・ "President Summers' Comments on Women"
   ハーバード大学学長の女性に関する不適切な発言
2.第4シーズン目でも人気沸騰、"American Idol"
3.アメリカ文化散策――イースター編


1.News from American Colleges & Universities

意外に感じるかもしれませんが、近年のアメリカの大学では、毎年男子よりも女子生徒の方が多く入学しています。しかし、大学院レベルになると依然として男子生徒の方が多く、そして教授に至っては、圧倒的に男性の数が多いのです。学部(undergraduate)には、より多くの女性が在籍しているのにも関わらず、女性が大学院よりも上のレベルに進まない、もしくは「進めない」理由はいくつか挙げられます。例えば、女性には未だに「感情的」「リーダーシップが取れない」「決断力がない」など、学者なりたい人にとってネガティブなステレオタイプが付きまとい、大きな組織(大学も大きな組織の一つです)では、女性はトップになれないというグラスシーシング現象(glass ceiling phenomenon)が起こっているからです。また、女性の学者・教授にとって、大きな障害になるのが子育てとキャリアの両立です。そこで今月号は、アメリカの大学での女性に関するニュースを2つお届けしたいと思います。

"Keeping Kids Close: Campus provide child-care centers to help professors cope"
大学の挑戦:キャンパス内のデイケアセンター(保育所)の充実
by Robin Wilson

アメリカの大学の教授のほとんどは、教授職についてからも在りとあらゆる活動をしてTenureと呼ばれるポジションを手に入れる事を目的にしています。Tenureポジションをいったん得れば、お給料も高くなる上、学会での地位も上昇します。また、少しくらい物議を醸すような(controversialな) 論文を書いても、簡単に大学からクビにされることもなくなります。しかし、このTenureポジションを手に入れるには、学会で役員を務めたり、質の高い論文を学会紙に発表したり、定期的に本を出版したりする必要があります。また、リサーチだけではなく、授業の質も高く保ち、学生からの評判も良くなければなりません。男性の教授でもTenureポジションを取るのは、時間と労力をタップリかけなければなりませんから、子供を持つ女性教授にとっては、すさまじく厳しいのです。結果として、男性教授に比べて、Tenureポジションを持つ女性教授は圧倒的に少ないと言う研究結果もでています。

そのような女性教授からの強い要望に答えて、ここ数年、いくつものアメリカの大学がキャンパス内にあるデイケアセンター(保育所)を増築しています。例えば、ケンブリッジにあるMassachusetts Institute of Technology (MIT)では2004年6月に127人の子供に対応できるデイケアセンターを、ミシガン州の州立大学、Michigan State Universityでも2002年の5月に3 million dollars(約3億円)をかけてデイケアセンターが増設されました。学校側は、このデイケアセンターの増設を始めの一歩として、男女に公平な環境を作って行こうと考えているのです。子供をキャンパス内のデイケアセンターに預けていれば、母親は安心して仕事に集中できますし、ちょっとした休憩時間に子供に会いに行くことができるのです。

しかし、デイケアセンターは便利な反面、とても月謝が高いところに問題があります。例えば、先程挙げたMITのデイケアセンターでは、赤ちゃんを預けるのに、1ヶ月に$1,795(約20万円)かかります。州立のMichigan State Universityでも$920(約10万円)かかります。教授と言っても、特別高額なお給料を貰っているわけではありませんから、デイケアセンターに払う月謝が、月給の半分占めてしまう人だっているようです。

皆さんの中には、小さなお子様を連れて留学を考えていらっしゃる方もいるかもしれません。キャンパスにあるデイケアセンターは、大変人気がありますので、大学から合格通知を貰ったら、直ぐにでもデイケアセンターに連絡をとって、空き状況を調べることをオススメします。

参考文献: Wilson, Robin. "Keeping Kids Close: Campuses provide child-care centers to help professors cope" The Chronicle of Higher Education. Feb. 25, 2005.


"President Summers' Comments on Women"
ハーバード大学学長の女性に関する不適切な発言

日本のニュースでも流れたかもしれませんが、ハーバード大学の学長、Lawrence Summersが一月にThe National Bureau of Economic Researchによって開かれたコンフェレンスでした発言が物議を醸しています。Summers学長は同コンフェレンスで「科学の分野で、男性に比べて女性が活躍していないのは、理系に分野において、女性は本質的に男性に劣る」と示唆する発言をしました。Summers学長は、発言が不適切だったと認めていますが、女性研究者の怒りは治まっていません。2月22日には、約100人の生徒がハーバードでデモを行いました。集まった生徒たちはこの機会に、Summers学長の発言だけではなく、アイビーリーグ大学のうちハーバードだけに女性センター(women's center: 女性が精神的、肉体的に抱える問題を相談したり、主な女性の問題についてセミナーを開く大学のセンター)がない事を訴え、そういった大学の態勢を最高責任者であるSummersが放っている理由で、学長の解雇を求めました。今後この事件がどのように発展するのか、目が離せません。

参考文献: Greg ST. Martin. "Crimson outrage: Harvard protests Summers' comments on women" Metro. Feb. 23, 2005.


2. 第4シーズン目でも人気沸騰、"American Idol"

皆さんは、アメリカで放送されている "American Idol"という番組をご存知ですか?簡単に説明すると「アイドル発掘番組」で、この1月から始まったシーズンで4回目になりますが、まだまだ人気は衰えていません。アメリカ各地で予選オーディションを行い、その中で選ばれた男性12人、女性12人が毎週ステージで歌をパフォーマンスし、男女各2名が落とされていきます。 "American Idol"が他の「アイドル発掘番組」と違うところはいくつか挙げられます。例えば、この番組の見ものはアイドルを目指す出場者(contestants)の歌だけではなく、それを批評する3人の審査員です。特にその中の一人、Simon Cowellは「どうして君がアイドルを目指そうとしているのか自体分からない!」「耳がおかしくなりそうだから、もう歌わないでくれ。」などと、非常にきついコメントをするのです。また、この番組で最後まで残った1人はレコードデビューできることになっています。第1シーズンから第3シーズンまでで優勝した3人はそれぞれレコードを出し、コンサートを開いて精力的に活動をしています。特に第1シーズンで優勝したKelly Clarksonは "American Idol"に出演してから3年も経っているのに、いわゆる「一発屋」で終わらず、未だに出す曲全て、ヒットしています。

このブームに乗って、"American Idol"について分析する授業を開講している大学があると言っても、信じていただけるでしょうか?University of North Carolina, Charlotteでは "Examining 'American Idol' Through Musical Critique"という授業が開講され始めました。生徒は週に3回放送される"American Idol"のうち2回を観て、出場者を評価します(月曜日は男性出場者、火曜日には女性出場者がパフォーマンスをし、水曜日に電話投票をもとに男女各2名が落とされます)。学期の最後に提出するペーパーには「誰が優勝するべきか、そして、なぜその人が優勝するべきか」を論理的にまとめます。"American Idol"の他にも、リアリティー番組(日本の「あいのり」のような、素人が登場する番組)を分析する講座を開講している大学もあるから驚きです。

テレビばかり観ているのもよくありませんが、リスニングの勉強にもなりますし、何しろ、アメリカの文化がよく分かるので、留学中のフリータイムにテレビを観るのはオススメです。


3. アメリカ文化散策――イースター編

3月のイベントと言えばイースターです。イースターは日本語では復活祭と訳される、イエス・キリストの復活を祝うキリスト教の行事です。イースターは、年により月日は異なり、春分後の満月の次にくる最初の日曜日(イースターサンデー)に祝われます(今年は3月27日がイースターサンデーにあたります)。イースターまでの約40日間は四旬節(Lent)と呼ばれ、カトリック信者は、四旬節の始めの日(灰の水曜日と呼ばれる日)からイースター当日まで日曜を除く40日間は断食や黙想を行って、精神的にイースターを迎える準備をします。

イースターはキリスト教の行事とともに、春の始まりを祝う日でもあります。家庭では、模様をつけ彩色した卵(Easter Egg)を飾ったり、庭で子供たちが卵探しのゲームを行ったりします。この季節、スーパーマーケットやチョコレート屋さんはイースタームード一色で、卵形をして、中に小さなオモチャが入ったチョコレートや、イースターバニー(Easter Bunny)の形をしたお菓子が売られています。

去年は、メルギブソン監督がキリストの最後の3日間を描いたThe Passion of Christ(邦題「パッション」)がイースターの前に封切りになり、この映画に反ユダヤ人主義(anti-Semitism: キリストの死をユダヤ人の責任にする考え)の要素が含まれているか、いないかが批評され、大きな話題になりました。
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